高校野球全国大会が始まって100年。
興奮と感動を呼んだ名勝負の秘密が今夜明らかに!こんばんは亀梨和也です。
「レジェンドが語る名勝負の秘密」。
今夜も漫画家のやくみつるさんとお伝えします
(2人)よろしくお願いします。
さあ今夜はですねいよいよ最終回なんですがテーマは「奇跡の逆転劇」です。
逆転劇。
これやくさんはどういった印象ありますか?逆転劇が起きると「野球マンガみたい」と言われたりするんですけど漫画家はそんなにコテコテの描きません。
描けないですむしろ。
それ以上の事実際に起きちゃうって事でね。
生まれますもんね。
さあそれではその逆転劇のレジェンドをご紹介いたしましょう。
兵庫県報徳学園高校のエースで4番。
その後プロ野球で強打者として活躍されました金村義明さんです。
よろしくお願いします。
こんにちは。
(拍手)この時エースで4番まさに投打の柱として活躍したのが今夜のレジェンド金村義明さんです。
さあそれではまずはこちらをご覧下さい。
この年夏の大会で報徳学園が初優勝した時の戦績なんですが優勝候補とかそういうふうに言われてたりしてたんですか?
(金村)いや全く優勝候補じゃなかったですね。
というのはセンバツで1回戦で負けまして。
あの大府高校の槙原君に。
剛速球に1回戦で負けて報徳学園の歴史で我々が初めて1回戦で負けましてとにかく1回戦甲子園に出て1回戦だけ勝ちたいと。
正直注目を浴びてたのは荒木大輔擁する早実で…。
当時というのは大ちゃんフィーバーはすごい人気だったんですよね?やっぱり荒木君はすごかったんです。
1年生であれだけの決勝で大フィーバーを起こしてそれで次の年ですから。
もはや2年生で来た時はもう大スターでしたから。
やはり同じ高校球児としてライバル意識はあったんですか?同級生にはものすごくライバル意識あるんですけど彼は1つ下でしょ。
高校野球の1つ下っていったら全然違うんですよね。
親子も同然ですからね。
変にいいかっこしいでしたから…俺気にしてないよぐらいの。
この夏は3回戦で早稲田実業と戦うわけですけど4対0からのまさに大逆転と。
実際に対戦した印象というのは?前年度テレビで見ていたすごさと実際対戦しても打てそうにないぐらい…これは打てないなというような感じで。
…というそんな感じで投げてましたね。
対戦相手は優勝候補の早稲田実業。
前年の夏1年生ながらチームを準優勝に導いた荒木大輔投手に注目が集まっていました。
荒木投手のコーナーをつく抜群のコントロール。
報徳打線は6回まで僅か2安打に抑え込まれます。
一方報徳学園の金村投手も負けてはいません。
6回を1安打という見事な投球を見せます。
この息詰まる投手戦を冷静に見ていた人がいました。
報徳学園の北原監督です。
その7回先に点を取られたのは金村投手でした。
(実況)一塁ランナースタート!右中間を破りました!ランナー一塁の場面で三塁打。
(実況)打ったランナーは三塁へ。
ホームイン池田。
1点を挙げました!
