(江上)あの橋場に収賄の疑惑があるんだ。
(久利生)この映像見つかっちゃったんだから桂川さんが無関係なのはもう明らかですよね?
(礼子)最初の事件は冤罪だったってこと?
(久利生)冤罪?
(礼子)そのときの検事は?
(田村)国分秀雄。
(遠藤)南雲を起訴すれば城西支部は冤罪を暴いちゃうことになるわけです。
(久利生)事件の当事者は人生懸かってるんですよ?嘘つけないでしょ。
俺たち検察なんだから。
(川尻)起訴しよう。
とことん真実を追い求めるのがわれわれの仕事だ。
被告人南雲尊之。
当時43歳は平成26年9月14日府中競馬場で競馬を観戦しその後府中駅近くの屋台で飲食を開始したが夜8時30分ごろ同じ屋台にいた滝翔太。
当時27歳と口論となって激高し同人を殺害しようと決意して同日夜9時ごろ府中市片町の路上において所携のナイフ刃体の長さ約10cmで同人の左胸部を1回突き刺し。
よって同人を心臓刺切創に基づく失血により同所で即死させたものである。
罪名および罰条。
殺人。
刑法第199条。
(裁判長)南雲尊之さん。
あなたはこの事件の被告人なので黙秘権という権利があります。
その上で尋ねますが先ほど検察官が読み上げた公訴事実の内容にどこか事実と違うところがありますか?
(南雲)間違ってます。
(南雲)ナイフを出してきたのは向こうです。
僕たちはもみ合いになって気が付いたら相手の胸にナイフが刺さっていました。
(裁判長)弁護人の意見は?
(松平)これは正当防衛による事故です。
よって無罪を主張します。
(南雲)いきなり滝さんが倒れたんです。
見ると左胸が真っ赤に染まっていました。
(松平)それからあなたはどうしましたか?恐ろしくなってその場を逃げ出しました。
(松平)それから?自分がナイフを手にしてることに気付いて大変なことをしてしまったと怖くなってナイフを川に捨てました。
(松平)その後警察官に呼び止められたんですね?あのときは気が動転していて事情をうまく説明できませんでした。
(松平)つまりこれは自分の身を守ろうとして起こった不幸な事故だったんです。
南雲さん。
あなたは正当防衛を主張されてますよね?ナイフを出してきたのは亡くなった滝翔太さんだと。
(南雲)はい。
屋台で口論になり腹の虫が収まらなかった滝さんがあなたを追い掛けてきたと。
(南雲)そうだと思います。
でもあなたは駅には向かわなかった。
なぜあんな路地裏に入ったんですか?
(南雲)えっ?だってもう夜9時を過ぎてたんですよ?家に帰ろうと思わなかったんですか?
(南雲)酒が飲みたかったので。
でもあの辺一帯は住宅街でそういうお店は1軒もありません。
でもその代わりに滝さんのマンションがあります。
ホントは逆なんじゃないですか?自宅に帰ろうとした滝さんをあなたが追い掛けたのでは?
(南雲)違います。
質問変えます。
あなたは銀座で画廊を経営されてますよね。
そのお店の名前は?
(南雲)南雲画廊です。
はい。
高岸あんずさんという女性をご存じですか?
(南雲)はい。
彼女との関係は?
(南雲)うちで雇っていたアルバイトです。
その高岸さんがおっしゃるには平成23年3月26日。
その画廊はお休みでした。
そして平成20年4月4日。
この日も画廊のシャッターは下りてました。
その日あなたはどこで何をされてました?
(南雲)覚えていません。
ホントに?
(松平)裁判長。
質問の意図が分かりません。
(裁判長)検察官はなぜそのような質問を?はい。
平成23年3月26日。
東府中駅近くにおいてジョギング中の高校生が何者かに背中を刺されるという事件がありました。
そして平成20年4月4日。
こちらは府中市矢崎町において帰宅途中のOLが何者かに右臀部を刺されるという事件がありました。
この2件とも犯人はまだ捕まっておりません。
いや。
実はこれ以外にも似たような事件が。
えー。
平成16年11月2日。
(松平)異議あり。
平成12年7月7日。
(松平)裁判長!平成11年10月の20日。
(松平)過去の事件は本件とは何ら関係ありません。
われわれはこれら全てが被告人の犯行だと考えています。
(どよめき)
(裁判長)静粛に!静粛に!検察官は裁判のルールをご存じないんですか?仮に余罪があったとしてもそれは審理の対象にはできません。
まっ確かに現時点では過去の事件はこの裁判には関係ありません。
ですが同一人物による犯行の事件の起訴なら審理の対象になりますよね?
