大内奏
2015年8月17日12時07分
内閣府が17日発表した2015年4~6月期の国内総生産(GDP)の1次速報は、物価の変動の影響をのぞいた実質成長率が、前期(1~3月期)より0・4%減だった。この状況が1年続いた場合の年率に換算すると、1・6%減。3四半期ぶりのマイナス成長となった。個人消費や輸出が落ち込み、景気回復の動きは足踏みしていることが確認された。
GDPの6割をしめる個人消費は、前期と比べて0・8%減った。昨年4月の消費税の増税の後、ゆるやかに持ち直していたが、4四半期ぶりにマイナスになった。金額でみても、4~6月期としては、駆け込み需要の後に大きく減った14年を0・2%上回る程度で、増税前の13年より2・7%低い水準だった。
円安が進んで輸入した食料品などが値上がりし、実質の賃金は伸び悩む。節約志向が広がったことに加え、6月の天候不順でエアコンや夏物衣料が振るわなかったこと、4月の軽自動車税の増税で軽自動車の販売が減ったことも響いた。
これまでの景気回復局面でGDPを引っ張ってきた輸出は4・4%減となり、6四半期ぶりのマイナスだった。中国や東南アジア向けのスマートフォン用部品や自動車などがふるわず、米国向けの生産機械なども減少した。一方、住宅投資は1・9%増と2四半期連続で回復した。公共事業も2四半期ぶりに増えた。
物価変動の影響をのぞく前の名目GDPは、前期と比べて0・0%増、年率で0・1%増。物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年の同じ時期を1・6%上回った。
先行きでは、7~9月は上向くとみる向きが多い。中国など海外経済の不透明感はあるものの、賃金のベースアップやボーナス増、猛暑による消費の押し上げ効果も見込まれるためだ。
このため、政府は4~6月のマイナス成長を、一時的ととらえている。甘利明経済再生相は17日午前の会見で、「一時的な要素はかなり大きい。回復の見込みはかなりあるのではないかと思う」としたうえで、「ただちに補正(予算)のような経済対策は想定していない」と述べた。
4~6月期の成長率は、設備投資の動向などより新しい経済指標をふまえて改定し、9月8日に2次速報として発表される。(大内奏)
おすすめコンテンツ
PR比べてお得!