オスのライオン同士王の座をかけた命がけの戦いです。
(鳴き声)自らの群れを持てるのは戦いに勝った者だけ。
百獣の王の暮らしは過酷なんです。
今回幼いオスの兄弟が苦労の末王座に挑戦するまでの5年間に密着することに成功しました。
縄張りを乗っ取られ若くして群れを失った兄弟。
食べることもままならないつらい放浪生活を強いられます。
しかし自らの王国を築くため互いに力を合わせて苦難を乗り越えていきます。
そして迎えた縄張りのあるじとの対決。
兄弟は驚きの戦術を繰り出します。
固い絆を頼りにたくましく生き抜くライオン兄弟。
5年間の壮絶な記録です!
(テーマ音楽)アフリカ南部のボツワナ。
その北の端に広がるオカバンゴ大湿地が今日の舞台です。
一年中かれることのない水を求め多くの生きものたちが集います。
哺乳類だけでも100種類以上が暮らす野生動物の楽園です。
その豊かさから去年世界自然遺産に登録されました。
この湿地に王者として君臨するのがライオンです。
20頭ほどの大きな群れ。
その中に生後10か月ほどのオスの子どもが2頭。
今日の主人公の兄弟です。
こちらは「タウ」。
研究者に名付けられました。
もう一頭は「バンダー」です。
この2頭性格が全く違うんです。
水路にやってきた群れ。
ライオンは水にぬれるのがあまり好きではありません。
なるべくぬれずに渡りたいところ。
大人のメスは飛び越えました。
それを見ていたタウ。
思い切って跳びました。
今度はバンダーです。
タウとは違いためらっている様子。
あらら。
ちょっと勢いが足りませんでした。
バンダーはとっても臆病な性格なんです。
狩りの時にも兄弟の性格の違いが表れました。
群れが狙っているのはバッファローです。
徐々に間合いを詰める群れ。
捕まえました!狩りは大人のメスたちの仕事です。
兄弟は少し離れた場所でその様子を見つめています。
バッファローの体重はメスライオンの5倍。
一丸となって押さえ込みます。
なんとタウが近づいてきました。
バッファローのお尻に飛びかかりました。
タウは好奇心を抑えきれなかったようです。
こちらはバンダー。
怖いのか全く狩りに参加する気はないようです。
一方のタウ。
今度は喉にかみついています。
大人のまねをしてしとめようとしているんです。
タウは積極的です。
おっと!バッファローが角で抵抗してきたんです。
危ないところでした。
見かねた大人がタウと交代して押さえ込みます。
積極的なタウですがまだまだ子ども。
獲物をしとめる力はないんです。
大きな獲物を手に入れた群れ。
幼いタウもバンダーもメスたちのおかげでおなかいっぱい食べることができます。
オスがやってきました。
兄弟の父親群れのあるじです。
あるじの仕事は群れを守ること。
縄張りを歩き回って警戒しています。
食事の時にはこうしてメスから獲物を分けてもらうんです。
おや?メスたちが立ち上がって何かを気にしています。
その先には見知らぬ若いライオン。
獲物の横取りを狙ってやってきたよそ者です。
オスたちも気づきました。
よそ者に向かっていきます。
激しく追い立てるオス。
侵入者は許しません。
手前がよそ者です。
(うなり声)オスの一声で勝負がつきました。
よそ者たちは去っていきました。
(鳴き声)さすがは群れのあるじ。
まさに百獣の王の貫禄です。
(鳴き声)狩りの上手なメスたちと強いオスたちのおかげで兄弟は安心して暮らしています。
ところが1年後。
兄弟の生活を大きく変える事件が起こりました。
大人のオスが縄張りを乗っ取りにやってきたんです。
群れのオスたちは追い払おうと立ち向かいました。
(戦う声)激しい戦いの末逃げ出したのは群れのオスでした。
よそのオスがあるじになると子どもは殺されてしまうことがあります。
兄弟は命からがら逃げ出しました。
兄弟にとってこれまでとは全く違う生活の始まりです。
2歳になったタウとバンダーです。
周りにはほかに誰もいません。
群れを失った兄弟。
もうどこにも帰る場所はありません。
たった2頭で生きていくしかないんです。
一日中あてもなく食べ物を探して歩き回ります。
若い兄弟だけでは狩りはまだまだ無理。
もう4日間何も食べていません。
後ろを歩いていたバンダーが何かに気づきました。
ハゲワシの群れです。
ハゲワシは獲物に群がる習性があります。
何か食べ物があるに違いありません。
やっとのことで見つけたのは誰かの食べ残しでした。
ほとんど骨と皮だけ。
それでもタウは残った肉を探してむさぼります。
バンダーはあまり気乗りがしないようです。
兄弟だけでは食べ物を手に入れるのも大変なんです。
ちょっと待った!どうしましたか?ヒゲじい。
