花咲舞が黙ってない #6 2015.08.12


(花咲舞)イチ二サンシ。
イチ二サンシ。
イチ二サンシ。
イチ二サン…。
おっ!あぁ〜!おはようございます。
(相馬健)何しとるんだお前は。
いやちょっと早く着いたんで仕事に備えて準備運動を。
(芝崎)朝から元気だね〜。
スポーツクラブじゃないのここは。
最近臨店がないからもう体が鈍っちゃって。
そんな花咲君に朗報だぞ。
臨店ですか?いや臨店ではないんだけど…。
今日から2日間検査部の応援だと。
検査部の応援ですか?与信検査で人手が足りないらしくて頼まれたんだよ。
与信検査って何するんですか?まぁ支店で融資が正しくなされているかのチェックだな。
うん融資マンの相馬君はまさに適任だと思ってね。
あっ私融資のことよく分からないんですけど。
お前は俺のお供というかおまけだな。
おまけ?行き先は深川支店だぞ。
ラッキー!家の近くじゃないですか。
いやラッキーではないかも…。
どうしてですか?深川支店の支店長は…。
あっ…。
(舞:相馬:芝崎)真藤派閥…。
そういうこと!あぁ気が重くなって来た。
しかも今回はそれだけじゃないらしいんだ。
何があるんですか?与信検査のリーダー氷室主任だよ。
どんな方なんですか?人呼んで「支店荒らし」。
支店荒らし?ああ。
1個でもミスを見つけると徹底的にやり込めて身も心もズタズタにして行くとか行かないとか。
氷室主任の通った後はペンペン草も生えねえとか。
あぁ〜…!2人とも大げさですよ!そんなの噂が広まる間に話が大きくなってるんじゃないんですか?
(氷室)君達が臨店班か。
はい相馬です。
花咲ま…。
下の名前は結構だ。
すいま…。
検査部の氷室だ。
私が今回の与信検査の指揮を執る。
君達も私の指示に従ってもらうからそのつもりで。
はい。
はい。
頼むぞ。
はい。
君は元テラーだそうだな。
はい。
はぁ…人事は何を考えてるんだ。
与信検査が何たるかも分からない元テラーをよこされても…フッ。
足手まといになるだけじゃないか。
はぁ…。
いいか!与信検査というのは信用第一の銀行であってはならない間違いを見つけて正すこと。
はい…。
不正を正して銀行の正義を守るつまり東京第一銀行を良くするための仕事だということだ。
はい…。
ずぶの素人に務まるとは思えないが人事の指示ならやむを得ない。
君にお願いしたいことはただ1つ!我々の足を引っ張らないでくれ。
はい。
花咲例によって念のために言っておくが氷室主任に対して余計なことは一切言うなよ。
はい。
何だよその顔は。
若干自信ないです。
頼むぞ!たった2日の辛抱なんだから!あっいかん…行くぞ。
(田山)どうもご足労お掛けいたしまして。
支店長の田山でございます。
融資課長の北村ですよろしくお願いいたします。
(氷室)これが検査対象の会社のリストです。
クレジットファイルをここへ持って来てください。
承知いたしました。
チェックして問題のある融資については4時からの検討会で厳しく指導させてもらいます。
はい。
はい。
あぁそれから…。
(田山)はい。
はぁ〜少し暑いな。
空調どうにかなりませんか?あぁ…すぐに確認いたします。
他には何か…。
はぁ…特には。
あっ…はい。
(北村)噂通りかなり難しそうな方ですね氷室主任。
(田山)ああ。
覚悟しておいたほうがいいようだな。
はい。
花咲君。
はい。
君は融資課手伝いに行きなさい。
はい。
資料運搬コピーお茶出し雑用は全部君に任せる。
はい。
どうせそれぐらいしかできないだろう。
フン!おぉ…ふぅ〜。
「笑顔チェック」。
うん。
負けてたまるか〜。
あぁ!
