中国:天津爆発の死者104人に 断続的に小規模爆発続く
毎日新聞 2015年08月15日 23時24分(最終更新 08月16日 00時38分)
【北京・工藤哲】中国天津市の経済技術開発区「浜海新区」で起きた爆発で、国営新華社通信は15日、死者が104人に増えたと報じた。爆発現場付近では有毒物質のシアン化ナトリウム700トンが確認され、その特殊処理作業などのため、現場から3キロ以内の住民らが退去を命じられたとも一時伝えられた。現在も付近では断続的に小規模の爆発が起きており、救助作業や原因調査は難航している模様だ。
一部中国メディアによると、現場付近では15日、警官が「(現場付近から)3キロ以内に立ち入ったり、車を停車させたりしてはならない」と呼びかけ、迅速な退去を求めた。現地本部も3キロ以上離れた場所に移ったという。地元のボランティアらもマスクを着けて移動した。
新華社によると、地元当局は15日の記者会見で、現場の倉庫付近のコンテナ集積地などにはシアン化ナトリウムなど15種類以上の化学物質があるが、未登記のコンテナもあるため、正確な量などの把握には時間がかかるとの見方を示した。
爆発した倉庫の運営企業「瑞海公司」がここ1カ月間で輸出した物質の中には、シアン化ナトリウムが比較的多く含まれていた。当局は貨物の所有者と連絡を取り、事態の把握を急いでいる。現場では、シアン化ナトリウムが拡散する恐れがあるため、消火剤などで毒性を弱める作業を進めている。
中国では大規模事故が発生すると、李克強首相が現地で指揮をとることが多いが、現時点では劉延東副首相(中国共産党政治局委員)がこの役を務めている。当局の当初見通しより被害が拡大している模様で、指導部に対する住民の反発が強まる可能性もある。