(八木)ええっ!?われわれ検察は今回の事件に加え今挙げた5つの事件全てにおいて南雲尊之を追起訴したいと考えております。
(一同)追起訴!?
(キャスター)前代未聞の裁判です。
東京府中市で27歳の男性が殺害された事件の裁判員裁判の初公判が開かれ南雲尊之被告は正当防衛を主張し起訴事実を否認しました。
また検察は15年前までさかのぼった5つの事件全て南雲被告の犯行として追起訴する方針を明らかにしました。
罪に問われているのは画廊経営者南雲尊之被告43歳です。
(八木)平成16年11月2日。
帰宅途中の大学生が左脇腹を刺された。
平成12年7月7日。
これ国立か。
42歳女性がジョギング中に左腕を切りつけられた。
(小笠原)確かに似てますね。
(八木)えっ?
(小笠原)どれもいきなり後ろから襲われて誰も犯人の顔見てない。
(八木)検察は恐ろしい連続通り魔をつくりあげたいらしいな。
(小笠原)ハッ。
出た。
八木さんの検察批判。
(八木)ジャーナリズムは基本反権力なんだよ。
(八木)しかし15年前の事件まで引っ張りだすかね?あれ?これ犯人捕まってんぞ。
(小笠原)はあ?
(八木)大友真一35歳。
殺人未遂で起訴されてんじゃねえか。
(検事)大友真一という男が懲役3年の実刑判決を受けてるんです。
(検事)これも南雲尊之の犯行だということになると大友を起訴したことは間違いだったと。
(押坂)検察が自ら冤罪を認めることになるじゃないか!
(検事)この裁判の公判担当検事は城西支部の久利生です。
(押坂)何!?
(松平)15年前大友を起訴した検事は?
(及川)国分秀雄という方ですね。
(松平)今はどこに?
(理紗)平成12年末に検察を辞めています。
でも弁護士登録はしていないようです。
(松平)国分秀雄。
(キャスター)この事件では男性が懲役3年の実刑判決を受けているんですがこの男性判決直後に刑務所で死亡してるんですね。
くも膜下出血ということなんですが。
藤田さん。
もしこのときの起訴が間違っていたとするならばもう取り返しがつかないということですよね?
(藤田)そのとおりですよね。
ただ当時担当していた検事はすでに辞めているという情報があります…。
(幹部)有罪が確定した事件を蒸し返すなんて。
(津金沢)本来ならば最高検まで上げて指示を仰ぐべき事案だよ?一支部が判断するようなことじゃないんだよ。
(川尻)しかるべく手順を踏まなかったことは申し訳ないと思っております。
(幹部)いまさら謝ったってしょうがないんだよ!われわれは確信を持って起訴を決めたわけでして刑が確定しているという理由で平成11年の事件だけを外すわけにはいかなかったんです。
(津金沢)何を考えてるんだ?城西支部は。
(川尻)われわれの目的は連続通り魔事件の犯人を罰すること!それだけです!
(千佳)ここが3年前の現場です。
事件あったの夜の8時ごろだろ?
(千佳)南へ向かってジョギング中の高校生がここで何者かに背中を刺されました。
はっ!?ってことは犯人はナイフ持ってダッシュして追っ掛けてきたわけだろ。
(千佳)ええ。
『八つ墓村』みてえじゃねえかよ。
(千佳)えっ?何村?めちゃめちゃ怖えって話だろうが。
チッ。
(遠藤)ここが6年前の現場です。
帰宅途中のOLが後ろから右臀部を刺されました。
(田村)後ろから。
(田村)臀部って尻だよな?
