これでわかった!世界のいま▽イラン経済に商機あり・制裁解除目指して世界が走る! 2015.08.09


夏真っ盛り、きょうも暑いです。
でも皆さん、気温が上がっている中で下がっているものもあるんです。
それが、こちら。
ガソリンの価格です。
ガソリン?下がってる。
かなり下がってるんじゃないかな。
ありがたいです。
なぜ下がってるかって分かります?分からない。
全然分からないです。
この値下がりの理由の1つが日本以上に暑い国。
ここ、イランです。
今、イランが熱い。
きっかけは核開発問題を巡る最終合意です。
ビジネスマンの視線も熱い。
絶好のチャンスですね。
このチャンス、乗るなら?こんばんは。
これでわかった!世界のいまです。
きょうは暑かったですね。
この黒板の絵、すごいですね。
これはイランのイスファハンにあるイマーム・モスクという世界遺産です。
かつて世界の富の半分がこの町に集まっていたと言われるほど栄えた町なんです。
このイランに今、熱い視線が注がれているということでその象徴ということでスタッフが一日がかりで作りました。
早速きょうのゲストをご紹介しましょう。
夏がぴったりのこの方です。
タレントのパンツェッタ・ジローラモさんです。
よろしくお願いします。
きょうはイランなんですが、イランをどういうふうに見ていますか。
私は建築の大学に通っていたんですが同級生にイラン人が多かったです。
1回、仕事で関わったことがあります。
前は戦争があったので戦争が終わる前に、同級生の義理のお父さんがうちに来て話をしたことがあります。
まず1時間目、イランについて見ていきます。
2時間目は中国などを襲った台風13号です。
実は遠く離れたアメリカからも注目されていました。
では1時間目にいきましょう。
今、熱い国、イラン、きのう動きがありました。
期待に胸を膨らませる日本のビジネスマンたち。
向かった先は、イランの中央銀行です。
経済使節団として訪れた20社余りの日本企業の幹部が中央銀行のトップに関係強化を訴えました。
イランの核開発問題で解決の見通しが立ち、欧米側の経済制裁が解除される可能性が高まりました。
使節団の訪問は、このタイミングを捉えて自動車部品や医療機器の輸出拡大、そして、発電所や鉄道インフラの売り込みを強めるのがねらいです。
一方、日本では。
変わり目にあるイラン情勢を受けて、こちらでは、イランの経済やビジネスについてのセミナーが今、開かれています。
中には大勢の企業の関係者などが集まっています。
仕掛けたのは、ジェトロ日本貿易振興機構。
150社余りがセミナーに詰めかけました。
ビジネスチャンスが大きいということで、見てください、皆さんの顔つきも真剣です。
予約が殺到して、キャンセル待ちまで出たそうです。
中にはこんな人も。
この男性、すでに準備を進めていると言います。
大阪にある会社を訪ねました。
社員11人の商社を経営する藤村達夫さんです。
藤村さんは今から43年前、28歳のときに、資源の豊かさと将来性にひかれてイランに進出。
ゴム製品を作る機械などを輸出してきました。
それが経済制裁で、イランにある銀行口座が凍結され資金難となり、売り上げが最大で10分の1まで落ち込んだと言います。
今、藤村さんが大きな期待をかけるのがこれ。
天然ゴムです。
車のタイヤになります。
制裁が解除されたら、イランのタイヤメーカーに輸出したいと考えています。
この日は、30年来のつきあいがあるイランの仕事仲間に同業者たちの動きを聞きました。
藤村さんは、最終合意の直後に社員をイランに派遣し、すぐにでも取り引きできるように拠点作りを進めています。
今イランが熱いということは分かったんですが、日本の企業は出遅れていると言っていますが勝ち目はあるんですか。
ヨーソロー。
千里子、これはすごいチャンスなんだ。
知らないのか。
イランは超親日国なんだぞ。
イランというと、厳しいイスラム教の国って感じだよな。
でも、イランの人たちは日本が大好きなんだ。
戦争で負けても、すごい製品を続々と作って立ち上がった日本に憧れていたんだな。
日本のドラマ、おしんも大人気。
貧しい農村の少女が、いじめに耐えながら、けなげに生きる姿が受けたんだ。
当時、隣国と戦っていたイラン兵も放送時間にはテレビにかじりついたという。