(解説)大事なとこですよ。
(実況)打って出ましたショートに。
センター前ヒット!住吉ホームイン。
2点目!その後もヒットを許しこの回3点を奪われます。
更に続く8回。
フォアボールで出したランナーをバントで送られます。
この時隙をつかれランナーが一気に三塁へ。
そしてスクイズ。
ノーヒットで追加点を奪われます。
8回表を終わって4対0。
4点パンパンッと取られてあの時……と思ったんは事実ですね。
というわけで試合が動きました。
三塁打打たれて先取点取られた。
真っ白でしたね。
焦ってしまって…。
…というようなね。
今まで予選でねじ伏せて自分では勝ち上がってきたもんですから。
もう僕の悪い癖でセンバツも1回戦で負けた時のように…どう見ても熱くなるタイプですもんね。
ええ。
そして8回にはノーヒットで更に…。
北原監督もおっしゃってたようにダメ押しという…。
僕もマウンド上でノーヒットで1点で…この時思いましたか?ピッチャー金村は萎えかけたんだろうけれども…荒木君からヒット1本打ちたいみたいな。
…というような気持ちだけで最後入りましたけどね。
8回の裏に1点を返し3点差で迎えた9回裏。
北原監督は思い切った作戦に出ます。
終盤に入り荒木投手は投球の合間にしきりと腕を振るようになっていました。
そのしぐさを北原監督は見逃しませんでした。
そして9回球数を減らすため……と読んだのです。
必ず疲れてきたら…そのそろえてきた球を好球必打でいかなきゃ勝てないと。
ヒッティング…早実倒せ!オー!先頭打者はエースで4番の金村。
初球を狙ったもののセカンドへのゴロ。
しかし必死の走塁で内野安打とします。
デッドボールで一塁二塁となりまた初球攻撃。
二塁打で1点を返します。
次のバッターも初球打ち。
これも二塁打。
2人がホームイン。
ついに同点に追いつきました。
そして迎えた延長10回の裏。
(実況)引っ張りました。
セカンド小沢です。
ここに行きますと安心です。
(実況)さあどうでしょうか?ライトです。
岩田。
(打球音)
(実況)三塁オーバー長打コース。
金村選手サヨナラのチャンスをつくります。
そして…。
(実況)さあどうでしょうか。
レフト大きい大きい大きい!サヨナラ!サヨナラヒット!サヨナラヒットが出ましたホームイン!金村選手はサヨナラのホームを駆け抜けました。
いやぁすごいですね。
このサヨナラのホームを踏んだ瞬間の気持ちというのはどういったものなんですか?でもずっとガッツポーズしてますね。
三塁回った辺りからきっと感情は出てたと思いますけどね。
何せ自分では9回負けたと思っていってるわけですからね。
あの内野安打。
忘れもしないですね。
初球をバーッと金属音残すとセカンドでうまかったんですよ。
それがまた楽々取られて遠投で一塁ギリギリにセーフになったんです。
もう意地でです。
ちなみに監督インタビューでありましたけど初球攻撃だと。
僕はもう…でもご自身も初球を打たれましたね9回。
だからもう自分で思ったんでしょうね。
荒木君初球からしか好球必打かなわないというのは。
じゃ監督の考えと金村さんの考えがその時に…。
一瞬一致したんですね。
でも相手バテかけてんのが見えたらば余計投げさせて…でもね僕もそうでしたけど毎試合投げてる人間はねもうヘトヘトなるんですよ。
もうだから…3回戦早実に勝ったという事でチームの流れといいますか勢いっていうの増していった感覚ってありますか?間違いなく増しました。
奇跡的な逆転で我が学校っていうのは昭和36年に「逆転の報徳」と言われてる関西では名門校なんです。
そのころはあったんですね。
もう有名でした。
僕もそれを知らされてユニフォームに憧れて入った学校で…。
後の野球人生というものにどういった影響を与えてたと思いますか?全然変わっていった?ええ。
プロからの評価もそんなもらえなかったと思いますし。
何なんですかね。
高校野球逆転という雰囲気というかどういったところから生まれるんですかね?…という気持ちでしょうね。
最後の最後まであきらめないと。
よく「野球は2アウトから」とかいろんなまあ言いますけど内心は僕みたいにあきらめてるピッチャーもいるかもしれないけど最後の一球まで最後のゲームセットまであきらめないという。
だから甲子園っていうのは一塁にアウトでも滑り込んでいったりあれがあきらめない気持ちでしょうね。
