癒し屋キリコの約束 #09【ナメたらいかんぜよ!】 2015.08.13


(猫の鳴き声)
(悲鳴)
(キリコ)あんたの女を誘拐した。
(悲鳴)
(キリコ)いいか?よく聞け。
(キリコ)女を無事に返してほしければ300万円用意しろ。
でないと…。
(悲鳴)平井透子の命はないぞ。
(登)勝手にすれば?何?今何ってった?
(登)煮るなり焼くなり勝手にすればいいじゃない。
次電話してきたら警察に通報するから。
(通話を切る音)あんたホントにあんな男にほれてんの?私もさむらむらって闘争心湧いてきた。
何てったっけ?あの作家気取りの男。
(透子)登。
片山登。
作家気取りじゃなくて現役の作家ですけど。
なめたらあかんぜよ。
片山登。
(カッキー)キリコさん。
この後どういう戦術取るんですか?あの男の体も精神もずたずたに切り刻んでやる。
(カッキー)
どうしてこんな物騒なことが起きたのかと申しますと昨日…
(カッキー)《おいしくなぁれ。
おいしくなぁれ》
(登)《それじゃあ。
さよなら》
(透子)《最後だけは払ってくれんの?》《そうよね。
ずいぶん貢いだもんね》
(透子)《ごちそうさまでした》
(透子)《あっ。
ごめんなさい》
(カッキー)《いえ》《おケガはないですか?》
(透子)《中途半端》
(カッキー)《えっ?》
(透子)《あいつ殴り方も生き方も中途半端》
(カッキー)《すいません。
ここ禁煙なんです》
(透子)《あっ。
ごめん》《いいよ》《吸いたいよね。
こんなときってさ》《ビール飲む?》
(透子)《ねえ。
何でろうそくなの?》《本心を告白するときってさこうぱあっと辺り四方が明るいと照れくさくて恥ずかしいっしょ》《で彼の本心を確かめるためにわざと別れ話持ち出したわけ?》《フッ。
で一発張られて「じゃあさよなら」》《フフッ。
薄情なもんだ。
傷つくよねぇ》
(透子)《いっつもそうなのあいつ》《私の言葉なんて全部お説教だと思ってる》《まあ8つも年上だからしゃあないけど》《透子さん幾つ?》
(透子)《37》《厄年か》《透子さん。
見えますか?》
(透子)《えっ?》《あっ。
お気付きでなかった?》《登青年との心理戦に無我夢中で目に入らなかったわけだ》《カッキー。
御利益のご説明》
(カッキー)《はい》《当昭和堂が誇ります大昭和御霊神社では霊魂のご供養はもとより千客万来。
交通安全》《受験就職…》《はい。
ストップ》《つまり恋愛成就から縁切りまで何にでも効くのよ》
(透子)《眉唾》《信じるも信じないも勝手だけどね》《ここら辺江戸の昔は五人堀って呼ばれた藍染川が流れててね古典的な下町》《言ってみりゃあ新内とか端唄の世界だね》《思うようにいかない人生。
愚かしさやるせなさ抑圧されても諦めきれない人間の業》《それでも生活のこまやかさを大切にした時代の一つ一つの物へのいとおしみ》《そういったもんがこの町にはゆらゆらってにおいたってる》
(透子)《ゆらゆらとね》《ある風流人がねこの町を上質の慰めって名付けたそうだよ》
(透子)《上質の慰め?》《そう。
この谷中の町には人間が近代合理主義と一緒に流し去ってしまったものが今でもちゃんと残ってる》《どう?雑誌の編集者ならちっとは分かるんじゃない?》《えっ?》《あんた『小説昭和』の編集者っしょ?》
(透子)《あっ。
これで?》《話したいこと人に相談したいこといっぱいたまってんでしょ?》《聞いてあげるよ》
(透子)《何だかあなたと気が合いそう》《フッ。
神様ともね》
(透子)《よし。
おさい銭奮発しちゃう》
(登)《ああー。
おい。
お茶》《お茶だよお茶!》
(登)《あちっ!?あちっ。
ああー》《将来の直木賞間違いなし》《私そう思ったの》
(透子)《持ち込み原稿なんて預かるだけ預かって読まないまんま机の上に山積み。
