【ソウル聯合ニュース】安倍晋三首相が14日に発表した戦後70年談話について、韓国の専門家らは植民地支配や侵略に対する謝罪を避けたことは残念だと口をそろえた。ただ、談話の内容への期待値が低かったことを考慮すれば、両国関係に「決定的な悪材料」にはならないとの見通しを示した。
以下は専門家らのコメント。
▼陳昌洙(チン・チャンス)世宗研究所長
植民地時代の侵略について明確に述べなかった。本人の心を込めて謝罪と反省を示したものでなく、第三者の立場から述べたのは残念だ。韓国を排除したのは残念な部分だ。
全般的な雰囲気は思ったより問題を起こしたくないとの意図が読み取れた。両国関係に悪影響を与え、問題になるようなものではないと思う。
原則的な韓国の立場からは期待に及ばないと言えるが、韓国は韓中日3カ国首脳会談を通じ、北東アジアで自分なりの影響力を確保することに注力すべきで、その意味から日本との関係はツートラックの形を維持する可能性が高い。
韓国への植民地支配と侵略に言及せず、歴史認識の差は明確に見せた。歴史問題は長期的な課題として、両国の対立要因になる可能性がある。
▼趙世暎(チョ・セヨン)東西大特任教授
韓国の立場からはいくつか不満、問題点を指摘する部分がある。4つのキーワードが盛り込まれたが、間接的な言及の形で、反省とおわびが侵略と植民地支配と関連づけていない。
戦後の世代に謝罪し続ける宿命を負わせてはならないと言及した部分もあるが、もっと大きな問題は植民地支配に対する見方だ。植民地支配や戦争が国際社会の流れだったとし、日露戦争が植民地支配のもとにあったアジアとアフリカを勇気付けたとした。この立場は韓国が最も受け入れられない部分ではないかと思う。
中国や戦勝国の米国、オーストラリアについても感謝の気持ちを表したが、韓国については言及していない。戦争と植民地支配を徹底的に分離して見ているようだ。
だが、米国や国際社会の観点から見ると、肯定的な評価がより多いと思う。そのような現実を無視できず、とにかく4つのキーワードを盛り込み、歴代内閣の立場を継承するとしたため、両国関係を今より悪い局面に持っていくことは賢明な判断ではないと思う。
旧日本軍の慰安婦問題や独島問題で厳しく対応しながらも、われわれの国益に従い実用的に必要な部分は分けて協力していくという分離対応の方針は維持したほうが良い。しかし、これを関係修復、改善の材料にすることは容易ではないと思う。
▼尹徳敏(ユン・ドクミン)国立外交院長
あいまいな表現で終始したが、懸念する水準にまではいかなかったと思う。キーワードはすべて入っている。
主語がなく、相当あいまいだが、これまで日本が歴史問題について述べた発言がほとんど入った。(歴代内閣の談話の継承を求める韓国政府の要求を)満たす水準ではなく、受け入れる水準とも言えないが、線は越えなかったと思う。
安倍首相が談話を発表しようとしたのは、結局村山談話などが非常に自虐的だという考えから、日本の歴史に対する誇りを強調したい趣旨だった。だが、韓国や中国、米国、国際社会の懸念と良心的な日本内の一般人の考えがあった。ふたを開けてみると、国内外の環境のため、安倍首相が当初考えたものと少し違う形の談話になったと思う。
▼李元徳(イ・ウォンドク)国民大日本研究所長
残念なのは主語と目的語の関係がはっきりしていないことだ。
ただ、キーワードはすべて入り、反省と謝罪の水準はある程度維持したと思う。安倍首相としても村山談話の基本的な線から抜け出したかったが、そこまではできなかった。中途半端な姿勢で妥協した。日本国内でいろいろな反発があり、支持率が低い状況で談話が争点になることは困るということから、当初の考えから相当後退したと思う。間接的ではあるが、露骨な挑発とは言えない。
好材料ではないが、両国関係の決定的な悪材料ではない。慰安婦問題に関する言及も意図的にでも積極的に評価する方向で考えたほうが良いと思う。