(北村)富岡物流奥澤コーポレーション。
杉川建材成倉建設…。
(ノック)失礼します。
(北村)大越エステート。
北村課長お手伝いに来ました。
(北村)あぁ…。
え〜っと君は…?本部臨店班の花咲です。
今日は検査部の応援で。
(江藤)花咲!江藤君!久しぶり!元気そうだな〜。
えっ…君達知り合いなのか?はい同期なんです。
(北村)あぁそうか。
(江藤)本部にいるなんて花咲偉くなったんだな〜。
全然!応援っていっても単なる雑用係だし。
江藤君は?いつから融資の仕事してんの?2年前からやっと希望が叶ったんだよ。
ふ〜ん頑張ってんだ〜。
そっちもな。
それにしてもいっぱいあるね…。
(江藤)まだまだあるぞ。
一日100社近くも見るらしいから。
そんなに…。
隅から隅までチェックして疑問点や不明点不備を見つけるんだ。
はい。
おかしな点が一つでも見つかった会社については検討会にかけて私が徹底的に追及する。
分かりました。
(氷室)これは銀行を良くするための仕事だということを忘れないでくれ。
はい。
いいか!一切手を抜くんじゃないぞ!
(検査部員達)はい!与信検査に不正が?
(辛島)ああ匿名で告発があったんだ検査主任の氷室君が行った先の支店長や融資担当者を脅してるというんだ脅してるといいますと…?支店の弱みをネタにゆすってお金をもらってるらしいんだよゆすり…
(辛島)調べてみたら氷室君の与信検査は厳しいという評判なのにここ2〜3年評価にバラつきが出てるんだよ
(芝崎)与信検査の結果は人事査定にも大きく影響するからねあり得ない話ではないのかもで我々にそれを探って来いというわけですねああ潜入捜査みたいな感じでよろしく頼むよ分かりました
(辛島)くれぐれも氷室君には感づかれないようにとなると花咲には…しといたほうがいいですねそうだね彼女すぐ顔に出るからはい…相馬さん。
んっ?どうかしたんですか?いや別に。
(氷室)花咲君。
はい。
これ10部コピーだ。
はい。
あぁそれからみんなにコーヒーを。
はい。
(氷室)あ〜花咲君。
はい〜。
私は砂糖抜きだ。
はい。
(鮎川)ニューヨークの事業買収の件お見事でした。
(堂島)何今回はたまたま運が良かっただけだ大したことはない。
(鮎川)ご謙遜を。
次期頭取は堂島専務で決まりだろうとみんな噂しています。
フフっ。
そんな噂専務就任のご祝儀みたいなもんだろう。
いいえ真藤常務もさぞ焦ってらっしゃることかと。
どうも真藤常務。
(真藤毅)お疲れさまです堂島専務。
フッ。
(児玉)あの〜あれはあちら側に都合のいい噂話かと。
児玉君。
はい!小さなほころびが命取りになる可能性もある。
今後は一層気を引き締めて行く必要があるな。
はっ。
結果が出るまで何が起こるか分からないのは同じだから。
あちらも…こちらも。
おっしゃる通りでございます!もしもし田山支店長ですか?ご無沙汰しております児玉さん。
(児玉)確か今深川支店は与信検査中だったかと。
はい今から検討会です。
(児玉)念のために伺いますが融資に問題はないですよね?もちろんです。
(児玉)検査部の氷室主任はかなりのくせ者と聞きますから気を付けてください。
はい。
我々下の者の小さなほころび一つが真藤常務の次期頭取争いにご迷惑をお掛けすることもある…ということを肝に銘じておいていただきたい!承知いたしました。
(児玉)くれぐれもお願いしますよ。
どうなってんだ?この支店は。
(氷室)今日94社チェックした中で何らかの問題点があって検討会に挙げたのが26社。
ほぼ3割じゃないか。
深川支店はたるんでるんじゃないんですか?申し訳ありません。
(氷室)融資課といえば支店の中枢。
花形だというのに何なんだこの体たらくは。
これだけで支店のレベルが分かるというものだ。
数が多いから先は長いぞ。
まずは深川プリント。
(氷室)担当誰だ?私です。
課長の君が自らか?あっはい。
業績が思わしくないので私が。
ここはどういう会社なんだ?