(遠藤)尻でよかったですよ。
(田村)よかったよ。
尻に内臓ないもんな。
ビキニラインの内側だし。
(井戸)10年前もこんな感じだったんでしょうね。
(礼子)ここで大学生が後ろから左脇腹を刺されたのね。
(井戸)全治3週間。
命に別条がなくてよかった。
うわー。
イケメンだなぁ。
(礼子)10年前に大学生ってことは今は30すぎ?馬場検事。
ハンターの目になってますよ。
(末次)14年前の現場です。
(宇野)後ろから切りつけられたのは42歳女性。
(末次)7月7日です。
七夕だ。
七夕に出会ったのはひこ星じゃなくて切り裂きジャックだった。
(宇野)盛り上げなくていいから。
行くよ。
はーい。
でここが最初の事件現場。
散歩中の62歳の男性が背中を刺されて重傷を負っています。
警察は大友真一35歳を逮捕。
でも被害者は犯人の顔見てないだろ。
後ろからなんて。
2人の間には金銭トラブルがあったようです。
起訴した検事はそこを重要視したんでしょう。
おお。
おっ。
えっ?その検事さんとこに今田村さんたち行ってんだよな?ええ。
国分秀雄さん。
山梨県の自宅に2人が向かっています。
山梨。
ハァー。
(遠藤)ああ。
(田村)ここだ。
(遠藤)失礼いたします。
(田村)失礼しまーす。
(田村)東京地検城西支部の田村と申します。
(遠藤)事務官の遠藤です。
(田村)もうご存じだとは思うんですが。
かつて国分さんが起訴された事件をわれわれが追起訴しました。
(遠藤)平成11年10月20日。
府中市で62歳の男性が刺され大友真一が有罪判決を受けた事件です。
(田村)すでに結論が出てる事件を蒸し返すのは心苦しいんですがどうかご協力ください。
(遠藤)あのときの捜査段階で南雲尊之という男の名前が挙がったはずです。
えっ?いや。
田村検事?
(田村)国分さんは南雲を取り調べられましたよね?参考人として。
そのときのことを教えていただきたいんです。
(遠藤)南雲がどういう理由で捜査の対象になったのかとか。
あの。
実際取り調べてみてどういう感じだったのかとか。
(田村)なぜ南雲が犯人ではないと判断されたのかとか。
(遠藤)エヘヘ。
(国分)私が冤罪を出したというのか?
(遠藤・田村)いや。
あの。
(国分)無実の人間を裁判にかけたといいたいのか?君たちは。
国分さん。
(国分)帰れ。
(遠藤)ちょっ待ってください!
(国分)帰れ!
(遠藤・田村)国分さん。
(遠藤)ちょっ。
もう。
あのう。
お話だけでもすいません!ちょっ。
(田村)ちょっと。
チッ。
ハァー。
(遠藤)もう。
何なんだよ?どうします?
(田村)ったく。
何なんだ?あいつは。
(遠藤)いや。
ビビってたじゃん。
(田村)何ぃ?
(遠藤)いまさらにらまれても怖くねえし。
(田村)ぴしぴし!
(遠藤)いや。
ぴしぴしって。
かみそりって。
切れてないし。
(川尻)平成16年の起訴材料は揃った。
平成12年もOK。
やっぱりネックなのは一番最初の事件っすね。
(礼子)そう。
これが不安なのよ。
絶対国分さんの考えを聞いておくべきだと思うわ。
(宇野)どうしてあのとき南雲を外したか。
(井戸)アリバイがあったわけじゃないんですよね。
(末次)でももしアリバイに匹敵するような理由があったとしたらそんなものが後から出てきたら大変ですよ。
(川尻)この事件がひっくり返されたら全部が駄目になるぞ。
(田村)国分さんは無理ですよ。
俺たちに協力なんてしてくれるわけがない。
(遠藤)「帰れ。
ピシャッ」つって取り付く島もなかったですもんね。
(礼子)ちゃんと丁寧にお願いしたの?
(井戸)偉そうな言い方したんじゃないですか?田村検事。
(田村)してないよ。
(宇野)遠藤さんが生意気な口利いたんじゃないの?
(遠藤)利いてねえよ。
バカ野郎。
やっぱり女性を行かせた方がよかったかなぁ?ああ。
男の一人暮らしだから。
(末次)ああ。
ああ。
私か。
(一同)えっ?えっ?
(末次)礼子さんみたいな大人の女性ですね。
(礼子)やっぱり?
