(英一)
僕の名前は花菱英一。
通称花ちゃん。
僕ら花菱家は古い写真館に引っ越してきた。
そこは幽霊が出るという噂の写真館だった
(順子)幽霊。
出たの?
(店子)出るんですか?噂はあったよ。
小暮のじいさんの幽霊。
(光)ここんちにね小暮さんの幽霊が出るんだって。
この家に小暮さんの幽霊が出る事を知っててこの家買ったの?
(京子)別にいいじゃない。
既にうちは1人いるんだし。
実は花菱家にもこの世にはいないもう一人の家族がいる
風子しっかりして!
4歳で死んだ妹の風子だ
(美土里)あの写真館に住んでるんだったら責任取ってよね。
えっ?
ここに来て以来どういう訳か僕のもとに奇妙な写真が持ち込まれ…
(千春)花菱君って心霊写真の謎解けるんだってね。
いや俺そんなんじゃ…。
見てやってよ。
僕は心霊写真探偵なんて呼ばれるようになった。
そしてまた不思議な写真が舞い込んできた
何だよ?これ…。
(光)それを解明してほしいんじゃない心霊写真探偵さん。
てか何でピカがここにいるんだよ?モデルになってもらってるんだもん。
(3人)ね〜?ほら。
(女子生徒)ピカちゃん続きやるよ。
は〜い!絵うまいな。
うまい。
さすがだね。
ねっ!これね3年前に河合公恵先輩んちで撮ったの。
で…こっちが先輩のお父さんとお母さん。
うん。
ちなみに公恵先輩は我が軽音楽部OBだよ。
うん。
ふ〜ん。
でも何でこの3人だけなんだ?何で泣いてるんだろ?
(千春)だからそれを小暮寫眞舘の跡取りで小暮一族13代目の花ちゃんにさ突き止めてほしい訳よ。
はっ?だって90まで生きたおじいちゃん譲りの霊能力があって呪われた心霊写真を浄化するのが宿命なんでしょ?俺小暮一族じゃないし。
しかも花菱一族は霊能力とかゼロだし。
でも家に幽霊いるんでしょ?こういう謎解けるでしょ?いやそれは…。
公恵先輩にはねすごくお世話になったの。
だからずっと悩んでた。
この写真捨てるに捨てられなくてさ。
花ちゃんここはさ一肌脱ぐっきゃないんじゃん?まあいいけどさ…。
(京子)う〜ん!これすごくおいしい!花ちゃんの探偵料前払いしてもらってんだ。
お前は俺のマネージャーか。
うちの人気商品なんです。
(秀夫)「甘味処てらうち」か。
看板娘だ。
はい!それにしてもこれも不思議な写真よね〜。
河合公恵さん?こちらのご家族もご近所なんでしょ?はい。
気持ちのいい縁側のある家で。
この写真は3年前私の高校入学の時に撮って公恵先輩から記念にもらったんです。
撮影したのは足立文彦さん。
(足立)いいですか?撮りますよ。
(千春)は〜い。
はいチーズ。
(千春)公恵先輩の婚約者だったんだけど4か月後に足立さんから突然婚約破棄されて別れちゃったんです。
どうして?理由は…。
ご両親怒っただろうな。
でもそれなら泣き顔じゃなくて怒った顔になるんじゃないの?それからおやじさんが倒れちゃって工場を畳んだんでしょ?うん…。
何かこの写真が不幸の始まりだったみたい。
つらかっただろうな。
予感みたいなものだったのかしらね?この泣き顔。
それから公恵先輩あんまり笑わなくなっちゃって…。
なんとかしてあげてよ花ちゃん。
これ公恵先輩の連絡先。
はい。
頼りにしてます。
う…うん。
この写真撮った元婚約者の足立さんってこの時何思ってたのかな?
