最近、ある人物が話題になっています。
その人の名は「只峰」(zhi1 feng1/ジーフォン)と言います。
先日、天津大爆発の記者会見「新聞発布会(新闻发布会)」(xin1 wen2 fa1 bu4 hui4/シンウェンファーブフイ)の際、会見の最後に、ある記者が「只峰是誰(只峰是谁)?」(zhi1 feng1 shi4 shei2/ジーフォンシーシェイ)と大声で叫びました。
只峰とは、今回事故を起こした倉庫をもつ会社「瑞海国際(瑞海国际)」(rui4 hai3 guo2 ji4/ルイハイグオジー)の総経理だと言われています。
「只」には「只」(zhi1/ジー)と「只」(zhi3/ジー)の2つの発音があります。
一応、一声の方が「隻」、三声は「祇」の簡体字とされます。
一声の「只」は、船を数える一隻の「隻」です。
ただ、中国語の場合は、船だけに限らず、対になっているもの、動物、ある種の器具を数える場合にも使います。
両手は「両只手(两只手)」(liang3 zhi1 shou3/リャンジーショウ)、三匹のトラは「三只老虎」(san1 zhi1 lao3 hu3/サンジーラオフー)、2つの腕時計は「両只手表(两只手表)」(liang3 zhi1 shou3 biao3/リャンジーショウビャオ)、小船一艘は「一只小船」(yi1 zhi1 xiao3 chuan2/イージーシャオチュアン)です。
三声の「只」は、ただ…だけ、という意味で、まさに日本語の「只(ただ)」です。
ただに血を盛る瓶(かめ)ならばは、旧制四校南下軍の歌の冒頭でした。
いや、何でもありません。
ただ、言っただけです。
で、中国でも、滅多に見ない姓だということですが「只」が姓で使われる場合があります。
これは、辞書によって書いてあることが異なるのですが、一声だという説と、三声だという説があります。
どちらが正しいのかわかりませんが、私は一声説を取ることとし「只峰」(zhi1 feng1/ジーフォン)としました。
中国人でさえ、あまり聞かない苗字です。
ところが何と、天津市の前の副市長は「只昇華(只升华)」(zhi1 sheng1 hua2/ジーションフア)さんと言いました。
危険物倉庫を、住民の居住区に作るなんて、普通ではあり得ません。
あり得ないことができるのは、バックに権力者がいる場合だけです。
そして、滅多に聞かない苗字が一致と、これだけで、多くの人たちは、只峰は前副市長の息子だと思ってしまいました。
ただ、政府は何も言いません。
何も言わないと、余計に疑わしくなります。
そして、記者の「只峰是誰(ジーフォンシーシェイ)?」となりました。
政府もさすがに、まずいと思ったのでしょう。
次の会見で、只峰が只昇華の息子であるという噂があるが、全くのウソである、と表明しました。
実は「只」という苗字は、天津の静海(jing4 hai3/ジンハイ)県に多く見られるのだそうです。
また、多くの人が只昇華さんには一人娘しかいないと証言しているようです。
中国政府の話なので、100%断定はできませんが、どうやら、只峰さんは只昇華さんの息子ではないようです。
もっとも、今までさんざんそういうことをしてきたので、疑われてしまうのは仕方がないことだと思います。
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