(遠藤)元ヤンとかじゃなくてね。
(井戸)出ますからね元ヤンは。
元ヤンの空気が。
出ません。
出しません。
(宇野)元ヤンでも僕は好きだよ。
やかましいわ。
こら。
(一同)こら?出た。
あっ。
今のはちょっと口が滑っただけ。
忘れてください。
(川尻)国分さんには粘り強く交渉していくしかない。
この事件を起訴したらいよいよわれわれは厳しい立場に置かれるぞ。
(田村)世の中的にも検察の身内からも大バッシング。
遠藤。
仕事だ。
(遠藤)マジっすか?いや。
もうすでに俺らぼろかす言われてるでしょ。
おう。
書類片付けるぞ。
はい。
(川尻)本庁でめった打ちに遭ったよ。
(礼子)かわいそうに。
部長。
仕事するわよ?井戸さん。
(川尻)城西支部何考えてんだって!
(井戸)そこまで言われましたか。
(宇野)ほら。
末次さん。
仕事。
(末次)えっ?もう帰りましょうよ。
(宇野)帰らないよ。
(遠藤)テレビもネットも見ない方がいいっすよもう。
(川尻)頑張ろうなみんな!頑張れ俺。
(井戸)ハァー。
(礼子)うん。
先行って。
(井戸)ちょっ。
(礼子)いいから。
(井戸)フゥー。
(礼子)頑張れ。
(井戸のせきばらい)
(井戸)失礼しまーす。
(礼子)失礼します。
(礼子)東京地検城西支部の馬場です。
(井戸)事務官の井戸です。
(国分)何しに来た?南雲尊之について。
(国分)協力はできないと言ったはずだ。
(井戸)お怒りは分かります。
帰ってくれ。
(礼子)どうして南雲を外したんですか?南雲も怪しいと思われたから主任検事自ら取り調べたんでしょう?大友真一は裁判では一貫して無実を主張していたそうですね?もしかしたら犯人は南雲の方なんじゃないかとは思わなかったんですか?国分さんはあのときの起訴は正しかったと言い切れますか?
(国分)君たちは迷いながら起訴するのか?確信なく起訴を決める検事がいるのか!?
(井戸)あっ。
おお。
検事?ああ。
(礼子)何?あの言い方。
(井戸)ああ。
馬場検事。
(礼子)あんな言い方しなくてもいいと思わない?
(井戸)うん。
馬場検事。
(礼子)ああー。
(井戸)もっと馬場検事のこうフェロモンを?出した方がよかったんじゃ?
(礼子)どこでどうやって出すのよ?今の流れで。
(井戸)さすがに無理か。
ハハハ。
ああ。
最近検事フェロモン感なくありませんか?
(礼子)全開ばりばりです。
っていうかそれセクハラだから。
(井戸)ああ。
フフフ。
(松平)まさか過去の事件まで持ち出してくるとはなぁ。
でも心配することないよ。
あれは完全に検察の勇み足だ。
そのうち向こうが勝手に自滅するさ。
なっ?
(理紗)はい。
(南雲)誰もいませんでしたね。
傍聴席に。
親も兄貴たちも。
(松平)忙しいんだろう。
お父さんは有名な方だし。
(南雲)俺が南雲家の恥さらしだからですよ。
俺を怖がってるし。
みんな。
正当防衛なんだよな?向こうがナイフを出してきたってのはホントなんだろ?ホントですよ。
そう言ったでしょ?僕。
(理紗)先生。
あの人は嘘ついてるんじゃ?
(松平)われわれの仕事は依頼人を信じて守ることだ。
(理紗)はい。
(バイブレーターの音)
(バイブレーターの音)どうした?
(秘書)新聞記者の方が松平先生にお会いになりたいと。
(松平)新聞記者が?
(八木)国分秀雄。
元検事。
(松平)15年前の事件を担当した検事ですね。
(八木)ああ。
ご存じでしたか。
ええ。
そう。
検察を辞めた後なぜか弁護士にならず山梨に引っ込んじゃったんですよこの人。
(松平)そこに城西支部の検事たちが?
(八木)でも追い返されましたねあの様子は。
うわっ。
高い。
追い返された?