(北村)中規模の印刷会社でしてまぁあの…。
(机をたたく音)君は私がクレジットファイルを読めないとでも思ってるのか?いえ!そんな…。
私が聞いてるのはここに書いてない情報だ!すいません。
(氷室)はぁ…。
ここ半年ほど経営は思わしくない。
いつ倒産をしてもおかしくない状況だった。
(北村)はい。
(氷室)なのに先月3000万の資金を調達して取引先の支払いに充ててるようだがどうやって調達した?他行からの融資か?それがはっきりとは分からないんです。
はぁ?
(北村)どこかから貸してもらったみたいで。
「みたい」とは何だ!「みたい」とは。
(氷室)深川プリントの担当は君なんだよな?はい。
なのに3000万もの資金の調達先が分からないとはどういうことなんだ?申し訳ありません。
フフフ…。
はぁ…。
そんなんでよく融資課長が務まるな!ちょっとひどくないですか?そこ!私語厳禁。
すいません。
(氷室)しかしこの支店は本当にレベルが低い。
上の教育がなってないんじゃないですかね?田山支店長。
申し訳ございません。
はい次!
(氷室)はぁ…君さこういうのは表の数字だけ見てもダメなんだよ。
すいません。
(氷室)附属明細の内容までしっかり見る。
どこに幾ら売ってるのかどんな相手に支払ってるのかそういう所に重要情報が隠れてるんだ。
はい。
君は融資の仕事して何年だ?2年になります。
ハハっどうりで。
はぁ…新米だからって甘えてるんだろ?いやそんなことは…。
(氷室)そんなもんぱっと見でそのぐらい見抜けないようじゃ融資マン失格!いや…銀行員失格だ!申し訳ありま…。
次!町山建設担当は?
(行員)私です!
(氷室)はぁ…3期連続で赤字が続いてるようだが6月に追加で2000万融資してるなどういうことだ?はぁ…。
この支店の融資は最低レベルだな。
ここは東京第一銀行の底辺だ!
(氷室)原因は君達の銀行員としての…。
フフっ意識の低さだ。
お言葉を…あ痛っ!何だ!い…いえ…。
何でも。
チッはぁ…。
今日のところは以上だ。
田山支店長覚悟しておいてください。
この分だと明日はあなたの支店長としての責任問題を追及せざるを得ないかもしれませんから。
はぁ…。
何なんですかあのクソ主任!花咲声がデカい!何より口が悪い!
(花咲幸三)そうだぞ舞他にもお客さんがいるんだから。
はい。
すいませんつい。
まったく…。
でもあの人難癖つけたいだけじゃないですか?ちょっとのミスを揚げ足取ってネチネチネチネチ!銀行にもそんな人がいるんだ?いるいる!態度も偉そうで常に上からでみんなが言い返せないからってさ。
地位と権力をかさに着ちゃってるんだ。
そうなの。
そこで日頃のストレスを発散してるってわけだな。
そうそう!もう「底辺」とか「銀行員失格」とか何様…!
(江藤)何様のつもりなんですかね!
(北村)あ〜すいません…。
あっ。
江藤君。
花咲。
(幸三)はいハモのせいろ蒸し。
これサービスです。
えっいいんですか?ええほんのご挨拶代わりです。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
けどまさかここが花咲のお父さんの店だったとはな。
だって店の名前が「花咲」じゃない。
(江藤)全然気が付かなかった。
ここ前から一度来てみたいっつってたんだよな。
ええおいしいお店だって噂聞いてたんですよ。
実際ホントにおいしいんですよ花咲のお父さんの料理。
いや〜皆さんうれしいこと言ってくれますよね。
田山支店長さんは一度来てくださったんですよ。
(北村の声)あっそうなんですか。
(幸三)ご近所のよしみで今後ともどうぞごひいきに。
はいちょくちょく寄らせていただきます。
ヤバいハモのせいろ蒸し最高です!あ〜うれしいですね。
ところで江藤さん。
(江藤)はい。
ご結婚のほうは?お父さん?いえ全然です。
あ〜そうですか。
いい人がいたら紹介してやってください。
ええ同期といえば同い年。
ちょいと若いけど体は丈夫そうだし好青年で職場も近い。
お父さん心の声がダダ漏れですけど。
舞バンカーの妻になる夢ますます広がってるよ。
だからそんな夢持ったことないから。
っていうかもうこの展開いいかげん面白くないから。
いや面白い。
いや面白い。
相馬さん!ハハハ…!気が合いますね。
久々ですね。
もう〜!