(ドアベル)
(店員)いらっしゃいませ。
(公恵)花菱君ね。
はい。
ごゆっくりどうぞ。
千春ちゃんから聞いたわ。
心霊写真の探偵さんなんですってね。
すごいわね。
いえそんなんじゃ…。
あっ写真見せてくれる?あ…はい。
どうぞ。
ありがとう。
懐かしい。
たった3年前の事なのにね…。
このころとは全部変わっちゃった。
すみません。
嫌な事を思い出させてしまって。
ううん千春ちゃんには気持ち悪い思い出作っちゃったなって気になってたの。
だからどんな事でも遠慮なく聞いて。
私も知りたいから。
何でこんな写真が出来ちゃったのか。
3年たったら泣いてる私たちの顔が消えてるんじゃないかって思ったけどそんな事ないのね。
過去って消えないのね。
その写真を撮られた方…足立さんはその時何とおっしゃったんですか?すごく慌ててた。
回想ごめん…僕の腕がヘボだから。
駄目!せっかくの記念写真じゃない!でも…。
気にしないで。
きっとお父さん結婚式で泣いちゃうだろうからその前触れよ。
(公恵)彼は「そうだね」って笑ってくれなかった。
思えばそのころからかな。
心ここにあらずって感じになり始めたの。
最初はね仕事が忙しいんだと思ってたの。
確か足立さんはお父さんの会社の取引先にお勤めだったんですよね?うん。
ワールドテクニカル・クリエーションっていう外資系メーカーの日本支社よ。
足立って人は日本の町工場の技術を世界の最先端企業に売り込んだりする仕事をしていたらしい
先輩のお父さんはどんなものを作ってたんですか?うちは機械関係の部品を作ってたの。
工員のおじさん2人と父と母だけの小さな会社。
回想
(富士郎)うちの作った部品がスペースシャトルで宇宙へ行くのか…。
そうですよ。
河合精鋼は小さくたってどんな大企業にもまねできない技術があるんです!
(公恵)足立さんが担当になってから大きな注文が増えてお父さんすごく喜んでた。
彼も真剣にうちの工場の事考えてくれてた。
それに私とも…。
公私ともにうまくいってたんですね。
すごく幸せだった。
家族が増えて会社も大きくなる。
父は毎日そんな夢を語ってた。
でも結局夢で終わっちゃった…。
回想
(足立)すまない。
結婚の事はなかった事にしてくれ。
どういう事?別な女とつきあってる。
誰?前の彼女なんだ。
再会して…。
(公恵)その人足立さんと私が婚約してるのを知って手首を切ったんだって。
命に別状はなかったんだけど彼は責任を取るからって。
その人と結婚するって事ですか?先輩はそれでよかったんですか?でも別れたくないなんて言えなかった。
彼があんまりにもつらそうで…。
回想僕はひどい男だ…。
ひどい男だ。
本当にごめん…。
(公恵)あの涙見たら私が身を引くしかないなって。
優しいんですね公恵先輩。
そうじゃない。
ずるいのよ私。
えっ?私ね希望持ってたの。
この写真があったから…。
彼は私を悲しませるのがつらくてその気持ちがこの写真に表れたんだって思ったの。
だから彼に嫌われたんじゃない。
だから泣いたりわめいたりぶざまな事しなかったらひょっとしたらいつか戻ってくるんじゃないかって希望。
先輩のお父さんはその時泣いたんですか?その写真のように。
(公恵)ううん。
回想何だと!?あいつどういうつもりだ!ぶん殴ってやる!お父さんやめて!もういいの!チクショー!あんなやつ二度とうちの敷居またがせねえからな!やめて!チクショー!
(公恵)父が脳梗塞で倒れたのはそれから半月もたたない時だった。
工場もやっていけなくなって…。
(工員A)奥さんお世話になりました。
(康子)ごめんなさいね。
こんな事になって…。
(工員B)公恵ちゃんも元気でな。
幸せになるんだぞ。
おじさん…。
(工員A)おやじさんお世話になりました!
(泣き声)
(公恵)父は工場が生きがいだったから…。
もう希望も何もかも無くして…。
亡くなったわ去年の秋。
父を死なせてしまったのは私。
私のせいなの。
回想
(京子)私が至らなくて…。
駄目な母親ですみません。
(敏枝)そうだよ。
京子さんあんたの責任よ。
そんな事ない!先輩のせいなんかじゃないです。
ありがとう。
でも結局この写真のとおりになっちゃった。
まだ分からないじゃないですかその写真の謎。
僕が調べます。
必ず謎を解いてみせます。
だから先輩はそういうふうに自分を責めるんじゃなくまた昔みたいに笑ってくれますか?社長ならお客さんと物件見に行ってるよ。
私忙しいんだけど。
これ気に入ったんだ?何?頼みって。
え〜っと…。
これなんだけど…。
元婚約者の足立文彦さんが最後に住んでた所。
今どこに引っ越したのか分かんなくて…。
そんなの直接勤務先に電話すればいいじゃん。
したよ。
したんだけど会社が無くなってて…。
だから頼む。
手数料はもらうよ。
まあいいけどさ…。
(須藤)あれ?お二人さん。
何か仲良さそうじゃない?