(八木)僕が思うにあのときの起訴は間違いだったと認めさせに行ったんだと思います。
そこをクリアできないまま検察は15年前の事件まで追起訴したんですよ。
(松平)どうしてそれを私に?
(八木)僕は検察の連中が嫌いでね。
自分たちは社会正義のとりでだとか言ってますが結局は国家権力でしょう。
(松平)なるほど。
(八木)つまりこの裁判検察にとって一番怖い敵が自分たちの身内にいるってわけです。
(末次)ちょっと待ってくださいよ。
(宇野)開けて。
事務官。
ほら。
(末次)失礼しまーす。
(宇野)失礼しまーす。
(宇野)あっ。
東京地検城西支部の宇野といいます。
(末次)事務官の末次…。
うっ!?
(国分)どういうつもりなんだ?次から次からやって来やがって。
そんなに私を陥れたいのか?
(宇野)いえ。
陥れるなんて。
だからやめた方がいいって言ったんですよ。
怒られるに決まってんだから。
(国分)帰れ。
(宇野)僕たちは真実が知りたいんです。
だって過去に南雲を取り調べた検事は国分さんだけなんですから。
(末次)宇野検事。
もう。
僕たちだってつらいんです!大先輩の判断が間違ってたなんて。
あれは冤罪だったって言うのは。
でも今やっている裁判のためにどうしても国分さんのお話が聞きたいんです。
昔のことは覚えてない。
(宇野)でも。
(国分)私はもう検事でもなければ法律家でもない。
検事バッジは捨てたんだよ。
犯罪捜査に協力する義務はない。
えっ?
(国分)真実を知りたいといえば何でも許されると思うな。
そんなもん検事の傲慢だ!
(宇野)やっぱ駄目だ。
どうしようもないよ。
行こう。
末次さん。
(宇野)どうしたの?
(末次)検事が傲慢だなんて思ってませんよ僕は!
(末次)私だって真実を知りたいと思ってます!私も検事バッジは着けてません。
司法試験に通った法律家でも何でもない。
でも!でもそこで犯罪が起こってるのにそれを見過ごすことはできませんよ!国分さん!もしあのときの起訴が間違ってたとしたら無実の人が罰せられて真犯人は犯行を重ねてとうとう27歳の若者が殺されちゃったんですよ?自分は関係ないなんてそんな道理が通りますか!?法律がどうとかじゃないでしょう!人としてどうなんだって話なんですよこれは!
(宇野)末次さん。
(末次)行きましょう。
これ以上何言っても無駄です。
あんな分からず屋。
(宇野)末次さん。
待って。
(末次)遅い。
(宇野)末次さん?
(リポーター)検察がすでに結審した事件も含め過去5つの事件を追起訴する…。
(リポーター)はい。
えー。
現在法廷内では新たに起訴された過去の事件の冒頭陳述が続いています。
これらの事件の中ですでに別の男性が…。
ジョギング中の斉藤俊也。
当時16歳に対し所携のナイフで背後からいきなり背中を刺し逃走したものである。
罪名および罰条。
殺人未遂。
刑法第203条。
以上が新たに起訴した5件の内容です。
(裁判長)被告人。
今検察官が読み上げた公訴事実にどこか事実と違うところはありますか?僕はやってません。
まったく身に覚えがありません!
(裁判長)弁護人の意見は?
(松平)全ての事件について無罪を主張します。
(裁判長)それでは…。
(松平)裁判長。
この裁判はそもそも滝翔太さんが亡くなった事件を審理する場だったはずです。
ところが無謀にも検察は過去に起こった別の事件まで法廷に持ち込もうとしている。
われわれは相手の土俵に乗って不毛な審理に時間をかけるつもりはありません。
(裁判長)しかし弁護人。
(松平)ええ。
ですから今日新たに起訴された事件については早々に決着をつけるつもりでいます。
検察側が被告人の犯行と主張する最初の事件。
平成11年10月20日に起こった殺人未遂事件について。
このとき被疑者を起訴した当時の検事国分秀雄さんを弁護側証人として申請します。
弁護側がひっくり返してきたんですか?面白くなってきたよ。
この裁判。
(検事)ほーら。
やられた。
(検事)負けですよ。
この裁判は。
あなたのご決断に感謝します。
国分さん。
この裁判はあなたの名誉を守るための戦いでもあるんです。
(川尻)何で国分さんが向こう側に付くんだよ!?