視聴率はなんと90%だったらしい。
さらに。
1950年代。
イランの石油にたかって甘い汁を吸おうとするイギリスにイラン人は嫌気が差していた。
そこへやって来た、ある日本の船。
イギリスの目をかすめて、大量のイラン産石油を運び出し、直接取り引きを始めたんだ。
当時、幅を利かせていたイギリスの鼻を明かしたってんで、日本とイランの絆は強まっていったんだ。
イラン人は日本人のことをこんなに好きだったとは知らなかったです。
日本にとって、すごいチャンスじゃないですか。
ビジネスチャンスが広がるのかというのが疑問なんですがそこを詳しく見ていきましょう。
きょうの先生はこの人です。
炎天下の霞が関。
暑さにたじろぐことはない経済部記者、澤畑剛。
しゃく熱の中東を、国際部記者として駆け回った経歴を持つ。
趣味は、この人気アニメ。
何、イランの解説?経済部から澤畑記者です。
よろしくお願いします。
澤畑さんは私の親友に顔がそっくりです。
親近感があります。
まず聞いていきたいんですが、この核合意によってイランでのビジネスチャンスが広がっていくんでしょうか。
イランが合意に基づいて核開発の活動を大幅に制限しますと、アメリカなどはその見返りとして、イランに科してきた経済制裁を解除する見通しなんです。
そうすると、イランという国はもともと世界有数の原油を輸出している国なんです。
ですから、これまで制裁で抑え込まれていたんですが自由に輸出できるようになって、これが大幅に回復してそうなるとこのようにイランにどんどんお金が戻ってくるということです。
ガソリン価格が安くなることと関係しているんですか。
千里子さん、鋭いですね。
現時点では経済制裁は続いています。
ですから輸出は抑えられているんですが、石油のマーケットは別ものなんです。
近い将来、イランからの原油輸出が大幅に増えるということを織り込んで価格が下がっているわけです。
将来的に石油がいっぱい余るからということですね。
もっと下がる可能性もあるんですか。
それは状況を見てからだと思います。
そして、もう1つ経済制裁の解除にとって、イランにとってよいことがあるんです。
バンクと書いてあります。
イランはこれまで経済制裁のために、原油代金ですとか海外の金融機関が凍結された状態にあったんですがなんと1000億ドル、12兆円に上ったといわれていました。
こうしたお金がイラン政府は自由に使えるようになると見込まれています。
そうするとどんなことが起きそうかというとイラン政府はこれまでお金がなかったので高速道路ですとか、鉄道などさまざまなインフラプロジェクトが止まっていたんですがお金が戻ればまた動きだしそうだというわけです。
それで、たくさんの企業の人たちはここに入りたいと思っているわけですね。
大きなプロジェクトは分かったんですがイランは、物を売る位置としてはどうなんですか。
私自身ドバイというところにいたんですが、ドバイにはイラン商人がたくさんいます。
彼らはこんなふうに言っていました。
経済制裁は厳しいけれど自分たちは物をなんとかして送り続けるというのは送りさえすれば、大勢のイラン人の人は、待っているからといっていたんです。
大勢というのはどれくらいの規模なんですか。
中東最大規模なんです。
人口およそ8000万人、30歳以下の若い人たちが半分以上です。
若いと市場にとってはいいんですが購買意欲があります。
一日かけて描いたのに。
お金があって人口も多いということで、今後、飛躍的に上向くということが見込まれています。
でもイランは宗教もありますよね。
それが厳しいですが日本の企業は大丈夫ですか。
確かに戒律が厳しい国ではありますがショッピングも大好きですし購買意欲がとてもおうせいなんです。
どれぐらいすごいのかこちらをご覧ください。
テヘラン駐在の品川です。
イランというと反米感情が強いとか、どこかとっつきにくいといったイメージはないでしょうか。
でも実際に町で取材してみるとどうも、そればかりではないようです。
暑い日が続く中、イランで最も売れ筋なのがこの清涼飲料水。
赤いラベルのアメリカのブランドの商品です。
これアメリカのブランドだが問題ないのか。
経済制裁が科される前からイラン国内で販売されていたため今も定番商品として広く浸透しています。