いや兄弟たちあまりにもかわいそすぎますぞ。
幼くして群れをなくしちゃってこんなんじゃ生きていけないんじゃないですか。
そう思いますよね。
でもねこの兄弟のように2歳ほどのオスの子どもにとってこうした放浪生活は避けて通れない道なんですよ。
えっどういうこと?はい。
オスの子どもたち成長すると食べる量も増えるため父親にとってメスの獲物を奪い合うライバルになってしまうんです。
だから父親はまだ力の弱い2歳ほどで群れから追い出してしまうんです。
タウとバンダーも遅かれ早かれ群れを追われる身だったんですよ。
そうなんだ。
これは別の場所で撮影された親子です。
若い息子と父親ですけれどもほらこんなふうに父親が息子を力ずくで追い出してしまうんです。
厳しいですなぁ。
でも子どものうちに追い出されたら食べていけないでしょ。
そう。
確かに生きていくのは簡単ではありません。
あ〜やっぱりねぇ。
追い出された子どもたちの多くは満足に食べられずに1年以内に飢えで死んでしまうとも言われているんです。
いや〜それはつらいですなぁ。
でもねそのつらい時期を乗り越えるのに欠かせないのが兄弟の存在なんです。
これは別の場所で撮影された3頭の兄弟。
同じ時期に群れを追われた者同士こうして一緒に行動するんです。
で見ていて下さいよヒゲじい。
ああはいはいはいはい。
今ハイエナが獲物を食べていますよね。
あ〜はいはい。
おっ走って…?ハイエナを追い払った!はい。
1頭がハイエナを蹴散らしている間にほかの2頭が獲物を奪いました。
たとえ狩りはできなくてもこうして兄弟で協力しながら生き抜く力を身につけていくんです。
なるほど。
同じ境遇の者同士力を合わせるしかないんですな。
はい。
そうやって放浪を続けて4歳くらいで大人になるとどこかの群れのあるじに戦いを挑みます。
それに勝てば兄弟そろって自分の群れを持つことができるというわけなんです。
う〜んなるほど。
タウとバンダーはまだ2歳だから先は長いですなぁ。
それまで兄弟で力を合わせて生き抜いて「王者」の座を奪オウジャないか!なんてね。
ある日のこと。
兄弟はよその群れの縄張りの中に入っていました。
・
(鳴き声)縄張りのあるじの声です。
「出て行け」という警告です。
ここにとどまるのは危険です。
あれあれ?タウが警告を無視して声のほうに歩いていきます。
ふと気がつくとバンダーは近くにいません。
縄張りのあるじが現れました。
大胆にもタウは引き下がりません。
タウが走りだしました。
(戦う声)無謀にも戦いを挑んだんです。
戦いに負けたタウ。
お尻の辺りをかまれています。
幸い軽いケガですみましたが向こう見ずな性格が災いしました。
こうした失敗を繰り返しながら兄弟は生きるすべを学んでいくんです。
第2章ではまたしてもタウの単独行動で兄弟が離ればなれに。
そして縄張りの王者との対決。
タウ絶体絶命の大ピンチにバンダーが意外な行動に出ます!突然ですがここで「ダーウィンNEWS」です。
海の人気者カクレクマノミ。
魚を食べるイソギンチャクとの共生は有名ですよね。
でもどうしてカクレクマノミは大丈夫なんでしょうか。
その謎を高校生が解明しました。
学校を訪ねると…。
うん?水族館?へえ珍しいですね。
でこの水族館部の部員が今回の主役。
重松夏帆さんと山本美歩さん。
早速研究のポイントを教えて!う〜んなんだか難しいですねぇ。
つまりこういうことです。
イソギンチャクは触手と呼ばれる部分に魚が触れると毒針を発射して魚を捕らえます。
一方カクレクマノミはマグネシウムを多く含む粘液で体を覆うため刺されないことを突き止めたんです。
これは世界初の大発見!ことし5月に開催された国際大会で4等を受賞しました。
ところで研究は順調でしたか?そんな経験をバネに今後はイソギンチャクに刺されないクリームの開発を目指すそうです。
頑張って下さいね〜!オスライオンの兄弟タウとバンダー。
2歳の時よそ者に群れを乗っ取られ命からがら逃げ出しました。
兄弟を待っていたのは過酷な放浪生活。
若いオスの多くが命を落とすという1年が過ぎました。
2頭とも無事に生き延びていました。
兄弟は今3歳。
たてがみが伸びて大人っぽくなりましたねぇ。
でも一人前の大人のオスになるまでにはまだ1年近くはかかります。
この日兄弟は食べ物を探して二手に分かれました。
ここもほかのライオンの縄張りです。
臆病な性格のバンダー。
警戒しながら茂みの中に入っていきます。
茂みの奥で獲物を食べる縄張りのメスたちに出くわしました。
意外なことにバンダーが近づいてもメスたちは気にするそぶりはありません。
様子をうかがうバンダー。
実はメスは獲物が十分にあればよそ者が食べるのを許すことがあるんです。