(礼子)そんなの決まってます。
(末次)弁護士が口説いたんですよ。
国分さん引っ張りだすのが一番効果的だもんなぁ。
南雲が犯人のはずないって言わせるんですか?
(井戸)そういうことでしょう。
(田村)だからってわざわざ山梨から出てくることないだろ。
(遠藤)俺たちの身内じゃないっすか。
末次さんが怒らせちゃったんだよ国分さんを。
(末次)えっ?
(一同)えっ!?
(宇野)「自分は関係ないとか言ってんじゃないよ!」って。
そんなこと言ってない!
(宇野)言ってた!
(遠藤)末次!どうしてそんなことを?
(田村)向こうは伝説の元検事だぞ?
(井戸)平事務官が偉そうに物言える相手じゃないでしょう。
(末次)ごめんなさい。
ホントにごめんなさい。
久利生検事。
いやいやいやいや。
いいっすよ。
いや。
国分さんが法廷に出てきてくれたらくれたで聞きたい話いっぱいあるし。
(末次)久利生さん。
いや。
ホント気にしないで。
ねっ?大したぽかじゃないから。
(末次)えっ?やっぱりぽかなの?ぽかです。
(末次)えっ?
(宇野)ぽかじゃない。
エラー。
大エラー。
(遠藤)試合の流れ完全に変わっちゃったしな。
(田村)負けたなこの試合。
(川尻)負けた!?
(井戸)どうなっちゃうんだろう?僕たち。
(末次)あっ。
(礼子)ハァー。
末次さん。
礼子さんだけには嫌われたくない。
(末次)うわっ。
頑張れ俺。
(記者)検察内部に対立があるんでしょうか?
(牛丸)いや。
対立などというものは。
(記者)はっきり言ってくださいよ。
(八木)現在進行中の裁判で有罪判決を勝ち取るために過去の冤罪を認めざるを得ないわけですよね?
(記者たち)そうだそうだ。
そうだ。
そうだ。
(牛丸)はあ。
(八木)今検察の信頼が問われているという自覚はおありですか?
(記者)牛丸次席を批判する声もありますが?
(記者)ご自身の進退をかける覚悟はおありなんでしょうか?
(騒ぐ声)
(牛丸)当然です!担当検事は城西支部の検事事務官たちは責任を持って起訴を決めたんです。
私は彼らの判断を信じます。
(牛丸)検察内部に対立があったとしても犯罪の真実をあぶり出し犯罪者を正しく罰することができればそんなことは大した問題じゃない。
(押坂)部長!
(津金沢)何だ?
(押坂)運転手が見つかりました。
(津金沢)本当か?
(押坂)はい。
(三島)私が総務部長を車で送りました。
(検事)ゴルフが目的じゃないってことは分かってたわけだよね?
(検事)ゴルフバッグは積んでなかったんだから。
はい。
(検事)その代わりに何を積んでたんだ?
(三島)菓子箱です。
金の入った。
(検事)その菓子箱には幾ら入ってたんだ?
(三島)2,000万だと。
(押坂)ヌカダ建設社長室長の三島直也です。
(検事)その2,000万はヌカダ建設から橋場国交大臣に渡される金だという認識はあったのか?
(三島)うすうすは。
(検事)総務部長はもちろん分かってたわけだよね?
(三島)と思います。
待っていたのは副会長さんでしたから。
橋場正太郎先生の後援会副会長さんです。
(津金沢)後援会副会長。
(押坂)部長。
これで橋場大臣の収賄罪を立証できます。
(津金沢)よーし。
よくやった。
よく見つけた!
(一同)よーし!やりましたね。
(津金沢)よーし。
やった。
アハハ。
よーし。
よかった。
ハハハ。
どうした?
(押坂)あのときあいつが桂川をリリースしてなかったら。
(津金沢)あいつ?
(押坂)車を運転してるのが別の人間だと言い張ってなかったらわれわれは見当違いの人間を捕まえるところでした。
(津金沢)久利生か。
真相は分からずじまいだったかもしれません。
えっ?
(田村)あっ。
(田村)人生ってのは予定どおりにいかないもんだな。
(礼子)何?
