癒し屋キリコの約束 #06【マジなオジサンの夢?】 2015.08.10


(カッキー)
噂の癒し屋カフェ昭和堂は東京の下町台東区谷中にあります
私は雇われ店長の柿崎照美。
通称カッキー
あちらでロッキングチェアを揺らしながら読書にふけっているのがこの店のオーナー有村霧子さんです
ここには普通の喫茶店には絶対にあり得ないものがあります
そう。
神棚とおさい銭箱
おさい銭を奮発し真摯に神様にお願いするとあら不思議
なぜか悩みが解決してしまうとこのところ噂が噂を呼び物好きな人が時たま相談に訪れます
お金を出せばキリコさんの目がきらりと光りそのすご腕が遺憾なく発揮されます
壮絶な嫁姑バトルもノックアウトするまで互いをののしり合えという奇想天外なキリコさんの作戦が功を奏し最後は涙涙の仲直り
ナンバーワンキャバクラ嬢キララちゃんを追い掛けるしつこいストーカーには族上がりの元キックボクサーで今はこの店の目と鼻の先で卓球場を経営する都幾川敦也さんこと入道さんを差し向けストーカー男を恐怖のどん底に陥れ…
さらには男なんてただの金づると言い切ったキララちゃんに一瞬にして恋の魔法をかけるという離れ業までやってのけたのです
そして今は万引を繰り返す母の昌子さんについて悩んでいる高校生矢島良太郎君の相談に乗っているところなんですが…
(キリコ)もし私があなたの右腕を切り落としてほしいって言ったらどうする?
(昌子)えっ!?
緊迫した空気の中キリコさん宛ての箱から血がしたたり落ち…
大騒ぎになったのです
(キララ)「キリコオマエヲノロッテイル」「ヨミチニハキヲツケロ」ああー!?怖い!
(キリコ)ったく。
みんな弱虫なんだから。
(キリコ)東京太郎は私の友達。
だから大丈夫よ。
(清助)いやいやいやいや…。
ちょっちょっ。
ほら。
カッキー。
続けるよ。
(カッキー)じゃあ…。
もし私があなたの右腕を切り落としてほしいって言ったらどうする?
(昌子)いや。
どうするって言われても。
右腕がなくなれば大切なご主人にも良太郎君にも迷惑掛けるわよね?お世話もできなくなる。
(昌子)はい。
それじゃお金で解決するしかないわね。
あなた右腕の代わりに幾ら払う?
(昌子)えっ?要するにあなたの右腕は幾らかって聞いてんの。
(昌子)じゅ…10億円です。
ふーん。
腕1本が10億ね。
カッキー。
これから彼女が言う金額全部足してって。
(カッキー)はい。
昌子さん。
(昌子)はい。
右腕が10億なら左腕は?じゃあ頭は?
こんな調子でキリコさんは頭髪の毛耳鼻口乳房といった具合に昌子さんの体のありとあらゆる部分に値段を付けさせていったのです
じゃあ最後。
あなたの両目。
くりぬかれるのが嫌だったら幾ら払う?
(昌子)えっ?両目がくりぬかれたらもう二度と良太郎君の顔もご主人の顔も見られなくなるわよね?
(昌子)100兆円です。
フゥー!フフフ。
カッキー。
総額幾らになった?
(カッキー)えー。
100兆飛んで135億円です。
フゥー!すごいわね。
あなた自分のこと不幸だって言う割には自分に国家予算並みの価値つけてんじゃない。
質問は以上。
昌子さん。
椅子から立って。
(昌子)は…はい。
今から私が10数える。
カッキー。
数え終わったら目隠し取ってあげて。
(カッキー)はい。
10・9・8・7・6・5・4。
3・2・1。
(昌子)良太郎。
どう?あなたが100兆円払ってでも見たいと言っていた風景が今目の前にあると思うけど。
昌子さん。
あなたの人生って100兆飛んで135億円もの価値があるってことでしょ?それってかなり幸せってことじゃない?たった100円のお菓子のために100兆飛んで135億円もの価値ある人生を無駄にするなんてバカげてるわよね。
幸せってなるものじゃなくて気付くものなの。
もしまた不幸だって思ったら自分の体の値段思い出してみてよ。
そしたらどんなに自分が恵まれていて幸せかってこと思い出せるから。
はい。
ほら。
あなたの持ち物の中で一番値の張る宝物。
お人形じゃないんだから絶対に壊しちゃ駄目よ。
(良太郎)お母さん。
(昌子のすすり泣く声)
(昌子)ごめん…。
・「しあわせは誰かがきっと運んでくれると信じてるね」・「少女だったといつの日か想う時がくるのさ」
(カッキー)キリコさん。
幸せって誰かが運んでくれるものじゃなくて自分の目と心で身の回りにある小さな幸せを一つずつ見つけて味わうものなんですね。
(あくび)何か言った?