イランではイスラム革命以降、反米を国の方針に掲げ、政府機関の建物にも敵意むき出しのスローガンが書かれています。
しかし、そうしたスローガンと国民の思いは必ずしも一致していません。
アメリカをはじめとした外国の文化や商品に若い世代ほど魅力を感じているんです。
テヘラン市内にあるこの店は、世界的なファストフードチェーンをまねて10年ほど前から営業しています。
店の名前は、マシュドナルド。
ロゴマークとともに本物のチェーンになぞらえた看板が掲げられています。
店の男性に話を聞くと、イランで本物のチェーンが展開する日を心待ちにしていると話していました。
携帯電話もイランではスマートフォンが主流になっています。
中でも非正規のルートで入ってくるアメリカのブランドが若者の憧れの的です。
直営店そっくりの販売店まで登場しました。
いつかは自分も買いたいと多くの若者が店を訪れます。
これまで、欲しくてもなかなか外国の物が手に入らなかったイランの市民は、制裁の解除を今か今かと待ち望んでいます。
若者はアメリカに対して興味があるんですね。
ジローラモさんの友人もそうでしたか。
そうですね。
このイラン、日本に対して期待していることがもう1つあります。
何かといいますと、これと関係しています。
今、経済制裁が続いてイランの失業率は若者は特に高く20%です。
若者の5人に1人は働きたくても仕事が見つからない状況です。
そこで日本の自動車産業や電気機械産業に対して、イランに工場を進出してもらいたいという気持ちがあります。
私も先日、イランの駐日大使にお会いしてきたんですが、期待は大きいけれど日本企業の出遅れを心配していたんです。
着任して3年目のナザルアハリ駐日大使です。
日本側にイランへの進出を働きかけてきましたが、煮えきらない対応に懸念を募らせています。
経済制裁の解除が実現に近づいた今、一刻の猶予もないと言います。
日本は売り込みが下手というかそういうイメージで出遅れ感がいつもあるような気がするんですが。
それが重要な課題です。
こちらを使って説明しましょう。
イランの市場をスイカに例えてみました。
何でスイカなんですか。
スイカはイランを代表する果物ですし今が旬じゃないですか。
イランのスイカ、ずっとおりに覆われてきたんです。
何でかといいますと、アメリカなどによる経済制裁でなかなか手出しができない状況になっていたんです。
それが合意によって年明けにもこれが開きそうだという見通しがあるんです。
ですから日本企業もスイカに関心があります。
関心はあるんですがちょっと腰が引けているんです。
慎重なんです。
アメリカの経済制裁が解けるまではということですか。
このおりが怖いんです。
なぜ怖いかというと、日本には過去にとても苦いエピソードがあるんです。
10年余り前、アザデガン油田という油田があるんですが、これは中東最大規模です。
日本は国を挙げた取り組みによって油田権益を獲得しました。
ですがその後、イランで強硬派の大統領が誕生して核開発問題がこじれてしまったんです。
するとアメリカは日本に対して、獲得した油田権益を手放すよう圧力をかけたんです。
結局、日本は権益を手放さざるをえませんでした。
当時、時の小泉総理は政府の担当者を呼んで日本にとって大事なのはアメリカだといういわば鶴の一声を発して日本が持っていた75%の権益を10%まで引き下げる決定になったんです。
日本にとっては同盟国はアメリカ。
この意向を尊重すべきだという判断だったんだと思います。
ただアメリカは、それでも日本は10%権益を持っていますから、なぜ全部手放していないんだと言って最終的にはゼロにしました。
現在、日本の経済使節団が行っていますが、それも派遣にあたっては事前にアメリカに説明をしています。
日本企業は、スイカに期待はしているんですが、焦らずじっくり慎重にいこうということなんです。
日本は遅れていますが、ほかの国はどうなんですか。
ヨーロッパのほうは日本よりも先に進んでいます。
なぜヨーロッパは前のめりかと言いますと、ヨーロッパの国々にとっては、イラン市場は自分たちの裏庭だ、裏庭のマーケットだという意識が強いんです。
歴史的なつながりがあるんです。
当時はまだ戦争が終わっていなかったから結構、手を出すのは怖かったんです。