(田村)もし無罪判決が出ちゃったら久利生だけじゃない。
俺たちも検察にいられなくなるかも。
(礼子)ハァー。
そうね。
(田村)次席も責任取って辞めちゃうかも。
(礼子)私を捨てて次席の娘と結婚した意味なくなっちゃうわねぇ。
(田村)もう結婚はこりごりって言ったのは。
(礼子)そうよ。
私。
別に根に持ってないから。
(田村)持ってるよ。
(礼子)確かに人生は予定どおりにはいかない。
でもこれも悪くないと思ってるんだけど。
(田村)何が?
(礼子)孤軍奮闘の城西支部。
でも私たちは正しいと信じたことをやってる。
自分は検事なんだってこれほど実感できたことってないかも。
確かに。
(礼子)負けちゃうかもしれないけど私たちは間違ってない。
(田村)ああ。
間違ってない。
(田村)なあ?これからどっか飲み行かない?
(礼子)何であなたと?早く帰ってあげなきゃ。
奥さん待ってるわよ。
お疲れ。
(田村)チッ。
帰るか。
(記者)検察内部に対立があるんでしょうか?
(牛丸)いや。
対立などというものは。
(宇野)あっ。
お疲れさま。
(遠藤)あっ。
宇野君さ。
(宇野)うん?一緒に飲み行かない?
(宇野)遠藤さんと!?
(遠藤)だよね。
お疲れさま。
(宇野)お疲れさま。
(牛丸)当然です!担当検事は城西支部の検事事務官たちは責任を持って起訴を決めたんです。
(遠藤)ちょっ。
(宇野)何やってんの?行くよ?
(遠藤)はいはーい。
(男性)自信がないテレビの前のそんな君に紹介するのは最強タイプのムービングシェイパー。
気を落とすなよ。
(女性)もう112回も落ちてるのよ。
久利生さんはどうして検事になろうと思ったんですか?何だ?いきなり。
一度ちゃんと聞いてみたいと思ってたんです。
(男性)君の夢は素晴らしいよ。
夢を諦めちゃ駄目だ。
いや。
実は。
あっ。
俺も昔結構悪さやってて。
で警察に捕まったことも。
あるんですか?あるよ。
ああ。
すいません。
でそんときに俺のこと担当してくれた検事さんが後になって鍋島さんと同期だったって知って。
鍋島さん?前の次席。
その検事さん沼田さんっていうんだけど。
ホントどうしようもなかった俺に真っ正面から向き合ってくれてさ。
まあ結果不起訴だったんだけど。
ハァー。
ハハッ。
まあそんときに俺この人みてえな仕事やってみてえなぁと思って。
それで。
頑張って勉強したんだ。
そりゃもう頭から煙ばあー出るぐらい。
ふーん。
ハァー。
俺もう帰るわ。
お前も早く帰れよ。
はい。
ごちそうさまでした。
おやすみなさい。
お疲れさまです。
お疲れ。
麻木。
はい。
あしたの朝なんだけどちょっと付き合ってもらっていい?ええ。
いいですけど。
おう。
じゃあ後でメールするわ。
はい。
ハァー。
何?マスターはまだ夢ってあるの?
(マスター)あるよ。
あるんだ。
あるよ。
あるんだ。
(男性)ハハハ。
その調子だ。
さあそこの君も夢に向かって踏み出そう。
・
(牛丸)久利生。
ああ。
・
(牛丸)すまんな。
こんなとこ呼び出して。
いえいえ。
電話したの俺の方ですから。
(牛丸)仕事がまだ終わんねえんだよ。
ええっ!?
(牛丸)また戻んなくちゃいけないんでなぁ。
うわー。
ご苦労さまです。
(牛丸)はい。
大福持ってきた。
うん。
大福?