(カッキー)えっ?もう寝るわ。
おやすみ。
(カッキー)おやすみなさい。

(物音)
(カッキー)痛っ。

(カッキー)キリコさん。
ばんそうこうのお礼は神様にね。
ここんとこおさい銭が少ないってお嘆きになってるから。
大酒飲みでだらしなくてお金に貪欲で時に悪魔になり時に天使になるキリコさんはなぜか人を癒やす力があるんです
キリコさんは私が今まで出会った中で一番不思議で一番魅力的な人です
そんなキリコさんを頼ってか何度かコーヒーを飲みに来ていた中年の男性が重い口を開きました
(カッキー)えっ?シンガー・ソングライター?
(耕平)アハハ…。
やっぱり驚きますよね?
(キララ)えっ?おじさんマジで?
(耕平)いや。
マジになっていいものかどうか相談しようと思ってここに通ってるしだいで。
(敦也)あんた幾つ?
(耕平)53です。
(清助)家族は?
(耕平)30年連れ添った妻と大学を中退してフリーターをしてる息子。
それに短大1年の娘の4人。
(敦也)仕事は?
(耕平)電気メーカーの営業だったんですけど実はつい最近リストラされてしまって。
(カッキー)えっ?じゃあ今は?
(耕平)無職です。
(栞)そのことご家族には?
(耕平)言ってません。
(キララ)言わなきゃ駄目っしょ。
それ。
(耕平)リストラをチャンスと考えて若いころ諦めたシンガー・ソングライターの夢を追い掛けるべきか?それとも家族の幸せのために再就職すべきか?すごく悩んでるんです。
(清助)悩むまでもねえよ。
男たるもの大事な家族を路頭に迷わすわけにはいかない。
再就職するのが一番だよ。
(敦也)いやいやいやいや。
人生は一度っきりだ。
(敦也の気合)
(敦也)男たるもの自分の夢を追い掛けないでどうする?
(清助)入道。
お前はそれで結婚に失敗したんだろうが。
(敦也)うるせえ!一度も結婚できねえやつに言われる筋合いなんかねえんだよ。
(清助)何を?
(カッキー)はいはい。
清助さんも入道さんもケンカは駄目です。
(清助)じゃあカッキーはどっちなんだよ?
(カッキー)うん?
(敦也)夢を取るか家族を取るか。
(カッキー)えーっ?夢も家族も両方取るわけには…。
(清助)無理無理無理。
僕だってね和菓子屋の跡取りじゃなかったら刑事になりたかったんだよ。
(敦也)あんなつぶれそうな店さっさとおっぽり出してなりゃいいじゃねえか。
(清助)あん?
(敦也)「猫まんじゅう刑事小出清助が行く谷中銀座商店街老女連続殺人事件」ってな。
(キララ)ハハハ。
それキララ見たいな。
ねえ?栞。
(栞)私別に特に見たくないな。
(キララ)あっそう。
(敦也)見たくねえんだよ。
(清助)栞!おじさんだってねまだ娘さんの学費や家のローンだって残ってるんでしょ?
(耕平)ありますけど早期退職金制度で少し多めに退職金をもらえたので娘の学費も卒業までは何とかなりそうなので。
(清助)何とかなるって言ったって今ごろ夢だなんて言ったら女房子供に愛想尽かされるだけですよ。
(敦也)バカ。
苦楽を共にするのが夫婦であり家族だ。
(清助)愛想尽かされたやつが何言ったって説得力ねえんだよ。
(敦也)何だと?お前。
俺にケンカ売ってんのか?
