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【野口裕之の軍事情勢】枢軸国・韓国の「連合国なりすまし」

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枢軸国・韓国の「連合国なりすまし」

野口裕之の軍事情勢更新

 日本が「お・も・て・な・し」なら、韓国には「な・り・す・ま・し」文化が根付く。

 韓国に対し、安倍晋三首相(60)は周囲に「疲れる」、自民党の高村正彦副総裁(73)も「相当くたびれた」と漏らしたが、米政府も韓国にウンザリしている。日本側の疲労原因は、戦後70年談話に関する有識者会議《21世紀構想懇談会》が6日に提出した報告書の表現を借りれば、こうなる。

 《韓国政府が歴史認識問題において「ゴールポスト」を動かしてきた》

 一方、米政府の疲労は韓国の「変身願望」が原因だ。整形手術が大流行する韓国の女性社会のことではない。否。「変身」というより「別人」になりすます国家ぐるみの詐欺である。

拒絶された講和会議参加

 朝鮮民族は、大東亜戦争(1941~45年)中から今に至るまで「連合国」を気取ってきたが、近代に入り日本と朝鮮は本格的に戈を交えてはおらぬ。戦前~戦中~戦後と、まともな対日ゲリラ抗戦も民族蜂起も起きていない。むしろ、1910年に併合された朝鮮は枢軸国・大日本帝國として戦った。国際法上も実態上も連合国詐称は無理スジだ。北京で9月に開かれる抗日戦争勝利記念行事に、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領(63)は参加したくてウズウズしていた。ところが共同電によると、米政府は《出席すれば、米韓同盟に中国がクサビを打ち込んだとの誤ったメッセージになる-と懸念を伝達、出席見合わせを事実上求めた》。

 韓国の「連合国願望」史は筋金入り。初代大統領・李承晩(イ・スンマン、1875~1965年)は長崎県・対馬の「返還」要求と抱き合わせで、領土も画定する「サンフランシスコ講和条約署名国の資格がある」と49年、米国に訴えた。戦勝国=連合国入りさせろ-とゴネたのだ。駐韓米大使は米政府に口添えした。ワケがある。韓国は在日朝鮮人の連合国民扱い=賠償を求めるなど、国際の法・常識を無視する数多の無理難題を吹っ掛けたが、日本は無論、米国もほぼのめぬ内容だった。米国は無理難題を押さえ込むべく、韓国の署名要求を預かり、条約草案で一旦は締結国リストに加えた。

 しかし、韓国は日本と戦っていないと英国が異を唱え、朝鮮戦争(1950~53年休戦)を共に戦っていた米国も英国にならう。米国は《連合国共同宣言》への署名(42年)がないとも指摘したが、韓国は執拗に食い下がった。宣言参加国は最終的に47カ国。全物的・人的資源を対枢軸国用戦力に充てる方針に同意していた。間の悪いことに、フィリピン独立準備政府や多くの亡命政府も参加していた上、連合国(United Nations)なる用語が宣言で正式採用された。交渉過程で韓国は、日本の講和条約締結を終始妨害し、島根県・竹島の韓国編入すら主張した。結局、韓国が得たのは在朝鮮半島の日本資産移管のみ。講和会議へのオブザーバー参加も拒絶された。

「光復軍」で歴史の粉飾

 日本だった朝鮮は、欧州列強の植民地兵のごとく人間の盾にされもせず、日本軍将兵として戦った。朝鮮人の軍人・軍属は24万2000人以上。朝鮮人高級軍人の目覚ましい武勇に触発され、志願兵の競争率は62倍強に沸騰した。2万1000柱の英霊が●(=鯖の魚が立)國神社に祭られる。

 国際社会に連合国資格を一蹴されても、韓国は歴史の粉飾・捏造に耽った。韓国の教科書にも載るが、2013年の《韓国光復軍》創立73周年、韓国メディアは光復軍について講釈した。

 《英軍と連合して1944年のインパール戦闘をはじめ、45年7月までミャンマー(ビルマ)各地で対日作戦を遂行した》

 韓国光復軍は40年、中華民国=国民党政権の臨時首都・重慶に在った朝鮮独立を目指す亡命政府もどき「韓国臨時政府」の武装組織。だが、動員計画は遅れ、創軍1年目の兵力は300人。米CIA(中央情報局)の前身で抵抗活動を支援するOSS(戦略諜報局)協力の下、朝鮮半島内で潜入破壊活動を考えたが、日本降伏が先になった。そも「臨時政府」自体、能力的欠陥などにより連合・枢軸国双方から承認を拒まれた。

 戦後も米国は、朝鮮を国家でなく日本だったと公認。日本の統治権を取り上げ直接軍政を敷き、光復軍も武装解除した。米国は38度線以北に陣取るソ連軍をにらみ(1)統治能力欠如(2)度し難い自己主張や激高しやすい民族性(3)偏狭な民族主義や共産主義の跋扈…など、信頼性を欠く韓国に国家権能を与えたくなかったのだ。実際、「臨時政府主席」の金九(キム・グ、1876~1949年)は個人資格で“帰国”した。

率直な省察が成熟への道

 韓国は「日帝を打ち負かして独立を勝ち取った」のではない。終戦3年後、半島で統一国家建設をたくらむソ連に対抗した対日戦勝国・米国が長期信託統治を断念。米国に独立を大きく前倒ししてもらった棚ぼた式だった。金も自伝で憂いた。

 《心配だったのは(大東亜)戦争で何の役割も果たしていないため、将来の国際関係において発言権が弱くなること》

 ところで、安倍首相の戦後70年談話が出る前の9日、韓国の通信社・聯合ニュースは与党セヌリ党の談話を流した。

 《歴史への率直な省察だけが、日本の成熟を示せる唯一の道》

 談話はその悪意とは裏腹に、自虐史観に冒された日本を激励。逆に歴史の粉飾・捏造に取り憑かれ《歴史への率直な省察》ができぬ韓国を、ブーメランのように襲った格好だ。《歴史への率直な省察だけが、韓国の成熟を示せる唯一の道》ではないか。逆説的には《歴史への率直な省察がないと、韓国が未成熟である実体を証明する》。

 でも、韓国の考えは違う。

 《不都合な歴史の粉飾・捏造だけが、韓国近代史の不完全燃焼によるコンプレックス=嫉妬の炎を癒やす唯一の道》

 朴大統領は「加害者と被害者の立場は千年の時が流れても変わらない」と演説。聯合ニュースによれば、韓国外務省高官も「加害者は百回謝罪しても当然。何回わびようと関係ない」と言った。従って、歴史認識問題での「ゴールポストそらし」に疲れた日本が韓国を無視しても、韓国は国力の限界を感じつつもゴールポストを動かし続ける。珍妙かつ痛々しい光景だが、不作法な振る舞いがオウンゴールとなり国力を劣化させている現実に気付かない。

 哀れだ。(政治部専門委員 野口裕之(のぐち・ひろゆき)/SANKEI EXPRESS