火葬料金、お棺、骨壺、搬送――。葬儀費用って、一体どのくらいかかるのだろうか。ちょっと調べてみると、「葬儀費用は20万円」などと打ち出している葬儀社がたくさんある。「なーんだ、意外と安いなあ」と感じられた人も多いかもしれないが、実はカラクリがある。必要なサービスやモノがオプション扱いになっていて、実際に見積もってもらうと「あれも」「これも」「それも」といった感じで加算され、合計100万円を超えることも珍しくない。少し古いデータになるが、2010年の葬儀の平均単価は125万円だ。
そんな不明瞭な会計を止めて、追加料金一切不要のプランを打ち出すことで、業績を伸ばしてきた会社がある。大阪府に本社を置く「ユニクエスト・オンライン」だ。
同社が扱うプランは4つだけ。最も安いのは、儀式をせず火葬のみを行う「小さな火葬式」で価格は18万8000円。最も高いのは、一般的な葬儀を行う「100名までのお葬式」で価格は63万8000円(いずれも税込、割引価格)。「一番高いプランを売って儲(もう)けているんでしょ」と思われたかもしれないが、このプランを利用しているのは全体の2〜3%ほど。ほとんどの人が20万〜50万円ほどで葬儀を行っているのだ。
ユニクエスト・オンラインが葬儀を手掛けたのは、2009年のこと。以降、年間の件数をみると、右肩上がりで伸びていて、2014年は1万5500件。ちなみに、大手A社の場合、1万件ほどなので、同社の急成長ぶりがうかがえる。強引なセールストークで件数を伸ばしてきたのかと思いきや「当社には法人向けの営業担当者はいるのですが、個人向けにはいません。そもそも葬儀の現場に足を運ばないので、お客さんと顔を合わせることもございません」とのこと。
個人向けの営業がいないのに業績が伸びた? 葬儀の現場へ行かないのに葬儀社? いろいろな疑問が増えてきたので、同社で取締役をされている八田知巳(はった・ともみ)さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。
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