(2人)そんな事…。
(京子)会いに行けばいいじゃない。
私がいいって言ってるんだから。
そういう事じゃなくて…。
これ以上意地を張るんだったら私本気で離婚考えますからね。
でもね京子僕あの時決めたんだよ。
僕は行かない。
(小声で)おい!駄目戻れ。
戻れ戻れ戻れ。
ねえ花ちゃん。
お父さんとお母さんが離婚したらどうなっちゃうの?飛躍し過ぎだって。
ほらえ〜あれだよ。
「喧嘩するほど仲がいい」っていうじゃん。
あれだよ。
「喧嘩するほど仲がいい」?大丈夫。
今そんな事言ってる場合じゃないでしょ。
僕は行かない。
行かない。
父さん。
花ちゃん。
今帰り?うん。
浮気じゃなかったか〜リストラか〜。
えっ?会社クビになったって言えなくて夕方まで公園で時間潰してる人がいるなと思ったらまさかうちのおやじだったとは〜。
何か誤解してない?今日は会社の研修だったんだよ。
たまたま早く終わっただけ。
ホント?ホントだよ。
それにさ父さんが浮気するような男に見える?無理。
フフッ…。
じゃあ家に帰ろっか。
何で?もう家には帰らないって決めたんだ。
何だよ?それ。
何があったの?ピカが心配してるよ〜。
ごめん。
父さんごめん。
俺今から公恵先輩の元婚約者のところに行かなきゃいけないから。
一緒に来て。
これってこっちかな?こっち。
この辺のはずなんだけどな。
あっ!ここじゃない?ほら。
トモダ荘。
えらくボロだね〜。
ねえホントにこんなとこに住んでんの?公恵先輩の元婚約者。
うん。
(ノック)すいませ〜ん。
はい?足立さんですよね?僕花菱と申します。
あの…この写真についてお伺いしたいんですけど。
…とこっちは付き添いです。
あっどうも。
あっお茶入れましょう…。
あっ結構です。
あのお察しでしょうけど足立さん以外に聞かれたくないんです特に奥さんには。
それなら心配要らないよ。
キミちゃん元気なのかな?お元気ですよ。
ちなみに公恵先輩のお父さんは去年の秋にお亡くなりになられました。
脳梗塞で倒れて体が不自由になった事ご存じないですか?いつ?あなたが公恵先輩と婚約解消して半月後。
ああ…。
この写真を見た時に顔色を変えたそうですね。
お心当たりはあるんでしょうか?どういう事?思いが写真に表れるって知ってます?その念写っていうんですけど…。
それって特殊な能力が必要なんだよね?多分…。
僕にはそういう能力がある。
もしかしてこれも?えっ?この人公恵さん?そう。
今は髪形違うけど。
それが僕が覚えてるキミちゃんだから…。
これどうしたんですか?この間ふとたまらなく寂しくなっちゃってねそれで思い出したのはやっぱりキミちゃんの事で彼女の事を思いながら鏡の中の自分にシャッターを切ったらそんな写真に…。
昔からこういう事ができたんですか?いや人生でこの2枚だけだよ。
手首を切った彼女と結婚するってうそだったんじゃないですか?何で…?こんなふうに独りで寂しく暮らしててこんな写真が撮れちゃったって聞いたら誰だって。
公恵先輩と結婚できなかった本当の理由って何ですか?もしかして会社が無くなっちゃった事と関係があるんじゃないでしょうか?回想うちの作った部品がスペースシャトルで宇宙へ行くのか…。
そうですよ。
河合精鋼は小さくたってどんな大企業にもまねできない技術があるんです。
(足立)僕は自分の会社を通じて河合精鋼の技術をアメリカに売り込もうと考えたんだ。
でもな〜だからといって昔から長いつきあいのある客からの注文を断るっていうのもな…。
何言ってるんですか。
いつまでもちっぽけな仕事に甘んじてちゃ駄目ですよ。
一緒に河合精鋼の技術を世界のど真ん中に見せつけてやりましょう。
世界か…。
そうだな。
男と生まれたからには一遍くらい勝負してみるか。
はい!
