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【池袋暴走事故】
短時間で熟睡なぜ 無呼吸症候群、寝不足、過労運転の可能性も
金子庄一郎容疑者は、駐車場を出てわずか約50メートルの間に5人を次々とはねても暴走をやめず、衣料品店に突っ込んで初めて停車した。「居眠りをしていた」と供述しているが、短時間に重大事故を起こすような睡眠に落ちることはあるのだろうか。
金子容疑者の供述などから、「睡眠障害にかかっていた可能性が高い」と指摘するのは、順天堂大学大学院医学研究科の谷川武教授(公衆衛生学)だ。
谷川教授が睡眠障害の原因として挙げるのは寝不足や過労のほか、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」。睡眠中に緩んだ筋肉などにより気道が狭められ、呼吸が止まる病気で、熟睡できず慢性的な疲労状態で突然睡眠に落ちることもある。刑事責任が問えないとしてSAS患者が交通事故で無罪になった例もある。
ただ、谷川教授は「寝不足でもこうした事故は起こりうる」としており、原因究明には「睡眠状態を詳細に調べる検査が必要だ」と強調。さらに金子容疑者が事故後、奇声を上げながら暴れるなどしたことは睡眠障害だけで説明しきれないといい、「他に既往症があった可能性もある」と更なる捜査も必要だとする。