第2R、18番で笑顔を見せる岩田寛=ウィスリングストレーツ・コースで(UPI=共同)
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◇全米プロ<第2R>
▽メジャー最終戦▽14、15日 米ウィスコンシン州コーラー、ウィスリングストレーツ・コース(7501ヤード、パー72)▽賞金1000万ドル、優勝180万ドル▽155選手
【コーラー(米ウィスコンシン州)テッド・ムース】岩田寛(34)が1イーグル、8バーディー、1ボギーでメジャー史上最少に並ぶ63をマーク。通算4アンダーにし、前日の123位から一気に15位タイに急浮上した。70で回った松山英樹(23)=レクサス=も通算4アンダーで、ともに首位までは7打差。小田孔明(37)=プレナス=は67と5つ伸ばして通算2オーバーにし、70位タイでぎりぎり予選を通過した。マット・ジョーンズ(オーストラリア)が通算11アンダーまで伸ばしてトップに立った。第2ラウンド(R)は14日が雷雨の影響でサスペンデッドになり、2日間にわたって行われた。
岩田が歴史に名前を刻んだ。1イーグル、8バーディー、1ボギー。全メジャーでの18ホール最少スコアとなる63をマークしたのは、史上27度目(25人目)、日本人では1980年全英オープン(ミュアフィールド)2日目の青木功に次ぐ2人目という快挙。来季から米ツアー本格参戦を目指しており、あいさつ代わりの大爆発となった。
前日は77をたたき、日没まで練習場でドライバーを打ち込んだ。第2日も朝の練習場では調子が悪く、4番で第1打を左に曲げたときは心が折れそうになったという。アウトは3バーディー、1ボギー。突然変わったのは、11番パー5だ。「やりたいことを試したら、ようやく良い感じになった」というドライバーショットがフェアウエーをとらえ、残り225ヤードを3番アイアンで7メートルにつけてイーグル。続く12番で1メートル、13番ではカラーからの5メートルを沈めた。
さらに、15番ではピン右上6メートルを沈め、16番ではピン左下に2オン、17番では第1打をピン右1・5メートルにつけた。長いパットを決めても派手なガッツポーズをするわけでなく、いつも通りのポーカーフェースで淡々とプレーを進める長身の日本人に、ギャラリーやテレビ中継の関係者は「何者?」と騒然。インを29でホールアウトすると、18番グリーンの観客は大喝采を送った。
岩田本人は歴史的なプレーであることを全く知らなかった。ホールアウト後に会見場に呼ばれ、「いつもテレビで見ている場所に座れてうれしい」と、ようやく笑顔に。「ハーフ29はこれまで何度か出したことがあるので、28が出ればいいと思っていた。ゾーンというのはなかった。アグレッシブだった」
歴史に名前が残ることについては「正直、あまり興味がない」といい、「記録(が意味を持つの)は一日だけ。まだティーショットが不安なのでしっかり修正したい。昨日は昨日、きょうはきょう。週末は今週やってきていることを変わらずやっていきたい」と、どこまでも冷静だった。
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