(足立)この際海外進出一本に絞るべきだ。
僕はおやじさんにそう勧めていた。
当然古くからいる工員さんたちは反対してた。
あんな若造の口車に乗って世話になった得意先切るなんてどうかしてますよ。
昨日今日日本に来たような会社信じていいんですか?
(富士郎)うるせえな。
お前らには夢っていうのがねえのか?俺はなワールドテクニカルっていう会社を…いや足立文彦っていう男を信じる事にしたんだよ。
ハハハハ!
(足立)うれしかった。
本気で一緒に世界へ行くつもりだったんです。
なのに…。
3年前アメリカの本社が日本から撤退を決めたんだ。
でもそうなったら河合精鋼は…。
キミちゃんのおやじさんに何て言ったらいいんだ?ずっと一緒に頑張ってきたのに…。
僕はそれでもなんとか河合精鋼を救いたかった。
回想お願いします!河合精鋼はホントにすばらしい会社なんです!なんとか発注を続ける訳には…。
(足立)でも1人の力でどうにかなるもんじゃなかった。
逆に自分がクビになった。
このままだと河合精鋼は潰れてしまう。
仕事のない僕にはもうキミちゃんを幸せにする事もできない。
でもみんなは何も知らない。
楽しそうで幸せそうで…。
ひょっとしてこの写真を撮った時って…。
(足立)あの家には縁側があったんです。
回想
(足立)いいですか?は〜い。
撮りますよ。
(足立)僕は二言目には世界へ世界へって言ってた。
回想一緒に河合精鋼の技術を世界のど真ん中に見せつけてやりましょう。
(足立)確かに一瞬は世界とつながった。
でもど真ん中には行けなかった。
所詮河合精鋼は世界の縁側でしかなかった。
縁側はどこまで行っても縁側でしかない。
嵐になれば真っ先に雨ざらしになる。
会社の事おやじさんに話そうとは思わなかったんですか?言えなかったんだよ。
きっとおやじさんは怒るより自分を責める。
僕なんかを信じたのがいけないって。
怒るより悲しむ。
だからこの顔なのか。
悔しくて情けなくて泣いてるんだ。
だから公恵先輩のそばから離れようと…。
キミちゃんはいつでも僕が一番幸せになる事を考えてくれてた。
だからほかの女と結婚するって言えばきっと諦めてくれるって。
僕なんかと一緒にいるより別れた方が幸せになれるって思ったから…。
違う。
それは違うよ。
何で…。
何でそばにいてあげなかったかな?何で逃げたかな?だって君営業マンでしょ?新しいお客さん探すとか河合精鋼が切った昔のお客さんに頭下げてもう一度一緒に仕事させてもらうとか何かできたんじゃない?だってさこれからが本当に大変になるって時だったんでしょ?どんなに陰で思っていてもそばにいなきゃ何にもできないんだよ。
いや…できなくてもさ一緒にオロオロするだけだっていいんだよ。
でもさ自分の愛する人が本当に大変な時にそばにいないなんてそんなの家族じゃないよ。
家族が死ぬって大変な事なんだよ。
(泣き声)肝心な時にそばにいないんじゃ意味ないんだよ。
大事な人を守れないなんて男じゃないんだよ。
そんなの父親じゃないんだよ。
(ドアを閉める音)・
(チャルメラの音)
(チャルメラの音)父さん。
あれ?おじさん?テンコ君。
どうしたんですか?うん…。
・あっもしもしピカ?母さんいる?今お風呂入ってる。
うんそっか。
あのさテンコんちに泊まるって言っといて。
(光)テンコちゃんちで野宿するって言えばいいんだね。
うんありがとう。
(光)うん。
あっ花ちゃん!・ん?どうした?ううん何でもない。
(光)じゃあね。
うんじゃあね。
母さん何だって?お風呂入ってるって。
そっか…。
いろいろごめんな。
それは別に…。
てか何で母さんと喧嘩したの?じいちゃん…父さんの父さんな肺がんでそろそろ危ないんだってさ。
それ死んじゃうって事?何やってんだ!早く行けよ。
グズグズしてると親の死に目にあえないよ。
母さんと同じ事言うんだね。
そりゃ当たり前だよ。
いいんだ。
風子が死んだ時母さんと話し合って約束したんだから。
親兄弟とは絶縁するって。
