イチローが日米通算４１９１安打　球聖カッブに並んだ

　「球聖」と称された伝説の打者に、日本の安打製造機が並んだ。マーリンズのイチロー外野手（４１）は１４日（日本時間１５日）、敵地セントルイスでのカージナルス戦で５回に左前安打。日米通算４１９１安打（日１２７８＆米２９１３）とし、メジャー歴代２位のタイ・カッブ外野手（元タイガースなど）に並んだ。米複数メディアが報じた。この日は４打数１安打で今季の通算打率は２割５分３厘。試合に１−３で敗れ、マ軍の連勝が３で止まったからか、偉業達成にも、イチローは無言で球場を後にした。

　バットコントロールの名手にふさわしい技の一打で節目に到達した。５回２死走者なし。カウント２ストライクからの４球目、左腕Ｊ・ガルシアが投じた低めの８３マイル（約１３４キロ）スライダーを流し打つと、糸を引くようなライナー性の打球が左翼線に転がった。「球聖」タイ・カッブに並ぶ日米通算４１９１安打。一塁上のイチローは何事もなかったかのようにヒル一塁コーチと軽くグータッチを交わしたが、記録王手を知っていた敵地セントルイスの観衆から大きな拍手を浴びた。

　以前から「日米通算」という記録のくくりに懐疑的なイチローは敗戦後ということもあって口を閉ざしたが、対照的に冗舌だったのがジェニングズ監督。「単純明白。殿堂入りする選手だ。年齢（４１歳）を超越している。この時代で最もきちんと準備する選手の一人だ」と激賞し、「若手が彼の一挙手一投足を見られることが素晴らしい。記録達成をこの場で目にすることができ、光栄だ」と続けた。同僚のガレスピー外野手も「カッブに並んだことがキャリアを端的に象徴している。これからもいろんな記録を樹立するのは間違いないね」と感嘆した。

　米メディアも大きく反応した。大リーグ公式サイトはトップ記事で「イチローが大リーグの伝説に並んだ。（日米通算は）公式記録でなくとも、プロレベルでこれほど多くの安打を積み重ねるのは感動的だ」と報道。米放送局ＣＢＳスポーツ（電子版）は「『並んだ』と言うのはカッブに対して不公平だろう。日本プロ野球は非常に優れたリーグだが、大リーグではない。カッブがマイナーで放った１６６安打は記録に含まれない」と前置きしつつ、「それでも、イチローは偉業を達成したし、将来は殿堂入りする」とした。

　さらなる記録もカウントダウンに入っている。ピート・ローズ（元レッズ）のメジャー最多４２５６安打まで、日米通算であと「６５」。メジャー３０００安打まで、あと「８７」。史上最高の安打製造機となるべく、４１歳はこれからも年齢を超越し続ける。