JR新横浜駅・小机駅から車で3〜5分、徒歩15〜20分の場所にある「医療法人ワンアンドオンリー新横浜母と子の病院」を訪れた。1973年に現理事長の塩原和夫先生が開業して以来、約40年間、一貫して安心で安全なお産に取り組んでいる。今まで立ち会ったお産は3万件以上という塩原理事長は、大学院時代に学んだ子宮収縮についての専門知識を生かし早産防止に尽力している。産婦人科医としての腕はもちろんのこと、話上手でユーモアたっぷりなお人柄も人気で、親子二代で塩原先生に赤ちゃんを取り上げてもらったという例も少なくない、塩原理事長に開業の経緯や病院の特長でもある早産防止や無痛分娩についてなどたっぷりと語っていただいた。
(取材日2012年11月9日)
―はじめに、病院開業の経緯についてお聞かせください。
僕が大学院で子宮収縮をテーマに研究を進めていた頃、懇意にしていただいていた先輩の医師から「この地に港北ニュータウンという大規模な市街地ができる。塩原、ここで開業しないか?」と声を掛けていただきました。僕は石川県の出身で父から「長男なのだから卒業したら帰ってこい」と言われていたのですが、迷ったあげく地元には戻らず、1973年8月にこの地に3階建ての診療所を開業しました。開業後しばらくは開店休業状態でしたが、時間が経つにつれ周囲にマンションやアパートが建ち始め、3年目くらいからお産の数が1ヵ月に20〜30回となりました。当時は自然分娩が中心でしたから、僕一人ではとうてい無理で寝る暇もないくらいでした。そこで開業5年目に医師の数を増やし増築して病院に昇格しました。その後、横浜市営地下鉄が開通するなどの影響で人口がさらに増え、おかげさまで1ヵ月に約100回のお産をこなすようになり、「安心・安全」を第一に考え今日に至ります。
―安心で安全なお産のために具体的にどのような取り組みをされていますか?
当院は現在60床ありますが、安全なお産のために十分な数の医師と看護体勢を整えています。24時間365日必ずドクターが分娩に立ち会っており、N.I.C.U(新生児集中治療室)も24時間、専門医が対応しています。医師は産婦人科専門医9名を含む産婦人科医11名、麻酔科指導医、新生児専門医、小児科医、内科医と各分野のエキスパートをそろえており、看護師やアテンダント(看護助手)も法律で規定されている人数以上を配置することで、看護の面からも安全性の向上を図っています。ほかには、送迎バスの運転手、保険や育児の相談に乗るコンシェルジュなどを含め、合計すると200名ほどになります。スタッフが多すぎませんか?と聞かれることもあるのですが、お産の安全のためには質の高い医師やスタッフが数多くいることが大切です。目先の儲けのために人件費を削るようなことはせず、質、量ともに十分な医師と看護体勢を整えることでどんなことにも対応できるようにしています。
―無痛分娩に力を入れているそうですね。
営業的には「無痛分娩は楽ですよ、安心ですよ」ということになるのですが、僕は本音ではあまり力を入れたくないんですよ(笑)。本当は「産みの苦しみを知りなさい、その苦しみを愛に変えなさい」と言いたいんですよね。でもやっぱりお産の苦痛を怖がる患者さんは多くいて。以前、流行したラマーズ法のような和痛分娩は自然分娩に近い状態ですが、無痛分娩は計画出産となり37〜38週で陣痛を起こして産まなくてはいけません。長く待っていると痛みを止める前に陣痛が始まり自然分娩になってしまいますし、逆に、34〜37週3日までは後期早産と言われていて肺呼吸がうまくいかず、赤ちゃんのQOLを脅かす結果になることがあります。いずれにせよ、それぞれに良い点もリスクもありますから、すべてご説明して患者さんに選んでいただくようにしています。現在当院では分娩数の1/3が無痛分娩となっています。
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