なのに母さん「早く行け会わないと後悔する」って。
だから喧嘩になっちゃって。
そりゃ母さんが正しいよ。
正しいかどうかじゃないんだ。
父さんは約束を破る事が嫌なんだ。
それは約束は別にどうでも…。
よくないよ。
父さん人生の全てを懸けて約束したんだから。
何でそんな約束したの?あのころの事花ちゃんは覚えてないか。
う〜ん覚えてないね…。
心の声忘れる訳ない。
ただ記憶をカチンコチンに凍らせて思い出さないようにしてきただけだ。
風子をああいう形で死なせてしまったのは父さんの責任なんだ。
心の声誰が悪かった訳じゃない。
いいや「誰か」が悪かった。
悪かったとしたのならそれは…。
違うよ。
インフルエンザのせいだよ。
小さな子どもが死んだら理由がどうであれそれは親の責任なんだよ。
父さんの親兄弟は特に厳しかった。
(京子)すみませんすみません…。
すみませんすいませんすいません…。
私がいけないんです。
私の責任です。
(敏枝)そうだよ。
京子さんあんたの責任よ。
母親失格よ。
(正秀)おい。
あんなにかわいかったのに…。
かわいそうに…。
(泣き声)
(栄美)京子さんあなた何ですぐに救急車呼ばなかったの?何してたの?母親のくせに。
私の孫を返せ。
孫を返せ。
返せ!返せ!返せ!返せ!返せ!返せ!孫を返せ!父さん右往左往するばっかりでろくに母さんかばってやれなかった。
「うるさいうちの娘を静かに送ってやるんだ」って言えなかった。
で風子のお葬式が終わった夜母さん言ったんだ。
回想私は至らない嫁です。
駄目な母親です。
あなたのご家族が満足するような嫁にはなれません。
だから…。
離婚して下さい。
お願いします…。
一番悪いのは父さんだったのに。
父さん風子が死んだ夜いなかったんだ。
あの日は出張で岡山に行ってた。
肝心な時にいなかった。
大事な家族を守ってやれなかった。
回想肝心な時にそばにいないんじゃ意味ないんだよ。
そんなの父親じゃないんだよ。
だから…。
回想だったら僕が身内と絶縁する。
僕が親兄弟と別れる。
もう誰にもあなたを責めさせたりしない。
(泣き声)だから京子さん…。
あなたはこれからは僕と家族の事だけを考えて下さい。
離婚するなんて言わないで下さい。
これからは何があっても家族を守るから。
駄目よ…。
母さんは「あなたにだけそんな事はさせられません。
私も実家と縁を切る」って自分まで実家と絶縁しちゃったんだ。
母さんさっきお風呂に入ってるって言ってたろ?多分泣いてるんだ。
母さん風子の事いろいろ思い出して泣けてくるとみんなに聞かれないようにお風呂に入って泣くんだよ。
そこまで母さんの事分かってんだったら行けよ。
父さんと俺たちだけを守るって覚悟を決めた母さんが行けって言ってんだから。
その気持ち分かれよ。
(店子)花ちゃん。
花ちゃん。
よっ起きた?うん…。
あれ?父さんは?ああ何か実家に帰らないといけなくなったからって明け方出ていった。
ただいま。
(京子)ああお帰りなさい。
手伝おうか?ううん大丈夫。
ゆうべピカちゃんおねしょしちゃったのよ。
へえ〜珍しいじゃん。
うん。
ここんとこいろいろあったからね。
うん…。
でも全部それお父さんとお母さんのせいだから。
勘弁してやってね。
いやそれはいいけどさ…。
(京子)さっきお父さんから電話あったのよ。
間に合ったって。
ちゃんとじいちゃんに会えたんだ。
うん。
このままお通夜とお葬式に出てから帰るって。
そっか…。
花ちゃん。
お父さんといろいろ話したんだってね。
あのねお父さん言わなかったと思うけど風子のお葬式の時お父さんただオロオロしてたんじゃないのよ。
ずっとお母さんの方のおじいちゃんとおばあちゃんに謝ってくれてたの。
回想私の責任です。
申し訳ありませんでした。
ホントに申し訳ありません。
(泣き声)うん…。
まあ結局さ父さんと母さんは似た者夫婦なんだからさ。
もう離婚するなんて言わないで。
(戸を開ける音)
(千春)いらっしゃいませ。