(相馬:幸三)ハハハ…!ハハハ…!
(ノック)はい。
(田山)氷室さん。
どうかされましたか?支店長に少しお話がありまして。
はい。
はぁ…明日も憂鬱だな。
だよね〜ネチネチネチネチ嫌み言って。
あ〜氷室主任のこと思い出したらムカついて来た。
えっ?花咲。
お前すっかり忘れちまってるみたいだが今回の俺達は検査部側の人間なんだぞ。
あっ。
すいません。
でも地位や権力をかさに着て支店の人達相手にストレス発散してるのかと思うともう腹が立って腹が立って。
まっ内心俺もそう思ってたんだけどな。
いや僕はいいんです。
実際融資課員としてまだ半人前ですから。
だけど北村課長にあの言い方はないですよ。
仕方ないさ。
(江藤)そんなことないですよ。
深川プリントの件だって北村課長にあそこまで言わなくたって。
江藤。
いやだってあれは支店長が…。
えええ…江藤!深川プリントってさっき3000万どこから借りたか分からないって言ってた会社?
(江藤)そう謎の3000万。
その会社に何かあるんですか?んっ?いや〜う〜ん…いや別に。
お前が余計なことを言うから。
すいません。
北村さん我々主任に告げ口なんかしたりしませんよ。
今回は検査部の応援で来てますけど私達臨店班は支店の皆様の味方ですから。
深川プリントは支店長の友人が経営する会社なんです。
えっ?えっ?
(江藤)支店の人間はみんな知ってるんですけどあえて言わないというか暗黙の了解というか。
実質支店長案件なんで私も深く入り込めないところがあって。
あんなふうに突っ込まれると答えられないんですよね。
そうだったんですか。
支店長ひどくないですか?んっ?さっき北村課長氷室主任にあんなに嫌み言われてたのに何のフォローもしてくれないなんて。
そうなんだよ。
まぁまぁまぁ仕方ないさ。
はぁ…。
明日も何があるか分かんないなぁ。
はい。
実は気になる会社がありましてね。
どこの会社でしょうか?
(氷室)夏目木材です。
今日検討会で問題を指摘した深川プリントとただならぬ関係にあるようですね。
あっあの〜…。
(氷室)田山支店長。
あなたどうやら銀行員としてやってはいけないことをしてるようだ。
このことはまだ私の胸の中だけにとどめてあります。
ですが明日の検討会でみんなに知られることになるでしょうね。
それだけは何とかならないでしょうか?いやわざと不正を見逃すなんてことは検査部の私にはとても。
(田山)氷室さんお願いします!そんなことをしたら私まで相当のリスクを背負うことになりますからね。
ではどうすれば…?そうですね…。
とある支店の融資課長からはこのぐらい頂きましたかね。
分かりました明日の朝必ずお渡ししますので。
そこまでおっしゃるなら考えてみますか。
何とぞ…!
(検査部員)おはようございます。
おはよう。
(一同)おはようございます。
(氷室)おはよう。
花咲君。
はい。
これ融資課に戻しておいてくれ。
はい。
いやしかし夏目木材は今日のリストの中に…。
いやもういいんだ。
見たところ問題はなかったから。
そうですか?君さっさと行きなさい!はい。
(氷室)よし!じゃあ今日も見落としがないよう厳しく行くぞ!
(検査部員達)はい!あっ!痛い!どうしたんだろう?痛い痛い!何だどうした!いやすいませんちょっとお腹が…。
あっ朝飯食べ過ぎたのかもしれません。
ちょっとおトイレに行って来ますあっ…。
痛い痛い痛いよ〜。
…ったく。
お腹が痛いよ〜!花咲!相馬さん!シッ!ちょっとそのファイル見せてくれ。
あぁはいはい…。
どうしたんですか?いや…。
氷室主任がなぜこの会社だけリストから抜いたのか気になってな。
問題なかったからじゃないんですか?いやこの会社には何かある。
えっ?
