そのギターテクニックはまさに神業。
人呼んで…
(寺内)でもそんだけ喜んでくれればいいよね。
76歳になった今もそのエネルギッシュなパフォーマンスでファンの熱い視線を集めます。
その寺内さんが還暦を過ぎた頃病が襲いました。
大腸がんです。
その後もがんの再発心不全や肺気腫など次々とエレキの神様を試練が見舞います。
その度に病を克服しファンが待つステージに戻ってきました。
寺内さんがんと闘って勝っちゃった訳ですから。
ほかのがんの患者さんのためにもそれをいろいろおっしゃって下さった方がいいと思います。
エレキギターと共に歩んできた寺内さん。
その姿から病に打ち勝つヒントを探っていきます。
(ギター)こんばんは。
「ハートネットTVリハビリ・介護を生きる」。
今日と明日は「がんを乗り越えて」と題してタレントの荒木由美子さんとお伝えしていきます。
よろしくお願いします。
お願いします。
もう何かスタジオ中の空気が変わりましたね。
爽やかで。
ねえ。
私本当にエレキの神様ですからこんな近くでお会いできるなんてもうないないです。
最初からギターの音色がスタジオで…。
本当ですね。
ご紹介しましょう。
エレキの神様寺内タケシさんです。
こんばんは。
よろしくお願いします。
(拍手)ライブですよライブ。
5歳からギターを始めてらっしゃって日本にエレキギターを広めた方と。
お話するっていうかずっと弾いてらっしゃいますよね。
そうですね。
その方がいいですね。
いやいやいやお話を…。
自然ですね。
話すとろくな事になんないですからね。
病気をされたとは思えない。
病気とは無縁だって…。
だってお顔の色艶もいいですし。
大腸がんなどもう本当に数多くの病と闘ってきたと。
どのようにして向き合ってきたのかまずはこちらのVTRからご覧頂きます。
7月中旬の日曜の朝。
今日もライブの日です。
年間100本以上のライブで日本中を飛び回っています。
この日の会場は新宿のライブハウス。
昼と夜の2回公演です。
エレキギターがメインのバンド。
エレキブームの先駆けとなるバンドは若者たちの心を揺さぶります。
民謡だろうがベートーベンだろうがエレキのリズムに乗せて弾きまくります。
日本に空前のエレキギターブームをもたらしそのギターさばきからエレキの神様と呼ばれたのです。
エレキの神様は76歳の今もいつも会場には一番乗り。
もう何度もライブをした場所でも一番に自分の目で確かめないと気が済まないといいます。
バンドの仲間と機材が到着しました。
寺内さんも機材を運びます。
会場と機材車をエレベーターで行ったり来たり。
今やスタッフやメンバーは一回りも二回りも三回りも年下。
それでも自身が使うギターとアンプの配線は必ず自分の手でセッティングをしています。
若いスタッフにも指示を出し自らが立つステージを作り上げていきます。
病気をしてでもその…ここまでできるっていうのを僕もすごいびっくりしてますし。
寺内さんが突然医師に呼び出されたのは2001年の冬の事でした。
がん宣告の場所は東京湾。
船の上で告げられた病名は大腸がん。
患者の数が日本で2番目に多いがんです。
たくさんのスケジュールをキャンセルして手術のために入院。
しかし手術前日寺内さんの不安が爆発します。
不安のもとは麻酔のための注射でした。
エレキの神様は大の注射嫌いだったのです。
医師は急きょマスクによる麻酔に変更。
おなかに穴を開け内視鏡で手術は行われました。
大腸を15センチそして転移を防ぐためリンパ節を切除。
手術は無事成功しました。
それでも術後の痛みは想像以上。
あまりのつらさに手術の執刀医に怒りをぶつけます。
しかし手術から日がたつにつれ少しずつ気持ちに変化が現れます。
寺内さんの手術を執刀したのが浅尾高行さん。
意外にも患者としての寺内さんは理想的な患者だといいます。
ある意味見るとわがままって捉えるかもしれないけど痛いとこは痛いと。
それから注射だって嫌なもんは嫌だとはっきり言われるんですよね。