今回は逆転サヨナラについて調べてみました。
夏の大会は去年までにおよそ3,200試合が行われましたがそのうち9回もしくは延長戦の最終回に逆転サヨナラをしたのは67試合となっております。
その中から伝説となった2つの試合をご覧下さい。
桑田清原のKKコンビが登場する5年前PL学園が初優勝した試合です。
4対0から9回裏に同点。
そして延長サヨナラ勝ちを収めたPL学園。
この日の決勝も高知商業に2対0とリードされ9回裏を迎えます。
1アウト二塁三塁とし犠牲フライで1点を返します。
(実況)バックホームはカットしただけ。
1点を返しました。
2アウト二塁となりバッターはエースで4番の西田選手。
ワン・エンド・ワンからの3球目。
明らかなボール球を思い切り空振りします。
実はフルスイングする事で緊張を吹き飛ばそうとしたのです。
次の球。
(実況)一塁線入った!フェアフェア!入りました。
一塁線を破る二塁打で同点。
(実況)同点です。
ラッキーゾーンに入りました。
そして…。
(実況)抜けるか?抜けました!ホームイン!逆転サヨナラ!「逆転のPL」という伝説はこの時生まれたのです。
大阪PL学園との試合で延長17回を投げ抜いた横浜の松坂大輔投手。
この日はとても投げられる状態ではなくレフトの守備に就きます。
(実況)松坂…あきらめた!その横浜8回表までに6対0の大差をつけられてしまいます。
(実況)二塁ランナーホームイン6点目!しかし8回裏。
(実況)ヒットになる!ホームイン6対4!2点差まで来た!4点を返し9回に期待をつなぎます。
(場内アナウンス)レフトの松坂くんがピッチャー。
9回表松坂投手がマウンドに。
(実況)松坂コールが起きています。
(観客)松坂!松坂!松坂!気迫のピッチング。
その裏松坂の力投に打線が…。
(実況)抜けるか?抜けた〜!6対6土壇場同点!そして2アウト満塁。
劇的な逆転サヨナラ勝ち。
春夏連覇を成し遂げました。
僕この時12歳とかだったんですけどテーピングを外してマウンドに行くってすごいまねしましたもん。
僕らプロ野球選手でしたけど興味津々で見てましたよね。
注目のプロから見てても…。
いやぁもうすごかったですね。
それにまたセンバツで我が母校負けてるんですよ。
横浜にね松坂にね。
だから余計に気になって見てましたよね。
それとPLの逆転。
あれは僕も野球少年真っただ中のとこですからじっくり見てましたね。
このゲームから「逆転のPL」と…。
言われましたよね。
大阪と兵庫の違いで。
必ず逆転劇の中にはこんなもんでね変わるっていうのがそれが幾重にも折り重なりますでしょ。
これが不思議なぐらいに起きますねいろいろね。
1プレーとかだけで一気にガタガタガタッといったりとかするじゃないですか。
だからそれだけやっぱり……とか言うんですけどもやっぱり最後のところでね気持ちがふっと…。
ほっとした気持ちのその隙にガタガタッといったりですね。
それを上回ってしまったりそういう事だと思いますけどね。
実はですね67試合ある逆転サヨナラの中にこれはすごすぎるといった逆転サヨナラ劇があります。
この試合ですね8回までは8対4。
ところがそのあとすごい展開が待っていました。
翌日の新聞記事はこう伝えています。
一体魔物はどう笑ったんでしょうか?4対84点差で迎えた9回表。
帝京はピッチャーの打順で代打沼田選手。
サードゴロに倒れます。
一塁二塁ながら2アウト。
ここで魔物が笑います。
(打球音)
(実況)高いバウンドであ〜!
(打球音)
(実況)三遊間!
(打球音)
(実況)三遊間割った!
(打球音)
(実況)当てた!あっ!驚異の5連打。
(実況)帰ってきた!9対8!逆転帝京!先ほど代打で凡退した沼田選手も…。
(打球音)
(歓声)
(実況)レフトへの打球が伸びてゆく!大きい大きい大きい!沼田スリーラン!12対8!9回表8点を奪い大逆転。
その裏再び魔物が笑います。
実は帝京は3人のピッチャーを使いきっていました。
マウンドに登ったのはセンターを守っていた選手。
2者連続のフォアボール。
そして…。
(打球音)
(歓声)
(実況)これもとらえた!深いところ大きい!スリーランホームランで1点差!
(実況)12対11。
更に一塁二塁となったところで控えの選手がマウンドに。
(実況)いい当たり!抜けた!タイムリーで同点!
(実況)ホームに帰ってくる!同点!
