終戦の日:アジア・太平洋地域の各地で記念する行事
毎日新聞 2015年08月15日 22時17分(最終更新 08月15日 23時31分)
第二次大戦終戦から70年を迎えた15日は、大戦前から日本の植民地だった韓国や台湾や、大戦中に日本軍と戦ったオーストラリアなどアジア・太平洋地域の各地で記念する行事が開かれた。また安倍晋三首相が14日発表した戦後70年談話に対する批判も出ている。
◇台湾では「抗日戦争勝利70年」記念
【台北・鈴木玲子】台湾では「抗日戦争勝利70年」を記念した特別展が15日、台北市内の「国史館」などで始まった。開幕式に出席した馬英九総統は、安倍首相の70年談話に対し「日本が反省しようとしていると信じているが、日本はさらに取り組むべきだ。とりわけ慰安婦についてだ」と注文を付けた。談話では「多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた」としているが、「慰安婦」と明言しなかった点を指摘したとみられる。
一方、尖閣諸島(沖縄県)の領有権を主張し、中台統一を目指す複数の反日団体が15日、台北市にある日本の対台湾窓口機関、交流協会台北事務所前で日本政府への抗議集会を開いた。参加者約200人は談話について「心からの謝罪がない」などと批判した。
◇兵士ら4万人死亡の豪州「先人たちに感謝」
【ジャカルタ平野光芳】連合国軍の一員として大戦に加わったオーストラリアでは15日、各地で戦勝70周年を記念する催しが開かれた。豪州では大戦で兵士ら約4万人が死亡し、北部の都市は日本軍からの空襲も受けている。アボット首相は声明で「今日ある自由で民主的なオーストラリアを守ってくれた先人たちに感謝する」と述べて勝利の意義を強調した。
◇インドネシア独立70周年 お祝いムード
インドネシアでは17日が独立70周年記念日に当たり、いたるところで国旗などの飾り付けの準備が進み、お祝いムードに包まれている。戦時中に日本の支配を受けたが、終戦2日後に独立運動のリーダーだったスカルノ初代大統領が独立を宣言しており、同国の対日感情は複雑だ。
日本が宗主国オランダを駆逐した側面を評価する一方で、過酷な日本の軍政に対する批判や戦争責任を追及する世論も根強い。歴史家のヘンドラジット氏は「今日の日本の繁栄はインドネシア人の犠牲の上に成り立っていることを忘れないでほしい。従軍慰安婦や過酷な労働に従事させられた『労働者』への謝罪や補償は十分とは言えず、日本政府の対応が必要だ」と話す。