(北村)夏目木材。
ええ。
担当はどなたですか?
(江藤)僕です。
業績は?悪くはないです。
赤字も出してないですし返済が遅れたこともありません。
昔からある会社ですよね?夏目木材さん。
お前知ってるのか?はい近所ですから。
うちのお店にも社長さんたまにいらっしゃいますよ。
そうなのか。
先月緊急で追加融資が行われてますよね?はい正直稟議が通らないかと思ったんですが支店長決済で即日融資したんです。
即日?
(江藤)うん。
ちょっとお借りしていいですか?
(北村)どうぞ。
7月10日融資されたその当日に全額現金で引き出されてますね。
3000万もの大金何に使ったんだろうな…。
う〜ん…。
あっ昨日3000万円の資金がどうとか言ってなかったでしたっけ?あっ!深川プリントの謎の3000万。
そうそれ!あぁあれも確か7月10日でしたよね?うん…。
深川プリントのどこから借りたか分からない3000万と夏目木材の何に使ったか分からない3000万。
これが同じ日ってただの偶然なんでしょうか?う〜ん…。
また貸し。
えっ?夏目木材に融資した3000万がそのまま深川プリントにまた貸しされたのかもしれない。
2つの会社に何か関係はありませんか?いえつながりはないかと…。
そうですよね。
あっ。
支店長が間に入ってるんじゃないですか?えっ?深川プリントは支店長の友人が経営されてますよね?
(舞の声)銀行としては貸せないから夏目木材にまた貸しを頼んでいるんだとしたら…。
つじつまは合うな。
(北村)待ってください。
それって迂回融資じゃないですか。
支店長がそんなことするなんて許されないですよね。
ああ出資法違反だ。
いやしかしまだそうと決まったわけでは…。
私夏目木材に行って来ます。
えっ?ホントのこと確かめないと。
でもそう簡単に話してくれるとは思えないが。
支店長が夏目木材とグルになってる可能性だってあるんだぞ。
(江藤)いえあの社長に限ってそんなことは…。
私もそう思うとにかく聞いて来ます。
僕も行きます。
江藤。
夏目木材の担当は僕ですから。
じゃあいってきます。
いってきます。
(江藤)何も気が付かなかったなんて担当として情けない。
融資マン失格だよ。
もう何暗くなってんの?しっかりしなよ。
(幸三)あっ舞!
(自転車のベル)お父さん。
(江藤)あっどうも。
あ〜江藤さん。
何だ?舞仕事の相棒相馬さんから変わったの?違うよ今日はたまたま。
そうか…でもなかなかお似合いだね。
んっ?はぁ…あぁお父さん夏目木材の社長さん最近お店に来た?夏目さん…あぁ先月あたりここの支店長さんと来てくださったのが最後かな。
えっ?えっ?うちの支店長とですか?ええ。
絶対何かある。
何がって?お父さんありがとう。
えっ?えっ?あっ失礼します。
あぁいってらっしゃい。
あれは完全なかかあ天下だなフッ。
(夏目)お〜江藤さんどうしたの?突然。
ご無沙汰してます。
あれ?花咲さんとこの舞ちゃん?今日は東京第一銀行の者として伺いました。
あぁそうかそうか。
で話って?あの…先月緊急融資した3000万についてなんですが。
(氷室)花咲君これコピー…。
すみません。
花咲は今腹痛でちょっとトイレに…。
…ったく猫の手にもならないじゃないか。
私が。
はぁ…。
3000万すぐに引き出されてますよね?その現金どうしたんでしょうか?あれはだから運転資金に使ったんだよ。
夏目社長田山支店長とは親しいんですか?えっ?先月一緒にいらっしゃったって父が。
あ〜あれはたまたま。
もしかして頼まれませんでしたか?深川プリントに3000万また貸ししてほしいって。
フッそんなわけないだろ!田山支店長のしたことは銀行員としてやってはいけないことです。
もしこのままだと夏目社長もそれに加担したことになってしまいます。
えっ?そうなのか?深川プリントに3000万また貸ししましたよね?