そのまんまシュレッダー行きっていうのが普通なんだけど…》
(透子)《あまりの酷使にシュレッダーがパンクしちゃってね》
(透子)《そのとき偶然手にしたのが…》
(透子)《読ませていただきました》《筋立ては大変面白かった》《けどね言葉遣いが荒いし古過ぎる》《だから私が赤入れました》《あっ。
それと大部分構成変えたわ》
(透子)《それで納得してもらえるなら編集長に推薦するけど》《1日だけ待ってください》《俺なりにもう一度直してきます》《明日のこの時間に原稿持ってきますから》
(透子)《すんなり「お願いします」》《「全てお任せします」ってやからが多いのに登だけはそうじゃなかった》
(透子)《発想はいいんだけど頭でっかち》《ネットと文献だけで調べものした気になってる》《足を棒にして取材することを知らない》
(カッキー)《うーん。
それで透子さんが今でも赤入れてるんですね》
(透子)《あいつ私が意見するの疎ましく思ってんのよね》《長い間我慢してたみたいだけどここんとこわざと物にならない原稿ばっか書いてて》
(カッキー)《一緒に暮らし始めて何年になるんです?》
(透子)《うーん。
初掲載のお祝いの夜何となくできちゃってそのまんまあいつずるずると私の部屋に》
(カッキー)《ってことはもう6年だ》
(透子)《そう。
6年。
ろくでもない6年》《とんでもない腐れ縁》《でさあんたいったいこれからどうしたいわけ?》《一緒になりたいの?それとも別れたいの?》《ははーん。
迷ってるわけだ》《厄年か。
勝負時かもね》《ねえ。
大ばくち打ってみる?》
それで計画されたのが…
(悲鳴)
透子さんの狂言誘拐なのでした
ところが…
(敦也)何?「勝手にすれば?」だと?
(カッキー)透子さん。
(透子)キリコさん。
ここに泊まってもいい?昨日宿泊代払ったでしょ?もらってないけど。
(透子)さい銭箱に入れたじゃない。
しばらくここに逗留するわ。
ねえ。
あいつの本心確かめてよ。
すご腕の癒し屋ならそれくらいできるでしょ?よし。
引き受けた。
けどあんた結構したたかだね。
(透子)出版界でもみにもまれた37歳ですからね。
ねえカッキー。
缶ビールもうないの?
(カッキー)あっ。
今持ってきます。
・「ピンポンパンポン」当ホテルのビールは一律1,000円均一となっております。
なおルームサービスはサービス料として…。
(透子)カッキー。
缶ビールいらない。
コンビニどこ?あんた透子を捨てる気かい?まあね。
へえー。
じゃあもう彼女ご用済みってわけかい?それじゃこの部屋即刻立ち退いてもらおうか?えっ?居候君よ。
そのつもりだよ。
ほら。
もう荷物もまとめてある。
ははあ。
そりゃ用意周到なこった。
で家賃は?はっ?6年分の家賃だよ。
透子のやつ慰謝料なんかもらうつもりはないけど登が勝手に居着いたんだから家賃だけはよこせって言ってる。
(カッキー)キリコさん。
うるせえ!三下は黙ってろい!いい部屋だよな。
大学中退のプータローじゃとても住めねえ部屋だ。
(登)俺はプータローじゃない。
物書きだってえのか?お前今までで原稿料幾ら稼いだ?6年間で小説誌に載ったのがたったの3回。
それも全部透子のごり押し。
お前は透子のヒモなんだよ。
ヒモ。
売れねえ原稿はごみと一緒だ。
売れねえ原稿しこしこ書いてるお前もごみだ。
ごみ人間なんだよ。
資本主義っちゅうか高度自由経済社会ではそういうことになっとる。
(敦也)お前はあの女に食わせてもらってた。
なのに感謝の気持ち一つなく平然と捨てようとしてる。
許せねえな。
(敦也)あんないい女をよ。
(登)頃合いだよ。
別れる頃合い。
誰だってそういう時期あるんじゃないの?そもそも別れ話切り出したの透子の方だし。
坊や。
人生分かったようないっちょ前の口たたくじゃねえかよ。