今は違いますよね。
今から仕掛けていこうという姿勢なんです。
具体的に言うと、フランスは核合意が結ばれる前ことしの2月に、100社が参加した経済使節団を送っています。
そしてドイツ。
こちらは核合意が結ばれたのが7月14日なんですが、その僅か5日後に副首相が団長になって企業を率いて、テヘランに乗り込み、自動車の現地生産を乗り出すという情報もありました。
ジローラモさんのイタリアも負けていません。
経済使節団を送っています。
たとえるならわれわれは、お正月に初詣がありますが、初詣ではなくイラン詣でという状況です。
シーズン真っ盛りのスイカはかじったあとがありますね。
アメリカなどのおりを気にせずに入り込んでいる国があります。
どこでしょうか。
中国。
そうです。
日本やヨーロッパの企業がいない間に中国の企業はおりにものおじせず中に入り込みイラン企業に接近しているんです。
中国の製品で、あふれかえっているということです。
この前、アフガンに行ったらどこにいても中国がすごくいろんなものを作っていると言っていました。
イランでは中国はそんなにうまくいっているわけではなさそうなんです。
イランの人々にとっては、あまりにも中国製品が入ってきてしまったために自国の産業がダメージを受けてしまったとか、中国製品、安いけれどもあまり品質がよくないじゃないかという不満を抱えているんです。
例えば日本の企業はそれをゲットするためにどうすればいいんですか。
何と言ってもこれです。
スピードです。
おりが開く制裁解除は年明けと言われています。
ですから、これを見越して各国もライバルがひしめき合っていますから、日本も遅れを取らずスピーディーに飛び込んでいくことが重要だと思います。
時間が来たようです。
ありがとうございました。
まさに出遅れているということですから、日本にとっても逆転ホームラン、あるかもしれませんね。
続いて、2時間目に行きましょう。
2時間目はこちら、台風です。
このところの暑さの原因の1つとなっています台風13号。
このところ週末、沖縄県の先島諸島に接近してきのう台湾を横断し中国大陸に上陸して各地で被害をもたらしました。
この台風、その勢力からアメリカでは怪物に例えられました。
国際宇宙ステーションから撮影された台風13号です。
宇宙からも、はっきり台風の目を見ることができます。
アメリカのメディアは怪物級だと表現しました。
そのビルとは。
台北市内にある、この全面ガラス張りの101階建てのビルです。
そしてきのう、台風13号が台湾に上陸しました。
北部の基隆市では、58.5メートルの最大瞬間風速を観測しました。
風力発電のための風車も根元からなぎ倒されました。
注目されていた101階建てのビルは果たしてどうなったのか。
台風が直撃したときの、ビルの揺れを軽減する装置の様子です。
過去最大の揺れ幅を記録しましたが、台風に耐えました。
台湾では土石流で住宅が流されるなど大きな被害が出て、6人が死亡、4人が行方不明になっています。
このあと台風13号は、昨夜、中国南部の福建省に上陸。
浸水や土砂災害などの被害も出てこれまでに9人が死亡し、3人が行方不明になっています。
そして、今入った中国メディアの情報によりますと台風13号の影響で起きた土砂崩れで亡くなった人は10人、行方不明者は5人に増えたということです。
台風についてお伝えしました。
2015/08/09(日) 18:10〜18:42
NHK総合1・神戸
これでわかった!世界のいま▽イラン経済に商機あり・制裁解除目指して世界が走る![字]

世界屈指の資源を誇る中東のイラン。核開発問題の解決で経済制裁解除が見込まれる中、ビジネスチャンスを求めて世界が熱視線を送る。巨大市場をめぐる攻防の最前線に迫る。

詳細情報
出演者
【ゲスト】パンツェッタ・ジローラモ,【キャスター】坂下千里子,井上裕貴

ジャンル :
ニュース/報道 – 定時・総合
ニュース/報道 – 海外・国際
ニュース/報道 – 解説

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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