(江藤)もしそんなことをさせてしまったんだとしたら何も気付かなかった僕にも担当として責任があります。
申し訳ありませんでした。
(江藤)夏目社長どうか本当のことを教えていただけないでしょうか?絶対ご迷惑はお掛けしませんから。
(江藤)お願いします!お願いします。
(口笛)あっ!あぁ…また差し込みが…。
ちょっとすいません…。
全く使えないな臨店班は。
ビックリした何だよ?ちょっと来てください。
何か分かったのか?これは…。
夏目木材から深川プリントへ3000万貸した時の借用書です。
これ迂回融資の証拠になりますよね?なるな。
しかし支店長がホントに迂回融資してたなんて…。
夏目社長おっしゃってました。
はぁ…うちみたいな小さい所は銀行さんにそっぽ向かれたらつぶれたも同然だから支店長さんに頼まれたら断れないよ…はぁ…。
(江藤)僕は支店長が許せません!このことはきちんと追及してください!相馬さん今日の検討会で取り上げていただけませんか?しかしそうなると支店の責任まで問われることになってしまいますよ?はい。
できることなら支店の恥をさらしたくはないですが…。
取引先の会社にそんなことをさせていたなんて許されませんから。
分かりました。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
支店長ひどいですよ支店の人達がかわいそうです。
うん…。
どうしたんですか?何か歯切れが悪い感じですけど。
実はな花咲…。
こっち。
バンカーとしてあるまじき不正を働いている人間がもう1人いる。
誰ですか?氷室主任だ。
えっ?
(相馬の声)氷室主任の不正を訴える告発があってな。
今回俺達が検査部の応援に来たのはそれを調べるためなんだ。
不正ってどういうことですか?支店の弱みを握ってそれをネタにゆすってるらしい。
もしかして…氷室主任が夏目木材をリストから外したのも…?便宜を図ったんだよ。
迂回融資に気付いて支店長を脅し口止め料をもらってな。
田山支店長の口座の入出金記録だ。
今朝の8時2分ここのATMから50万円が引き出されてる。
じゃあこの50万が口止め料ってことですか?恐らくな。
相馬さん氷室主任を追及しましょう。
いやそれはダメなんだ。
氷室主任の口座記録だ。
どこにも入金がない。
足がつかないように現金で受け渡したんだよ。
じゃあ証拠がない…?田山支店長の迂回融資の不正は明らかにできる。
だが氷室主任の行った不正を追及するのは難しいだろうな。
じゃあ氷室主任のほうはこのまま野放しにするしかないってことですか!?悔しいが今日のところは諦めるしかないだろうな。
そんな…。
不正を正すとかあんな偉そうなこと言っておいてやってること全く逆じゃないですか!絶対間違ってますよ!声がデカいって!すいません…。
でも悔し過ぎますよ。
あっ。
んっ?でも相馬さんそんな大事なこと今まで何で言ってくれなかったんですか?黙ってたの!お前露骨に顔に出るから!そんなことないですよ!ほらそれ!言われたそばから出てるだろ!んっ?…ったく。
はぁ…。
あっ。
んっ?田山支店長が今朝引き出した50万円が氷室主任に渡ったということが分かれば氷室主任の不正を追及できますよね?それはそうだがどうするつもりだよ?あれです!カメラ?50万円の行方追って来ます。
おっちょ…待て!おい!はぁ…ったく。
それでは2日目の検討会を始める。
では株式会社平川ケミカルから。
担当は?私です。
(氷室)設備資金に見積もりはついているが振込明細書と領収書は?それはまだ…。
(氷室)「まだ」とはどういうことだ?君は融資を実行すればそれで終わりと思ってるのか?融資というのはその後の管理が重要なんだよ!来た。
ここからだ。
まずは廊下に出て…。
えっ?どこ行ったの?え〜っと…。
こっちか。
このドアか。
駐車場か。
この会社に4000万は融資額が多過ぎるんじゃないか?来期は業績も上向いて行く見通しで。
(氷室)根拠は?えっあのえっと…。
事業計画書と来期の試算表に…。
(氷室)本当に実現可能なのかと私は聞いてるんだ!
