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第七話
19時52分。
夜の渋谷は帰路につく人々で溢れかえっていた。所々には道端に座り込んでいる若者もいたが。その者達が帰路につく人の邪魔になっているのは一目瞭然であった。しかし、若者はそれに気付く様子も無く、仲間達と馬鹿話に花を咲かせていた。
都宮夜人もその若者のうちの一人であった。
髪の毛を脱色し金髪に染め、肩口まである長髪をワックスで左右に遊ばせていた。オシャレメガネをかけ、だらしない服装に身を包んでいる姿は明らかにそこら辺にいる若者と変わりない。
都宮は若者の群れから自ら身を引くと、帰路につく人々に紛れて歩き出した。鼻歌交じりの声が足の歩調をコントロールしている。パーカーのポケットから携帯電話を取り出すと、画面を軽く押し、起動させた。画面に表示されたのは白黒写真の少年の顔だった。新聞の一部の切り抜きの様なその写真を都宮は興味深げに見つめた。
十年前の事件の犯人として死刑にされた冤罪者。
そして今日、冤罪が確定し、釈放された。
必要な情報は既に携帯の中に入っている。勿論、この人物の情報を他の人物に売るためだ。
都宮は情報屋であった。
だからこそ、情報には貪欲であった。
携帯電話をパーカーのポケットにしまう。その表情には笑みが浮かんでいた。
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