バンダーは頃合いを見計らってごちそうにありつくことができました。
こんな駆け引きも放浪生活の間に身につけた知恵です。
一方こちらは積極的なタウ。
バンダーとは全く別の場所で食べ物を探していました。
何かに気づきました。
メスです。
首に研究のための首輪がつけられています。
メスが歩き始めました。
その後を追うタウ。
もうメスに興味を持つ年頃になったんです。
タウがそっと近づきます。
その時です。
・
(鳴き声)響き渡る声。
この縄張りのあるじです。
・
(鳴き声)声からするとすぐ近くにいるようです。
・
(鳴き声)メスと一緒にいるところを見つかればただではすみません。
あるじが現れる前にタウは急いでメスから離れます。
向こう見ずなタウですが大人のオスと戦っても勝ち目がないことは学んでいたようです。
ところがタウのこの遠出が思わぬ事態を招きました。
(鳴き声)その夜。
鳴きながら歩いているのはタウです。
バンダーの姿はありません。
メスを追いかけている間に離ればなれになってしまったんです。
鳴き声は数キロ先まで届きますがバンダーは現れません。
このまま出会えなければお互い生き延びるチャンスはほとんどありません。
(鳴き声)縄張りのあるじに見つかる危険を冒してでもタウはバンダーを呼び続けます。
(鳴き声)夜明け前。
(鳴き声)タウはまだ一人きりです。
(鳴き声)・
(鳴き声)あれ?声が聞こえましたね。
・
(鳴き声)バンダーです。
バンダーもタウを探していたんです。
再び兄弟が出会えました。
うれしそうですねぇ。
離れてみてお互いの大切さが身にしみたことでしょう。
性格の全く違う兄弟ですがピンチを乗り越えていくためになくてはならない存在なんです。
放浪生活が始まって2年。
兄弟は4歳になりました。
たてがみが黒くなっています。
立派な大人に成長した証しです。
いよいよ自分たちの群れを持つためほかの縄張りのあるじに戦いを挑む年齢になったんです。
・
(鳴き声)ある日兄弟は1頭のメスに出会いました。
オスを誘うように鳴くメス。
駆け寄ったのは積極的なタウ。
メスの後を追いかけます。
離れて見守るバンダー。
タウはゆっくりとメスとの距離を縮めていきます。
(鳴き声)その時です。
縄張りのあるじが現れました。
しかしタウは逃げるつもりはないようです。
タウが飛びかかりました!あっ倒された!バンダーです。
勝負は一瞬でつきました。
最初はタウが上になり優勢でした。
しかし足で顔を抱え込まれ倒されます。
そこへバンダー。
無防備になったオスの後ろ足にかみつきました。
臆病なバンダーが勇気を出してタウを助けたんです。
(鳴き声)縄張りのあるじは逃げていきました。
(鳴き声)息の合った連続攻撃で戦いに勝利したタウとバンダー。
兄弟はついに縄張りのあるじになったんです。
たくさんのメスを率いているのはタウとバンダーです。
すっかり王者の風格です。
あっ子どもです。
タウとバンダーの子どもたちです。
子どもは全部で6頭。
群れは1年で大きく成長していました。
これからは兄弟で力を合わせて群れを守っていかなければなりません。
幼くして群れをなくしたタウとバンダー。
全く性格の違う兄弟は互いに支え合ってついに自らの王国を築き上げました。
百獣の王ライオンその強さの源はDialogue:0,0:27:42.32,0:27:45.32,Default,,00002015/08/09(日) 19:30〜20:00
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!「密着5年!ライオン兄弟の成長記」[字]
オスライオンの兄弟が、群れの王者になるまでの5年間の記録。生まれ育った群れの崩壊、2頭での放浪生活。いくつもの苦難に力を合わせて立ち向かう、兄弟の固い絆の物語。
詳細情報
番組内容
アフリカ、ボツワナの世界自然遺産、オカバンゴ大湿地。ここで、オスライオンの兄弟が、苦労の末、群れの王者に上りつめるまでの5年間に密着した。2歳のとき、縄張りを乗っ取られ、生まれ育った群れを追われた2頭の兄弟。満足に狩りもできず、食べることすら間々ならない放浪生活を強いられる。しかし、兄弟は、次々と押し寄せる苦難を、力を合わせて乗り越えていく。固い絆で結ばれたライオン兄弟、波乱の成長記。歌:平原綾香
出演者
【語り】中山準之助,龍田直樹,豊嶋真千子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
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