爆発地点から、約600m離れたところに「万科海港城」(wan4 ke4 hai3 gang3 cheng2/ワンカーハイガンチョン)がありました。
マンションの名前です。
海港城の中の一番北側にあったのが、1号楼と2号楼でした。
2号楼の東側には、新しく小学校が作られようとしていたそうです。
その北側は、自動車倉庫であり、まあ、倉庫というか、自動車置き場でした。
何千台もの新車が置かれていたそうです。
そして、その更に北側に、コンテナが積まれていました。
ただ、誰も、コンテナの中に何が入っているのか知らなかったそうです。
危険物が入っているなんて言えば、それこそ住民運動が起こるでしょうから、誰も言いません。
住民にしても、まさかこの住宅に隣接する場所に、危険物があるとは思わないでしょう。
ここに住む人は、毎日、数多くの高級車「豪車(豪车)」(hao2 che1/ハオチャー)を眺めることができて、むしろ気分がよかったとも言います。
この1号楼の26階に住む方が、今回の事故で亡くなったそうです。
張馳(张驰)(zhang1 chi2/ジャンチー)さんという女性です。
内臓損傷による出血多量が原因ということですから、破損したガラスか何かで負傷したのでしょう。
この方が、微信の「朋友圏」(peng2 you3 quan1/ポンヨウチュェン)に言葉を残していました。
「我去、我要不要回単位住啊」
ここでの「我去」(wo3 qu4/ウォチュー)は、私が行きます、という意味ではなく「じぇじぇじぇ」という感じです。
ビックリした時や不満がある時に使い「我靠」(wo3 ko4/ウォカオ)と似ています。
「単位(单位)」(dan1 wei4/ダンウェイ)とは、勤務する会社のことです。
会社は、中国語で「公司」(gong1 si1/ゴンスー)ですが、こちらの人はよく「単位(ダウェイ)」と言います。
「じぇじぇじぇ、会社に戻って泊まった方がいいかな?」と、火事の様子の動画とともに、つぶやいていました。
何とも痛ましいのが、動画を発信した時間が、8月12日午後11時26分になっていたことです。
恐らく、窓際で、火事の様子を撮っていたのでしょう。
そして、11時30分に爆発しました。
誰だって、まさか家の近くに危険物があるなんて、想像しません。
すごい火事だなあと、皆に知らせるために動画を撮っておこうという気持ち、わからなくもありません。
ただ、そのために、命を落としてしまった可能性を否定できず、何ともやりきれない気持ちになります。
最近、スマホの普及で、簡単に動画を撮ることができるようになりました。
それにより、現場の状況がよくわかるなど、いいことも当然あるのですが、ちょっと勘違いしてしまうこともあるのかもしれません。
危険だと思えば、動画を撮るよりも先に逃げることが大切でした。
でも、やっぱり、家の近くに危険物があるなんて、誰も想像しません。
悪いのは、間違いなく、黙って危険物を置いた人間であり、それを許可していた人間です。
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