(氷室)裏付けも取ってないのか?はぁ…。
来た。
あっ。
見積書と実際の使途に差異があるなんてこれおかしいだろ?申し訳ありません!
(氷室)君には責任感っていうものがないのか!?はぁ…それでよく融資マンと名乗れるな。
はい次!あぁ…これがお金だって分かればなぁ。
ビンゴ!これで終了だ。
改善点は追って指示をする。
ご苦労さまでした。
あの〜…。
もう1社取り上げていただきたい会社があるんですが。
はぁ?はぁ…どこの会社だ?はい。
夏目木材です。
(氷室)ハッそこは問題ないと言ったはずだ。
それがそうでもないんです。
7月10日に支店長決済で融資された3000万円がその日のうちに全額現金で引き出されているんです。
(氷室)それが何だというんだ?夏目木材はそのお金をそのまま深川プリントにまた貸ししました。
田山支店長の指示で。
田山支店長あなたは友人の経営する深川プリントから融資を頼まれた。
しかし深川プリントは倒産寸前の会社で銀行として融資は難しい。
だから夏目木材を巻き込んだ迂回融資を計画し実行した。
そうですよね?なぜ借用書が?夏目木材からお借りしました。
取引先の会社に不正行為を強いるなど銀行員としてこれは絶対にあってはならないことです。
田山支店長このことは報告をさせてもらいます。
話が違うじゃないですか氷室さん!はぁ?はぁ…何のことですか?フッ。
君のおかげで不正を暴くことができた。
ご苦労さん。
待ってください!
(氷室)君は今頃何をしに来たんだ。
これで終わりではありません。
あぁ?氷室主任迂回融資のことご存じでしたよね?何?気付いたのに見逃そうとしたんです。
田山支店長から口止め料をもらって。
いえあるいはゆすったんじゃないですか?
(氷室)ゆすっただと?ハハハ…!無礼なことを言うな!!私にそんなことを言って許されると思ってるのか?これはこの支店にある防犯カメラの映像をプリントアウトしたものです。
今朝田山支店長はATMで50万円を引き出し…。
駐車場へ行き…。
待っていた氷室主任に渡しました。
この50万円は迂回融資を見逃してもらうための口止め料だった。
そうですよね?田山支店長。
そうだ。
もしかしてそのお金まだ内ポケットに入ってるんじゃないですか?ポケットの中身見せていただけますか?あぁ?ふざけたことを言うな!お前達に見せる義務などない!!全部作り話だ。
何なんだこの茶番は。
こんなことに私を付き合わすな!お言葉を返すようですが主任昨日おっしゃいましたよね。
与信検査とは信用第一の銀行であってはならない間違いを見つけて正すことだと。
その与信検査の責任者であるあなたが間違いを見つけて正すどころかお金をもらって見逃すなんてやってることが全く逆です!うるさい黙れ!!黙りません!!支店の間違いを正す前にご自分の間違いを正すべきです。
東京第一銀行を良くするのが仕事…。
ふざけないでください。
あなたみたいな人がいるからこの銀行は良くならないんです!失礼します。
あっ。
お金ですね。
ちょうど50万くらいありそうですけど。
ハァハァ…。

(江藤)花咲。
江藤君。
花咲相馬さんありがとうございました。
いや君のおかげだよ江藤君。
あの借用書がなければ手も足も出なかった。
夏目社長に江藤君の誠意が通じたんだよ。
いや…。
君は決して半人前なんかじゃない。
立派な融資マンだ。
ありがとうございます!花咲また飲みに行くから親父さんによろしくな。
うん。
(江藤)うん。
専務直々のお呼び出しなんて怒られるんでしょうか?さぁ〜…。
君達が臨店班の2人か?はっ相馬と申します。
花咲舞です。
そうかご苦労だったね。
あっ…いえ。
あぁ…。
(ノック)失礼します。
(児玉)失礼します。
(堂島)あ〜真藤常務待っていたよ。
お呼びでしょうか?