花ちゃんこっちこっち。
うん。
どうも。
あれから君のお父さんに言われた事いろいろ考えてね。
今更だけど僕は間違っていたよ。
縁側には縁側の価値があったはずなのに。
雨にも負けない意地も暖かい日だまりの優しさも。
どんな事があっても僕はそばにいるべきだった。
あの写真持ってる?はい。
どうぞ。
(足立)この写真に現れたのは僕が泣かしたキミちゃんとキミちゃんのご両親だ。
そしてこっちが僕が望んだキミちゃんだ。
こんな笑顔で笑って許してほしいっていう…。
何もかも全部自分勝手な僕の気持ちが現れたんだ。
これからどうするんですか?謝って済む事じゃないのは分かってる。
それでも謝って謝って…。
公恵先輩まだ希望持ってるんですよ。
ねっ?え…?はい。
足立さんに嫌われたんじゃない。
ひょっとしたら戻ってきてくれるんじゃないかって。
まだあなたを信じてるんです。
何やってんの?あっ!いいもの持ってるじゃん。
ああうん…。
(2人)まあいいけどさ…。
何か意外。
うるさい。
たい焼きは嫌いじゃないの。
違う。
子ども。
あの子たまにいるんだよ。
あのさ無神経と悪意の境目ってどういうところにあるんだと思う?何の話?例えばさ小さい子が死んだとして悲しんでる親に向かってその子が死んだのはあんたが駄目な親だからって責めたりとか。
それって無神経じゃない?それは無神経なんじゃないよ。
本気で責めてる。
小さい子どもが死ぬなんてあっちゃならない事だからね。
誰かの責任にしないと腹がおさまらない。
そういうのは善意だからね。
余計に始末が悪いんだ。
善意…。
正義って言った方がいいかも。
それってあんたの妹の事だろ?何で知ってんの?社長に聞いた。
…っていうかあんたの弟が来た。
ピカが?小暮さんがどんな人だったか教えて下さいって。
あの子本気で小暮さんの幽霊に会いたいんだってね。
回想ここんちにね小暮さんの幽霊が出るんだって。
小暮さんの心霊写真。
う〜んでもいるなら会いたい。
う〜ん…。
風子…妹の幽霊に会いたいっていうんなら分かるけど何で小暮さんなんだろう…?
(光のものまねで)風ちゃんは僕の事分からないかもしれないから小暮さんにお願いして紹介してもらいたいんです。
…だって。
風子がピカの事分かんないはずがない。
(光のものまねで)僕もう大きくなっちゃったから風ちゃんには僕が光だって分からないかもしれないんです。
どうした?知ってる人?おい!おうテンコ。
花ちゃん大変だ!ピカちゃんがさどこにもいないんだよ。
どういう事だよ?いやあの…。
今日スケッチの日でさ英会話教室に迎えに行ったんだけど無断欠席してるって。
はっ?でお前んちに行ったんだけど誰もいなくてさ。
(汽笛)2015/08/13(木) 01:00〜01:50
NHK総合1・神戸
プレミアムドラマ 小暮写眞館(3)「縁側の涙」[字]
宮部みゆき原作。英一(神木隆之介)が新たに探る心霊写真。河合家の縁側で微笑む親子の隣に、なぜか同じ親子の泣く顔が?一方、父・秀夫(石黒賢)は夫婦喧嘩でプチ家出!
詳細情報
番組内容
周りから心霊写真探偵と呼ばれる花菱英一(神木隆之介)の元に、またも不可思議な写真が舞い込む。それは、河合家の縁側で親子3人を娘の元婚約者が撮影したもので、なぜか背景にも親子3人が泣いた姿で写っていた。その謎を究明しようとすると、英一の両親に夫婦げんかが勃発。弟のピカ(加部亜門)が母・京子(松下由樹)を心配する一方、父の秀夫(石黒賢)はプチ家出をするものの行くあてもなく、結局英一の捜査に付き添い…。
出演者
【出演】神木隆之介,成海璃子,松下由樹,石黒賢,加部亜門,堀井新太,笹野高史,徳永えり,渡辺哲,郭智博
原作・脚本
【原作】宮部みゆき,【脚本】国井桂
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
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