一般的にいう私たちいろんな患者さんを接しますけれどもどうしても自分の思ってる事を言わなくて我慢をしてっていう人がいっぱいいらっしゃるんですよね。
自分の思っている事を隠さないで自分はこうしたいとかそれからこういうのが嫌だとかそういう事は遠慮しないで言う。
それはもう大事な事だと思います。
そして手術から僅か2か月後復活ライブでステージに立ちます。
ところがその1か月後の定期検査で腸にポリープが見つかります。
内視鏡で取り出すと悪性。
がんの再発でした。
2度の定期検査で見つかった悪性のポリープでしたが初期に摘出でき大事には至りませんでした。
それまで病気とは無縁で自身の体をあまり顧みなかった寺内さん。
その後は毎日の血圧測定や2か月に1度の定期検査を受けるなど体の事に心を配ります。
そして自身の体をギターになぞらえこう考えるようになったのです。
寺内さんはその後も多くの病に見舞われますが定期検診で早期に発見して治療。
病を乗り越えて活躍を続けているのです。
寺内さんが体の気配に耳を傾けながら思う事。
それが…。
いよいよライブ開始。
(拍手)もう50年も弾き続けてきた「レッツ・ゴー運命」。
華麗な指さばきは健在です。
ステージに立ち続けもうすぐ55年。
それでも…。
難しいねギターも。
一発ガッていったらそれで終わっちゃうんだよ。
もしそんな事が起きたらばこの5本の指日本刀でブスッ半分に切ってやめようと思ってます。
言ってみりゃ命懸けで今日のステージもやったよ。
よかったかね?
(拍手)今日もノリノリのステージで大満足のファン。
(拍手)客席にはこんな方たちも…。
早期発見で我々は2人助かってるの。
寺内さんがんと闘って勝っちゃった訳ですからほかのがんの患者さんのためにもそれをいろいろおっしゃって下さった方がいいと思いますよ。
少しでも長くギターを弾き続けたい。
そんな思いと共に寺内タケシさんは病と向き合ってきたのです。
驚くばかりですね。
いや〜でもね本当にエレキギターが好きなんだな。
自分の身の一部かな。
そうですよね。
まさか寝る時はギターと一緒じゃないですね?あっ寝た事あるんです。
あるんですか!?何かもっと密着していいギター弾けるかなと思ったの。
で目が覚めたの。
大変だったよ。
どうしたんですか?ギター真っ二つに折れてた。
え〜!それはどうしてでしょうか?乗っかっちゃったんだろうな。
あまりに好き過ぎて…。
寝相悪いからね。
いやそれは…。
それっきりギターと寝るというのはやめてる。
やめた方がいいと思います。
でもやはり大病なさってここまで元気になられたっていうのはやはり正直にギターがあったから?考え方がギターと同じなんだね。
へえ〜。
病気になったらね治せばいいんだよね。
ギターもちょっと調子悪かったらすぐドライバーでも持ってきて直せばいいんだよね。
例えばギターすごい頑丈なようでこんなですよ。
こんだけ音が泳いでるの分かる?はい。
でそれをつけるために…。
わざわざこういうものを作る訳だね。
「待てよここんとこもうちょっと絞ってみようか」とか。
それやってると当たり前になっちゃうのね。
調子よくするのが当たり前だし。
直りゃそれでいいんでしょ?病気もやっぱりギターと重ね合わせて?マイナスの方にいっちゃうとみんな「病気大丈夫かな?」とか「大事にしなきゃなんない」。
そんな事ないよ。
もっと強い。
人間ってものすごい強いよ。
がんになったからこそ分かった事見えてきた事って何かありますか?みんながすごい大事にしてくれるの。
病気やったあとだから。
「楽にギター弾いた方がいいと思いますけど」って「余計なお世話だ」つってんだよね。
だからね怖くないよ。
毎日のデータとってね血圧でも何でもそうね。
で変化があったらば「お医者さんこういう事なんだけど」って言ったらヒントになるね。
こちらね血圧管理手帳ってこれ今日お借りしてきたんですけど寺内さんが毎日のように測って一日の中でも何回か測る時もあると。