(清助)売ってんだろ。
今ごろ気付いたのかお前は。
(カッキー)もう!ちゃんと聞いてあげましょうよ。
(清助)ああ…。
(敦也)はい。
(キララ)キララ。
おじさんがカッコイイ20代の男の子だったら応援してあげたいんだけどな。
(耕平)アハハ…。
(キララ)あのね。
駅前のロータリーで路上ライブやってる男の子がいるんだけど顔も歌詞も超イケてるの。
おじさんも見習った方がいいよ。
(カッキー)へえー。
ちょっと見てみたいな。
あっ。
ごめんなさい。
(耕平)い…いえ。
妻や子供にとっては普通がいいのかもしれませんけど。
僕は今まであまりにも普通に生きてきちゃったから色々悩むところもあって。
このごろは普通の道を選ぶのが本当に正解なのかなって思うようになっちゃったんです。
・「遠くで僕はいつでも君を探してた」・「浅い夢だから」
(キララ)ねえ。
おじさん。
夢はやっぱ定年後でいいんじゃない?おじいちゃんシンガー・ソングライターもカッコイイと思うけどな。
(カッキー)私も今は再就職して家族を守ってほしいです。
・「夕映えは…」
(耕平)分かりました。
家族を幸せにしてこそ父であり夫である僕の人生ですもんね。
ごちそうさまでした。
耕平さんの笑顔が何だかしおれかけた花みたいで私の胸はちくりと痛みました
キララちゃん。
ちょっと。
(キララ)はーい。
お小遣いあげるから今晩涼君と一緒に駅前の路上ライブ行きなさい。
えっ?涼君と?200円?これじゃジュースも買えないよ。
(キララ)あーん。
もう。
手くらいつなごうよ。
・・
(ギターの演奏)
(春樹)どうも。
春樹です。
(拍手)
(藪下)谷中銀座商店街のますますの発展を願って乾杯!
(一同)乾杯!お疲れさまでした。
(藪下)えー。
組合長の肝いりで千香ちゃんの店でメールデリバリーが開始されました。
(一同)おっ。
千香ちゃん。
頑張れ。
千香ちゃんのケーキ最高だからな。
(千香)どうも。
商店街を活性化するためには伝統を守りつつも変わるべきところは変わらないと駄目だと思うんです。
パティスリーラヴィーヌではヘルシーかつデリシャスなスイーツを開発しネットセールスもやっていこうと思ってます。
(清助)ったく。
横文字並べりゃいいと思って。
(千香)ムッシュ清助。
言いたいことがあるならみんなの前でちゃんと発言してください。
(清助)僕が言いたいのはそば屋のつまみは板わさにのりってことだよ。
(千香)えっ?意味分かんないんだけど。
(清助)みんながみんな新しいものを求めてるわけじゃねえ。
ここに来れば古い町並みがあって変わらないなじみの味がある。
そういうよさを求めてる客もいるってことだよ。
(千香)今は平成27年。
昭和はとっくに終わったんだけど。
(清助)何を?
(藪下)清助さん。
伝統は確かに大切だと思うよ。
でも千香ちゃんの言うとおり変わるべきところは変わらないとこれから先は生き残れないんじゃないかな?ですよね。
(千香)ちょっと。
ちょっと。
よく昭和堂出入りしてるみたいだけどカッキーは私の親友なんだから手出したりしたら承知しないからね。
(清助)死んでも手出さねえわ。
カッキーにもお前にもな。
チッ。
(カッキー)伝さん。
キリコさんも昔何かあったの?
(カッキー)キリコさん。
これ友達が冗句でやったって言ってるんだけど。
(伝助)俺は何も知らねえよ。
(カッキー)ホント?神様に誓える?
(耕平)7社ほど面接受けたんですが全滅でした。
(キララ)どうすんの?やっぱ思い切ってシンガー・ソングライター目指しちゃう?