(堂島)今2人をねぎらっていたところだ。
今回の件で。
そうですか。
君も臨店の2人に礼を言いたいだろうと思ってね。
(堂島)深川支店の支店長は君が目をかけていたそうだから。
目をかけていたというほどでは。
(堂島)今回の深川支店の不祥事はこの2人が解決してくれた。
そのおかげで表沙汰にならず当行に傷が付かずに済んだんだ。
感謝すべきだと思うが…うん?そうですね。
おっしゃる通りです。
君達に礼を言うよ。
ありがとう。
いえ。
いえ。
失礼します。
(児玉)あっあっあっ…。
(ドアが閉まる音)ハハハ…。
これからも君達には期待してるよ。
頑張ってくれ。
はい。
はい。
フフフ…。
宣戦布告だな。
はい?全てはこれからだ。
(辛島)フフフ…堂島専務がそんなことを。
(芝崎)2人ともよくやってくれたね。
それほどでも。
それほどでも。
(辛島)田山支店長は東京ファースト電工へ出向。
氷室君については人事部預かりにして今までやって来た不正も明らかにして行くそうだ。
そうですか。
(辛島)しかし相馬君の読みは当たっていたようだね。
えっ?話していたんだよ。
花咲には…しといたほうがいいですね彼女すぐ顔に出るからはい…フッそれに花咲はたとえ何も言わなくても支店で間違ったことが起こってれば必ず気が付くはずですからえっそんなこと言いましたっけ?ああ。
相馬さん私のいない所で褒めてくれてるんですね。
違う!褒めたわけじゃない勘違いすんな。
いいんですよ照れなくても。
だから違うって!お前がいつも余計なことをしてそれがたま〜に功を奏するって話をね。
たまにって…よくありますよね。
違うだろお前…。
あっ君達そろそろ臨店に行かないと。
あっ!あっ!失礼します!失礼します!
(芝崎)今日もよろしく頼むよ〜!三ノ輪支店ってことはランチはうなぎですかね?三ノ輪か〜うなぎもいいしカレーも悪くないが…。
お〜ちょ…ちょっと待て見ろ。
桜鍋の超名店があるぞ。
桜鍋ですね。
だが今日は暑いからな〜うなぎも捨て難いな。
あ〜もう心の中は桜でいっぱいです。
よしじゃあここは公平にじゃんけんで決めるとするか。
望むところですフッ!せ〜のじゃんけん…。
じゃんけん…。
ホイ!あっ!このドラマの主題歌…。
ご応募待ってます!んっ?2015/08/12(水) 22:00〜23:00
読売テレビ1
花咲舞が黙ってない #6[字][デ]

原作・池井戸潤、主演・杏。東京第一銀行臨店班の花咲舞が、ベテラン行員・相馬健とコンビを組み、銀行で起こる様々な事件を解決していく、痛快オフィスストーリー!

詳細情報
番組内容
舞(杏)と相馬(上川隆也)は、支店の融資が正しく行われているかをチェックする「与信検査」への応援を命じられる。検査を指揮する氷室(東幹久)は“支店荒らし”と噂されるほど厳しく高圧的な人物で、舞はそんな氷室の態度に嫌悪感を覚える。一方、相馬は氷室の動向に目を光らせる。実は「氷室が支店の行員の弱みを握って脅し、金銭を要求している」という内部告発があり、それが事実かどうかを探るのが応援の目的だったのだ。
出演者

上川隆也
塚地武雅(ドランクドラゴン)
榎木孝明
石橋凌
甲本雅裕
大杉漣
生瀬勝久
東幹久
石橋保
笠原秀幸
土屋裕一
原作・脚本
【原作】
「不祥事」(実業之日本社・講談社文庫)「かばん屋の相続」(文春文庫)池井戸潤
【脚本】
松田裕子
監督・演出
【演出】
佐久間紀佳
音楽
菅野祐悟
得田真裕
【主題歌】
「I am a HERO」福山雅治(アミューズ/ユニバーサルJ)
制作
【チーフプロデューサー】
伊藤響
【プロデューサー】
加藤正俊
柳内久仁子
【制作協力】
日テレアックスオン
【製作著作】
日本テレビ

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
ステレオ
サンプリングレート : 48kHz

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