血圧の調子がいい時っていうのはギターを弾くと上がるんだよね。
悪くても。
それだからなるべく低めに低めに自分でカウントしながらそこに合わせてる訳だ。
ギター弾くまでの時間を。
なるほど。
だからあんまり食事しない。
軽くしか。
その胃でこなすという作業があるでしょ?それすらもったいないんでね。
それすらじゃあギターの方に向けた方がいいなっていう。
やっぱりでもそれだけこまめにギターのメンテナンスじゃないですが…。
そうなんです。
ギターのメンテナンスと同じです。
毎日調子を見て…「今日もよ〜し!」。
こんな感じでね。
何でそういう事になったか知ってる?分からないです。
そうやってちゃんと自分で自覚しとかないと注射やられるんだよ。
やっぱり嫌だから。
これが問題だよ。
悪くなり過ぎたら駄目だね。
初期発見でしょうね。
だから火事と同じだろう。
ゴミ箱が燃えてるだけだったらすぐ消火できるよ。
うちじゅうに火の手が行ったら終わりだよ。
それでね。
早く逃げた方がいいそうしたら。
逃げたらいいっていうのはお医者さん変えるかも分かんないしいろんな話もあるだろう?僕は変えた事ないよ。
一生つきあってるよみんな。
こんな事言うんだよ。
「寺内さんちゃんと定期検診してないとギターに影響出るよ」。
「すぐ行くから」。
そっか。
だからやっぱりそういう関係の先生と出会うって事はやっぱりとても大事な事ですね。
これ治ったらスキーに行くんだとかこれ治ったら空手の試合に出るとか何か目標がある人がいると思うの。
おいしいもの食べたいとか家族で幸せにピクニックに行きたい。
そういう事があったらその先生に話したらいいよね。
こうだから治したいんだと。
そしたら先生もその気になってくれるの。
ただがんが見つかったからって暗い話でさよくないと思うよ。
さすがに最初のがんの時は寺内さんそういうふうに治せばいいんだって思ったという事ですけれどもそれが再発したと。
再発したってまたやればいいんでしょ。
でも気持ちは最初の時とは変わらなかったですか?治ると思った。
あ〜。
治ると思ってんから再発しても目じゃないよね。
また手術すればいい。
お医者さんを信じてさ。
もともとの寺内さんの性格とそこにもう物心付いた時にギターがあって…。
更に言うとそのギターを聴きたいというファンの皆さんがいるからというのが大きいんだなって。
具合よくなくて入院して例えば初めてのステージがあったと。
そしたら「待ってたぞ寺内」とか言ってくれるのよ。
もう死んでもいいと思っちゃうね。
「よ〜し!」。
その晩すごい痛かったりして。
しくしく…。
明日は気を付けよう。
明日緞帳がド〜ンと開くでしょ。
「いくぞ!」って言ったらもう駄目だね。
やっぱり痛いのは痛いですもんね。
痛いのは痛い。
でもね痛さを忘れるっていうのがあるんだよね。
一瞬ポ〜ンって。
だから病院では麻酔薬とかそういうの使わないでギター弾きゃいいんだよみんな。
(笑い声)ライブのない日の寺内さんの日課は愛犬の散歩。
暑い…。
自宅近くの公園がお決まりの散歩コースです。
これはハナちゃんです。
がんのあと健康のために始めました。
きれいだね。
きれいだきれいだ。
ライブの時とは打って変わってこの時ばかりは普通のおじいちゃんに戻ります。
今も全国を飛び回る寺内さんのつかの間のリラックスタイムです。
そしてエレキの神様の日常はコンサート遠征バス。
沖縄でのツアー以外はいつもこのバスで日本中を移動します。
これがいつでもツアーに出発する時の道のりですね。
ベイブリッジを通ってね。
この日のライブ会場は高校の体育館。
そうハイスクールコンサートです。
ふだんのライブとは別に寺内さんが40年以上続けている活動です。
高校生との年の差はおよそ60歳。
エレキの神様を知る高校生はほとんどいません。
皆さんこんにちは。
寺内タケシとブルージーンズは横浜からやって参りました。
拍手!
(拍手)日本のエレキシーンこの曲で始まった。
「涙のギター」。
さあ拍手!
