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とある本屋のちむ叫び 作者:鮎坂カズヤ
17/32

スクールウォーズ本屋さん。

 
 少し前のことです。

 とあるテレビ番組で「梅雨」の語源について説明していました。

 梅雨前線がやってくる季節、主に五月後半から七月にかけてのこの時期。

 梅の実が熟す時期に降る雨、ということで「梅雨」と名付けられたそうです。

 他にも「露」から派生した、かびの生えやすい時期の雨で「黴雨ばいう」が語源説等々。

 一つの言葉からいろんな背景や思いがけない成り立ち等が見えてくるものですね。



 そんな言葉の面白さ、重み、背景などを感じさせてくれた「梅雨」というキーワード。

 実はこれ、本屋さんの大敵なんです。厄災と言ってもいいです。

 昨日だって明日にだって友にならない存在なんです。



 皆様もご存知の通り、本にとって湿気は命取りです。

 家に数千冊の本を置いている読書家の方々はマイ本棚に防虫剤、防臭剤を入れたり一冊一冊ビニールカバー付けたりと涙ぐましい努力をされているそうです。

 私も家に何冊か積んであった本にカビが生えちゃったことがあります。

 ツルツルした表紙ならまだ拭き取れないこともないですが、中身にまで侵食されちゃった日にはあーた、どうすんべこれって気持ちになります。

 図書館などは本にとって適切な湿度や温度を保つように日々努力しているそうですね。

 本屋さんも例外ではなく、ほぼ一年中快適な温度になるようにエアコンフル稼働です。

 そのエアコン目当てでやってくる汗ダクダクのお客様も厄介な存在ですよね。

 つゆだくなお手々で触られた本はその部分だけじっとりしてます。

 梅雨とつゆだく、どちらにしても「つゆ」は勘弁してほしい本屋さんです。



 梅雨の時期が来ると本屋さんに置いてある本は揃いも揃って反抗期になりますね。

 入り口に近い方の本から表紙がベロ〜ンって反り返ります。まるでリーゼントです。

 「俺の髪形どうよ?」とでも言いたげに反り返ってます。

 ひどい奴なんかカバーが外れるくらい反ってます。

 ある意味脱色です。金髪です。気合入りまくりです。

 もっとひどくなると表紙にカビが生えてきます。

 真っ白だったはず彼らが、ある日を境に何かに染まってしまうわけです。

 さらにひどくなるとページとページの隙間が空いて浮いてるようにも見えます。

 ついに社会から浮いてしまうわけです。前科持ちです。

 本からわかる人生の縮図。

 梅雨の時期、本屋さんにはドラマがいっぱいです。



 自分のクラス(お店)から退学者(返却、破棄本)が出ないよう、先生(本屋さん)は日々努力しています。

 本屋さんがハタキを手に店内を見回ってるのは立ち読みを咎めるためではないのです。

 生徒(本)の身に降りかかる問題(埃、湿気)などから彼らを守るためなのです。

 どこかでハタキを手にする本屋さんを見かけたら、理解ある校長先生のような優しい眼差しで見守ってあげてくださいね。



 以上、スクールウォーズ本屋さんのお話でした。
 
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