(場内アナウンス)1番センター古宮君。
そして1アウト満塁。
(実況)ツースリーフルベース。
(歓声)最後は押し出しのフォアボールでした。
逆転に次ぐ逆転劇はこうして幕を閉じたのです。
さあどうでしたか?「魔物は二度笑った」。
うわぁ僕恥ずかしながらこのゲーム知らなかったですね。
すごいゲームやってたんですね。
こんな事が起きるんですね。
いやぁちょっと今見ても信じれないですねこの展開は。
そもそもポイントは9回表のピッチャーを降ろして代打。
ご自身がもし監督だったら9回攻撃どうしますか?帝京の前田監督と同じようにピンチヒッター出しますよ。
延長になってピッチャーがいなかろうがそんなのはもう…。
よし行け!っていうね。
それも3年間同じように練習を頑張ってきてベンチ入れない子がスタンドで必死で応援してくれてる。
そのベンチウォーマーというか…そんな気持ちに絶対なると思うんですよ。
その中でまた見事逆転をした。
だからその人がそこで自分には…ああいうのつながっていくんでしょうね。
このあとまた更に逆転される。
いやピッチャーがねもし正規のピッチャーいなくても中学ぐらいの時は大体ピッチャーやってた子とか多いから何とかなるもんだと。
点差もありましたしね。
メジャーリーグでも野手が投げたりしますからね。
それをまた5点取ってサヨナラにしたっていうのは…。
追い詰められた極限の状況の中で何とかなる時があるってのはやっぱりちゃんとねそれに備えて…今VTRにあったゲームのチームっていうのはやっぱり相当ふだんから練習に練習を積んでるそういう選手たちだと思いますし試合に出れなくても9回に出た時にそうやって1打席打てる人っていうのは…やっぱり練習があるからこそ奇跡だけではなく…。
4夜にわたり数々の甲子園のドラマを見てきましたけれどもやくさんはいかがですか?高校野球。
私はほんとに純粋に見る側ですけれどねほんと刹那的なわけですね高校球児ね。
なんか他人のせがれなんですけどね…その締めつけられる感が楽しくて見てるのかもしれないなと思って。
僕の場合は野球始めたのもプロ野球選手になりたくて始めたんじゃなくて高校野球が好きで僕の出た報徳学園のユニフォームに憧れて野球をした人間ですから…仲間と一緒に。
ええ。
プロ野球人生終わってからでもねきつい時もありましたけどもそういう時でもやっぱり甲子園に今も行くとやっぱりパワーをもらって帰っていきますし…。
お二人とも今夜はほんとにどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
さあ4日間にわたってお送りさせて頂きましたが…あきらめない気持ち汗をかいてボールに向かっていく気持ちというものを改めて感じる事ができました。
さて今年はどんなドラマが生まれるんでしょうか?あしたからも楽しみにしたいと思います。
2015/08/11(火) 22:55〜23:20
NHK総合1・神戸
高校野球100年 レジェンドが語る名勝負の秘密「第4回 奇跡の逆転劇」[字]
高校野球100年、名勝負の秘密に迫るシリーズの最終回。テーマは「奇跡の逆転劇」。荒木大輔を擁する早稲田実業に報徳学園が劇的な逆転勝利をおさめた試合を徹底分析!
詳細情報
番組内容
高校野球100年の歴史に残る名勝負の秘密に亀梨和也(KAT−TUN)とやくみつるが迫る。最終回のテーマは「奇跡の逆転劇」。昭和56年夏、初優勝した報徳学園が唯一崖っぷちに立たされた試合。相手は荒木大輔投手を擁する優勝候補の早稲田実業。終盤4対0からの逆転劇の舞台裏を、報徳学園のエースで4番だった金村義明さんに聞く。他にも“逆転のPL”や“魔物は2度笑った”と言われたまさかの大逆転劇を取り上げる。
出演者
【ゲスト】金村義明,【出演】亀梨和也,やくみつる,【語り】高山みなみ
ジャンル :
スポーツ – 野球
ドキュメンタリー/教養 – スポーツ
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