(拍手)手拍子はい!ワンツーワンツースリーそれいけ!かつてエレキギターは不良少年の温床といわれた時代がありました。
エレキのコンサートに行っただけで停学処分を受ける事も…。
そんな時代に寺内さん自ら学校と交渉しコンサートを企画。
しかし40年前はコンサートを開くまでが大変だったといいます。
話なんかとんでもなかったよ。
嘲り笑う嘲笑の声が聞こえてバカにされてな。
手が震えてた。
100校の学校歩いてお茶の出た学校はたった3校しかなかったよ。
ケチ…。
(笑い声)寺内タケシベートーベンの「運命」。
そしてレコード大賞の編曲賞受賞。
(拍手)驚いたのはその次の日からです。
どうのこうのどうのこうのってがたがた騒いでたマスコミもなそれがたったレコード大賞一つ編曲賞取っただけでエレキギターすばらしいすばらしいともてはやす。
冗談じゃない!大人がころころ変わって子どもどうすりゃいいんだ!でもなそんな大人になるんじゃない。
ハイスクールコンサートで訪ねた高校は1,500校以上。
これからの人生をしっかりと生きてほしい。
最後は必ず自身が作詞したこの歌を高校生に贈ります。
最高でした!ちゃんと言ったメッセージは分かったか?お前ら。
分かりましたよ。
日本中に自分を待っている人がいる。
エレキの神様に引退はありません。
高校生ももう最初からノリノリでしたし。
スクールに行って子どもたちの反応っていかがですか?素直だよ。
いいものはいい悪いものは悪い。
ばっちり来るからね。
昔はねひねちゃったの。
エレキギターが不良少年をつくるっていわれて。
その時に高校生だったおばあちゃん。
孫を連れて宮崎で「私はここで何十年前に高校の時にチケットを取り上げられて停学になりました。
寺内さんのギター今日聴けてよかった」って泣くんだよステージで。
何十年たってそれだよ。
いいお話ですね。
うれしかったでしょうね。
もう病気の事なんかやっぱりふだんの生活ではもう忘れてるぐらいですか?終わった事はもういいんだよ。
ギターで言えば。
間違いもあるしものすごいよかったのもあるし。
でも次の日にコンサートやる時はそれは白紙に戻して始まんだろ。
これからもしかしたらまた大きな病気をされるかもしれないですよね。
その時は?治せばいいです。
治せばいい。
治らなかったら思い出だけが残るよ。
いい思い出だ全部。
だからね「もし」とかさありえないよ。
「もし」じゃない。
生きていくんだから。
細心の注意をして倒れた時はそれまでじゃないか。
そしたらこのギターもあのギターも全部僕の周りに寄ってきてくれると思うよ。
悲しいけどねそういう時は。
その時のエレキギターは燦然と輝いてるよ。
最後にね今もがんと闘ってらっしゃる方日本にたくさんいらっしゃるんですけど…。
闘ってるのはね僕とか今がんになってる人が闘うんであって闘うのは先生だよ。
もっとつらいと思うんだよね。
だんだん悪くなってくのを見てんのも。
だんだんよくなってるので喜ぶのは患者さん。
悪くなって悲しむのは先生。
逆転して考えたらばお医者さんも大変だと思うよ。
だからたまにはいたわりに行かなきゃいけないんだよ。
それが定期検診っていうやつだよ。
そうですね。
決まったかな?ゲスト寺内タケシさんでした。
ありがとうございました!2015/08/12(水) 13:10〜13:40
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV リハビリ・介護を生きる「がんを乗り越えて 寺内タケシ」[字][再]
76歳の今もコンサートに活躍する「エレキの神様」寺内タケシ。2001年に大腸がんを克服、華麗な指さばきは健在だ。「ギターも体も手入れ次第」がんとの向き合い方は?
詳細情報
番組内容
平均寿命が延びた日本では、いま生涯に二人に一人ががんにり患するという。がんという病とどう向き合い、その試練に耐え、その後の人生をどう生きていくかが問われている。「がんを乗り越えて」2回にわたってがんを克服した二人のアーティストの体験談を聞く。76歳の今もコンサートに活躍する「エレキの神様」寺内タケシ。2001年大腸がんにかかるもすぐに復活、華麗な指さばきも健在だ。「ギターも体もチューニングが大事」
出演者
【出演】荒木由美子,寺内タケシ,【司会】山田賢治
ジャンル :
福祉 – 障害者
福祉 – 高齢者
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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