よみがえるソロス対マハティール論争の記憶、リンギット安で
2015/08/17 13:51 JST
(ブルームバーグ):マレーシアの通貨リンギットの1998年以来最大の下落は、マハティール首相(当時)と資産家ジョージ・ソロス氏による論争を想起させる。
リンギットは先週、対ドルで3.8%下落した。マレーシア中央銀行のゼティ総裁は13日、2010年以来の1000億ドル(約12兆4000億円)割れとなった外貨準備高について回復させる必要があると発言。ただ、17年前のリンギット大幅下落時にマレーシアが頼った通貨ペッグや資本規制の導入は否定した。当時、マハティール氏はリンギット急落の責任は外国人投資家にあると主張し、ソロス氏を非難した。
バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチのエコノミスト、チュア・ハク・ビン氏(シンガポール在勤)は14日のインタビューで「1997-98年の危機時のヘッジファンドによる攻撃の記憶がよみがえりつつある。資本規制導入の可能性が高いとは見ていないが、外貨準備の急減を踏まえるとそうしたリスクを排除できない」と述べた。
リンギットは週明け17日も下げ、ここ1年間の下落率は24%と、アジア通貨の中で最大。政治スキャンダルや人民元切り下げ、原油安、米利上げ観測が重しとなっている。一方、1998年9月に当時のマハティール政権が資本規制に踏み切る前の1年間にリンギットは30%下落していた。一部の投資家によると、同規制が再び導入されるリスクがマレーシアからの資金流出を招いている。
原題:Soros-Like Attack on Malaysian Ringgit Revives Memories of ’98(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:クアラルンプール Elffie Chew echew16@bloomberg.net;シンガポール Lilian Karunungan lkarunungan@bloomberg.net
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更新日時: 2015/08/17 13:51 JST