業務時間外で勉強をしなければいけない理由

▪️業務時間外の勉強を新人にどう説明しているか

 IT業界は技術の流れに置いていかれるとしんどい思いをする。業務時間外の勉強は必須だ。しかし、おかしな話ではないだろうか。なんで時間外に仕事のための技術を勉強しなければならないのだろうか。

 本来であれば、業務に必要なことは業務時間内で教えるべきだと思う。だが、今時そんな余裕のある会社なんて無い。やって当然という雰囲気はあるが、やるだけの理由を説明できる人は少ない。大半が「仕事に必要だからやるんだよ!」としか言わない。

 IT系に勤めているからそれが当然だと思うかもしれない。だが、「仕事で必要だから」では理由が弱い。しんどい仕事をした後に、更に勉強というのはなかなかしんどい。相応の理由でも無い限り、モチベーションは保てない。

 そんなことで、業務時間外に勉強する理由というのは大切だと思う。確固たる理由というのは、人に伝えてこそ強さが分かる。自分が勉強する理由というのを、新人に説明するつもりで書いてみようと思う。

  

▪️私が時間外の勉強をする理由

 理由といってもいろいろある。単純に知りたい技術がある、実務で困ったから、実務では知りたいことを答えられる人がい無いから・・・。いろいろあるが、一番大きな理由は、日々学び続けないと人として腐るからだ。これに尽きる。

 例えば、勉強しない理由に「一度しかない人生、楽しまなきゃ損だ!」という考え方があったとする。これを実践して、いつまでも大学生のノリで、酒飲んで「ウェーィ!」とやっていたとしよう。気が付いたら、成長できていない自分にかなり焦ることになる。

 若いうちはいいが、歳を重ねるとどうしても中身が問われる。ノリで中身をカバーできなくなった時、人がどんどん離れていく。これはかなり精神的に堪えると思う。楽しんだ分の反動が一気に押し寄せる。

 

▪️技術は腐らないための手段

 技術者に技術がないと腐るしかなくなる。立場を得ても実力が伴わなければ腐るしかなくなる。確かに、自分の会社で立場を確保していれば、食べていくことはできる。だが、人として腐っていく。

 求められる技術に対して自分の技術が追いつかなくなった時にそれが分かる。やらなくてはならないができない。生活もかかっているので後に引けない。結果、人に無茶を強いたり、嘘を突き通すしかなくなる。また、自分の行為を正当化しようと躍起になるため、考え方がどんどん歪んでいってしまう。

 だからと言って、会社は学習時間を見繕ってはくれない。会社の言う通りに動くだけでは、学習時間のプランがごっそり抜ける。自分のプランは自分で立てないと技術レベルでついていけなくなってしまう。

 会社で技術の習得の時間を見繕ってくれないなら、自分で時間を見繕うしかない。ただこれは、仕事としての義務だけが目的ではない。人に無茶を強いたり嘘をつかないため、自分に嘘をつかないため、そういう意味合いもある。少し大げさに言うなら、人として誇りを持って振る舞うための手段とも言える。

 

◾︎業務時間外に自分を見つめる

 基本的に、会社は利益のことは考えるが、あなたの将来については考えていない。会社の言うように動けば、いちいち理由を考えずに済むので楽だ。しかし、これは思考を放棄していることと同じだ。

 行動に対して理由を考えなくなると、理論が破綻しやすくなる。理由、行動、結果を事実に基づいて繋ぎ合わせるのが理論だからだ。こうなると、当然仕事で結果が出なくなる。言われる通りにやってもプロジェクトが炎上するのはそのためだ。

 本当に大事なのは、自分の意思を持って勉強することだ。自分の意思を持って勉強するには、時間外でなければ難しい。時間外に勉強する理由は技術の習得だけではない。理由を持った行動をすることに意味がある。

 業務時間外にやる勉強は、自分が自分であるための活動だ。自分が不満に思う事があるなら、原因と結果を見極め、理論的に説明をつけて解消するしかない。自分の悩みや不安を乗り越えるには、確信と納得が必要だ。だから私は時間外に勉強するのだ。

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コメント

加納 2015年8月17日 (月) 20:02

私自身は、業務時間外の勉強は、単なる趣味だと思ってしてますが。。

本来、サラリーマンであるなら、業務時間外に勉強する理由はないんですよね。。

自営業であれば、業務として技術が必要なら、金を払って得ればいいわけです。

たとえばカウンセラーがNLP技術が必要だと思えば、金を払って教えてもらえばいい。
当然認証もついてくる。だから対外的に使える。

サラリーマンの場合、業務は会社の作業とみなされる以上、
必要な技術は会社があらかじめ教えるのが筋だと思うのですが。

個人で勉強してしまった場合、誰かから買ったものではないので、
認証が付かない。結局対外的には使えず、何にもならない。
なので給料は上がらない。

給料は上がらないので、いわゆるIT系の仕事をしたい人は増えない。

「腐るから」ってのも理由にはなってなくて、腐って仕事にならなくなったら
やはり業務に必要な知識は与えるのが筋ではあると思います。

ということで、もし新人に業務時間外に勉強する理由を聞かれたら「私は趣味でしてる」ということにしてます。
逆にそれ以外の理由はあえてつけないです。上記の通り、論理的に言えば理由はないですからね。。

ただし「趣味で勉強するぐらいの人しか、この業界いないかな」とは言いますが。

てんた 2015年8月17日 (月) 20:29

OJTという形で時間内の勉強もありますが、私は業務外が当たり前と思ってきました。
「仕事の対価としてお金をもらう=プロ」という図式が、いつの間にか頭に刷り込まれているからかも知れません。

例えばプロ野球なんかは一打席何万円とか言われたりしますよね。
「試合(仕事)で力を発揮するための練習(勉強)は、対価をもらうに価しない」という考えです。

ITに限らず、料理人など職人っぽい仕事はそんな感じじゃないでしょうか?
自己目標の早期実現のために、時間外の時間を使ってでも頑張るという考えもあります。

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Anubis
色々な仕事を渡り歩き、今はヘルプデスクをやっている。
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