(牛丸)ああ。
甘いもん止められてんだけどさ。
ヘヘッ。
えっ?でも…。
(牛丸)あれ?お前もう上がりか?はい。
すいません。
(牛丸)いいよいいよ。
裁判抱えてんだから準備があんだろ色々。
記者会見見ました。
(牛丸)えっ?すいません。
俺のせいで。
(牛丸)気にすんな。
どうってことないあんなもん。
検察っていうのはなとかく批判されるんだ。
特に今はな。
はい。
(牛丸)いや。
でもな検察や警察がいなければ世の中の人は安心して暮らせない。
われわれには悪人を絶対に許さない正義ってやつがある。
(牛丸)俺たちは被害者と共に泣く検察でなきゃいけないんだ。
それだけは忘れちゃいかん。
フフッ。
分かってますよ。
(牛丸)そうだよな。
ハハッ。
俺がんなこと言わなくてもな。
お前は鍋島さんが見込んだ検事なんだから。
えっ?思い切ってやれ。
久利生。
これはお前たちの裁判だ。
最後の責任は俺が取ってやる。
ありがとうございます。
謝ることには慣れてんだよ俺は。
フッ。
うーん。
これ止められてるんじゃないんすか?
(牛丸)えっ?ああ。
うーん。
おう。
おはよう。
おはようございます。
鍋島次席がここに?ああ。
はい。
あっ。
どんな方だったんですか?どんなって言われても。
実は俺あんまりしゃべったことねえんだよな。
えっ?でも遠くからいっつも見守っててくれて。
俺鍋島さんがいてくれたから検事続けられたんだと思う。
続けてよかったですか?何を?検事を。
もちろん。
どうして?うーん。
どんなことがあってもブレずにいられるから。
よっしゃ。
じゃあ裁判行ってきます。
行くぞ。
はい。
2015/08/10(月) 14:55〜15:50
関西テレビ1
HERO #11−1[再][字]【久利生の活躍をおさらいして映画を見に行こう!】
いよいよ完結!前代未聞の裁判員裁判…連続通り魔事件にまつわる冤罪の真相は!?城西支部の声は元検事の心に届くのか?久利生の検事生命をかけた、真実のための最終決戦!
詳細情報
番組内容
特捜部の捜査から外された久利生公平(木村拓哉)が、麻木千佳(北川景子)と戻った城西支部は揺れている。殺人容疑で送致された南雲尊之(加藤虎ノ介)が担当検事の田村雅史(杉本哲太)と事務官の遠藤賢司(八嶋智人)の調べにより過去にも同じような傷害事件を犯していた可能性が浮上したからだ。そのうちの1件では、別の被疑者が逮捕、起訴され、刑罰が確定した直後、病気で他界している。
番組内容2
もし、南雲の犯罪であれば、検察は冤罪(えんざい)を自ら認めることになってしまうからだ。
そんな中、南雲の第1回公判が開かれ、久利生が過去の事件を追求し始める。
一方、城西支部のメンバーは手分けして、過去の事件を検証し始める。当時の関係者として元検事の、国分秀雄(井上順)を訪ねて捜査への協力を求める。しかし、国分は頑として応じようとしない。
番組内容3
過去の事件を含めた南雲の裁判が始まる。未だ決め手を欠くままの久利生たちに対し、南雲の弁護士、松平一臣(羽場裕一)は驚くべき手段をこうじてくるのだった。
出演者
久利生公平(東京地検城西支部検事)
: 木村拓哉
麻木千佳(東京地検城西支部事務官)
: 北川景子
田村雅史(東京地検城西支部検事)
: 杉本哲太
宇野大介(東京地検城西支部検事)
: 濱田岳
井戸秀二(東京地検城西支部事務官)
: 正名僕蔵
馬場礼子(東京地検城西支部検事)
: 吉田羊
St.George’s Tavern マスター
: 田中要次
出演者2
小杉啓太(城西支部警備員)
: 勝矢
川尻健三郎(東京地検城西支部部長検事)
: 松重豊
遠藤賢司(東京地検城西支部事務官)
: 八嶋智人
末次隆之(東京地検城西支部事務官)
: 小日向文世
牛丸豊(東京地検本庁次席検事)
: 角野卓造
【第11話 出演者】
国分秀雄
: 井上順
南雲尊之
: 加藤虎ノ介
松平一臣
: 羽場裕一
滝光恵(被害者妻)
: 朝加真由美
スタッフ
【脚本】
福田靖
【企画】
鈴木吉弘
【プロデュース】
渡辺恒也
【演出】
平野眞
【音楽】
服部隆之
【制作】
フジテレビドラマ制作センター
ご案内
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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