(敦也の気合)まあ男と女。
2人のこれからのことはどうでもいいとして家賃だよ家賃。
きっちり落とし前つけねえと。
(登)うわっ。
痛てて…。
二度と原稿書けねえようになるぜ。
(登)い…いったい幾ら払えば透子と別れられるんだ?だから300万。
耳揃えてあした中に持ってきな。
でないとホントに腕失うことになるぜ!
(登)いや。
分かった分かった分かった!よーし。
男同士の固い約束だ。
えっ?あんた男だったの?そうだよ。
(登)だってさっきキリコって。
キ…キリ…。
切り子細工の切子ってんだ。
めったにねえ名字だろ?おい野郎ども。
引き揚げだい。
(敦也)おう。

ああ。
私たちがやってることは犯罪一歩手前
いいえ。
脅迫という明白な犯罪なのです
私このまんまキリコさんについてっていいのでしょうか?
(キララ)8つ年上か。
透子さんの恋の行方興味ぎんぎんだな。
女ってさ自分が年上だと妙に意識しちゃってどうしてもお姉ちゃん目線になっちゃうんだよね。
それがそのうちお母さん目線に。
(涼)キララちゃんはさお母さんがいなくなってからずっと栞ちゃんの面倒を見てきたじゃない?姉として母親代わりとして。
だからいっそうそういう意識が強いのかもしれないね。
(キララ)うん。
そうかも。
透子さん登さんへの励ましが愛情に変わってどつぼにはまっちゃってんだよね。
自分の幸せ犠牲にして登さん売り出そうって血眼になってたのに。
かわいそう。
栞の将来もだけど私できたら涼君の夢何とかかなえてあげたいって思ってっから。
その支えになれたらっていつも考えてっから。
だからそのうち私も透子さんみたいになっちゃうかも。
相手の夢をかなえてあげたい。
でも自分が邪魔になるかもしんない。
どうしよう。
どうしよう。
でどつぼ。
(涼)いいんだって俺のことは。
ほっといてくれてさ。
(キララ)えっ?
(涼)一筋縄じゃいかないんだよ。
俺の夢は。
実現させるためには。
(キララ)ねえ教えて。
涼君の夢っていったい?
(キララ)枇杷橋跡?
(涼)団子坂の菊人形を見た後三四郎と美禰子は二人っきりでここまで歩いたんだ。
ここで美禰子はこう言った。
ストレイシープ。
(キララ)ストレイシープ?
(涼)迷える子羊。
迷子のことだよ。
人生どうやって生きていったらいいか。
三四郎も美禰子も迷ってたんだ。
俺もそうだけど。
(キララ)すごい。
涼君って物知りだったんだね。
(涼)キリコさんから本借りたんだ。
漱石の『三四郎』
(涼)キリコさんってさいつも酔っぱらって口から出任せ言ってるみたいに見えるけど相手が何考えてんだか何悩んでんだかお見通しでさ。
(涼)何だか知れば知るほど怖い。
(キララ)うん。
私も時たま怖いなこの人って思う。
でもさ天涯孤独な涼君にとっちゃキリコさんはお姉さんでもありお母さんでもあるんだよね?
(キララ)ねっ?透子さん?根津神社のツツジ。

(登)痛え。
何だよ!
(女性)何?
(登)何ぶつかってきてんだよ?
(女性)そっちがぶつかったんじゃない。
(清助)あれ?えーと。
(登)いいよ。
あいつ。
母ちゃん。
ちょっと出掛けてくらぁ。
(富子)どこへだい?
(清助)いや。
昭和堂。
(富子)あの店に入り浸るのはおやめって言ってんだろ?あの魔女に取りつかれたら地獄に落ちるよ。
1回落ちてみてえもんだな。
ハハハ。
(富子)くーっ。
清助!
(登)これで勘弁してください。
カッキー。
幾ら?
(カッキー)32万7,512円です。
10分の1じゃん。
(登)友達に頭下げてやっと。
ふーん。
あんた友達少ないんだね。
まっ。
書斎にこもりっ放しだから無理もないか。
(登)お願いします。
これで俺の腕折るの勘弁してください。
腕はいいけどあんた透子の方はどうすんの?
(登)えっ?自分の腕のことだけ心配で透子の身柄はどうでもいいってことか?このくず人間!今から私があんたの根性たたき直してやる!
(登)「私」?あんた男じゃなかったの?うるせえ!片山登。
覚悟しろ!2015/08/13(木) 13:25〜13:55
関西テレビ1
癒し屋キリコの約束 #09[字][デ]【ナメたらいかんぜよ!】

今週“癒し屋”のキリコ(遼河はるひ)を訪ねて来るのは、万引きがやめられない母親に悩む子どもと、50代にしてシンガーを目指すリストラ男。キリコらしくお金で解決!?

詳細情報
番組内容
 「バシッッ!!」純喫茶・昭和堂に平手打ちの音がこだまする。頬を押さえているのは小説誌の編集者・透子(霧島れいか)、店から立ち去っていったのはその同棲相手で売れない作家の登(伊藤俊輔)だった。戸惑うカッキー(前田亜季)をしり目にキリコ(遼河はるひ)は、いつものロッキングチェアから透子をうかがう。
番組内容2
 透子は8歳年下の登を一人前にしようと、この6年間ズルズルと自宅に住まわせながら、懸命に支えてきたと言う。しかし、モノにならない原稿ばかりで、この先どうしようかと悩んでいたところだったのだ。悩みを聞いてあげるから、と透子にまんまとお賽銭を奉納させると、金にがめついキリコはニヤリ。
 登をどうにか必死にさせようとキリコが考えたのが狂言誘拐。
番組内容3
「女を誘拐した。無事に返して欲しければ300万円用意しろ」キリコが、携帯電話の向こうの登にすごむ。だが、返ってきたのは「勝手にすれば?(平然)」この一言で、闘争心を刺激されたキリコは…。
出演者
有村霧子:遼河はるひ 
柿崎照美:前田亜季 
上山 涼:戸塚祥太(A.B.C−Z) 
小出清助:長谷川朝晴 
都幾川敦也:小林正寛 
キララ:中山来未 
本城 栞:吉原茉依香 
小笠原千香:月船さらら ほか
スタッフ
【原作】
森沢明夫『癒し屋キリコの約束』(幻冬舎文庫)
【脚本】
佐伯俊道 
大島まり菜 
【演出】
星田良子 
【プロデュース】
市野直親(東海テレビ) 
高橋萬彦(共同テレビ)
【音楽】
森英治 
【主題歌】
「Thank You For The Music」ラストヒロイン(中山来未)(ソニー・ミュージックエンタテインメント)
【制作・著作】
共同テレビ
【制作】
東海テレビ
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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