南北統一準備のための大統領直属機関、統一準備委員会の鄭鍾旭(チョン・ジョンウク)副委員長は「20年間以上引き継がれている『民族共同体統一案』を時代の状況に合わせて継承・発展させる必要がある。統一のビジョンや原則などを盛り込んだ統一憲章と、統一に至る過程を明記したロードマップを作成しているところだ」と語った。
現在の韓国の公式統一案は、1994年に金泳三(キム・ヨンサム)政権が作った「民族共同体統一案」だ。自主・平和・民主を統一の基本原則とし、「1民族・1国家・1体制・1政府」の完全な統一国家を目指す。一方、北朝鮮は1970年代以降、「1民族・1国家・2体制・2政府」を基本とする「高麗連邦制統一案」を主張している。基本的に、韓半島に二つの体制を認めようというのが北朝鮮の考えだ。自由民主主義体制への統一に対し、北朝鮮が「制度(吸収)統一」だと強く反対しているのもそのためだ。
国家安保戦略研究所のユ・ソンオク所長は「北朝鮮指導部は(国家体制を一元化する)『制度的統一』に反対している。これは韓国に『連共政権』が立ち、自分たちが望む方向、つまり共産政権で統一されるまでの時間稼ぎ戦術だ」と話す。高麗連邦制案は統一の前提条件で、国家保安法廃止・共産主義活動の合法化・在韓米軍撤収などを掲げているのもそのためだという指摘だ。
韓国政府は、新しい統一案を作っても、基本的には平和的方法による漸進的統一という大きな枠組みには変わりないという見解を持っている。