(耕平)アハハ。
いやぁ。
普通の会社員にすらなれないおっさんでもなれるかな?あのさ。
ギターって練習が必要だよね。
生まれて初めてギター持たされた人が練習なしでいきなりは弾けないよね?えーと…。
であんた面接の練習はしたわけ?えっ。
いや。
そういう練習はしてないです。
神様に合格祈願は?いえ。
それも。
じゃあ受かるもんも受かんないよ。
せっかくうちの店には試験の神様が祭られてるってのに。
(キララ)えっ?嘘。
縁結びの神様じゃないの?千客万来。
家内安全。
交通安全。
受験就職結婚祈願。
健康促進。
ピンコロ促進。
何にでも御利益があるの。
(キララ)ああそうなんだ。
(耕平)ああ…。
(カッキー)ちょっとちょっと。
無職の人におさい銭奉納させたりしたら駄目です。
人聞きが悪いわね。
私はいつだって弱い者の味方よ。
私が面接で100%合格するための特別レッスンしてあげる。
お名前とご年齢をどうぞ。
青井耕平。
53歳です。
あなたは本当は弊社に入るよりシンガー・ソングライターになりたかったんじゃないですか?ええ…。
まああのう。
そういう時期もありました…。
目が泳いでる。
やり直し!
(キララ)あなたは音楽がやりたいのにどうして諦めちゃったんですか?
(耕平)やはり家族をちゃんと食べさせたいと思いまして。
(キララ)仕事もすぐ諦めちゃうんじゃないですか?いえ。
そういうことは…。
やり直し!やり直し。
やり直し。
あなたはなぜ前の会社をリストラされてしまったとお考えですか?
(耕平)えー。
それがあのう。
自分でもよく分からなくて。
やり直し!
耕平さんはたじたじでしどろもどろで…
(カッキー)こっちが胃が痛くなっちゃう。
じゃあ初めからいくわよ。
キリコさんとキララちゃんのスパルタ模擬面接はその後何と1時間も続いたのです
ポッポー。
疲れた。
(耕平)ハァ…。
ありがとうございました。
せっかくだからうちの神様にお参りしていきなさい。
おさい銭は出せる範囲でいいわ。
合格したらたんまりお礼弾んでもらうから。
はい。
キリコさん?カッキー。
行くよ。
えっ?えっ?ちょっと。
行くってどこへ?いいから。
(カッキー)鍵鍵鍵鍵。
よいしょ。
早く。
はい。
はい。
よいしょ。
もう。
キリコさん。
どこ行くんですか?ああ。
もう。
2015/08/10(月) 13:25〜13:55
関西テレビ1
癒し屋キリコの約束 #06[字][デ]【マジなオジサンの夢?】

今週“癒し屋”のキリコ(遼河はるひ)を訪ねて来るのは、万引きがやめられない母親に悩む子どもと、50代にしてシンガーを目指すリストラ男。キリコらしくお金で解決!?

詳細情報
番組内容
 万引きがやめられない母親を助けてやってほしいと、良太郎(武井証)から相談を受けたキリコ(遼河はるひ)は、その母親である万引き常習主婦の昌子(ふせえり)をビシッとシメる。
 涼(戸塚祥太)たちがヒヤヒヤ見守る中、昌子に目隠しをし、自分の体にいくらの値段を付けるかというナゾの質問をぶつけるキリコ。両腕に20億、両足には40億。
番組内容2
そして両目には100兆円をつけると昌子が言ったところで、昌子の目隠しを外させるキリコ。すると、そこには良太郎の姿が…。
 数日後、純喫茶・昭和堂に何度か来たことのある客が、自分の身の上を語り始める。耕平(KAZZ)と名乗るその50代の男は、最近会社をリストラ。これを機にかつての夢だったシンガーを再び目指そうか悩んでいるというのだ。金の無い人間には興味の無いキリコは無職と聞きあっさり興味を失うが…。
出演者
有村霧子:遼河はるひ 
柿崎照美:前田亜季 
上山 涼:戸塚祥太(A.B.C−Z) 
小出清助:長谷川朝晴 
都幾川敦也:小林正寛 
キララ:中山来未 
本城 栞:吉原茉依香 
小笠原千香:月船さらら ほか
スタッフ
【原作】
森沢明夫『癒し屋キリコの約束』(幻冬舎文庫)
【脚本】
川嶋澄乃 
【演出】
星田良子 
【プロデュース】
市野直親(東海テレビ) 
高橋萬彦(共同テレビ)
【音楽】
森英治 
【主題歌】
「Thank You For The Music」ラストヒロイン(中山来未)(ソニー・ミュージックエンタテインメント)
【制作・著作】
共同テレビ
【制作】
東海テレビ
ご案内
【公式サイトURL】
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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