日曜美術館 アートシーン ▽日曜美術館40年「みつけよう、美」第三回 2015.08.09


「アートシーン」です。
今日は「日曜美術館」放送開始40年を記念して行っているキャンペーン「みつけよう、美」についてご紹介します。
今全国100以上の美術館とコラボレーションしまして各地の作品のさまざまな魅力を深くお伝えする試みをしてるんですよね。
はい。
「みつけよう、美」の映像はその美術館のゆかりのある作品や人物作家さんたちの映像ですからね。
美術館によってそれぞれ流れている映像が違うというのが大きな特徴ですよね。
そうなんですよね。
このキャンペーンではですねNHKの美術番組が長年記録してきた映像を活用しまして各地の美術館の所蔵作品の魅力をお伝えしています。
それでは「みつけよう、美」ご覧下さい。
各美術館では所蔵作品とそれにまつわる映像を一緒に展示しています。
映像と共に美の物語を発見してもらおうという試みです。
現在美術館でご覧になれる映像を3つご案内しましょう。
まずは冬の青森。
県立美術館では元格闘家でアーティストの須藤元気が奈良美智の驚きの作品に出会いました。
うぉ〜でかい!そして雪が…。
雪が帽子みたくなってる。
かわいいなぁなんか。
弘前出身の世界的アーティスト奈良美智の作品。
縄文の遺跡から発掘された犬「あおもり犬」です
頭には雪の帽子。
冬にしか見られない光景です
今年は特に雪が多いのでちょっと重そう
すごくいい感じに融合してますね。
なんか…雲の中から出てきた感じですよね。
雪が雲みたいですね。
それではちょっとここだけの話
学芸員の池田亨さんに教えて頂きました
お年寄りの方がですねこの「あおもり犬」ご覧になってそのあとちょっと拝んでですねそれから行かれた事があってちょっと大きいという事で拝んでしまったのかもしれないんですけど何となく…。
仏様っぽいですね言われてみれば。
そうですよね。
こうやって冬で雪をかぶっていると何かいろんなものをこう耐えているような笠地蔵のようなですねそんな雰囲気があるんじゃないかと思うんですけれども。
ちょっとね目を閉じて下を向いてっていうのがなんか瞑想しているような祈っているような雰囲気がありますし。
(須藤)へえ〜。
(池田)この作品も出来てから5〜6年になるんですけども最初の頃はそんなに深い意味を持ってたわけではないと思うんですがそうやって皆さんの感情移入の中で作品の意味がだんだんに大きくなってきているような。
なるほど。
特に冬のこういう姿を見ると東北の雪の中で春を待っている皆さんにとってはすごく感情移入しやすいような対象なんじゃないかと思うんですけれども。
(須藤)じゃあ東北の人たちが作り上げた作品って言っても過言ではないですね。
一緒に意味づけていくっていう。
(池田)これからもそうやって育っていく作品なんじゃないかと思います。
(須藤)いいですね。
御利益あるかもしんない。
続いて…丸木位里・俊夫妻が心血を注いで「原爆の図」を描く姿です。
広島は夫位里のふるさとで夫妻は原爆投下直後の広島に行っています。
位里はおじとめいそして父親を原爆で亡くしました
食べるものがほとんどなかった広島で俊は道端のかぼちゃを拾って食べました。
そのかぼちゃは放射能を浴びていました
最後は…天才画家速水御舟の試行錯誤を世界で活躍する村上隆が読み解きます。
自分もその当時のちょうど20代の頃の絵描きだとするならやっぱりその…彼女っていうかモチーフに対してすごい真摯な気持ちであればあるほどね今の自分の正直な気持ちを全部ぶち込みたいっていうすごく欲望があったと思うんですよね。
多分そのころの御舟の持てるパワー全てが入ってるはずなんですよ。
この絵って必ず御舟の代表作として出てきますよね。
それはやっぱりその…この舞妓さんへの思いであるとか技術に対しての苦心惨憺たる思いであるとかそういうものが本当に一心に凝縮された気持ちというのがちゃんと絵に焼き付いてるんですよね。
故にやっぱり我々はいくら不気味であろうが何であろうがどうしてもその絵に集中していかざるをえない。
本当に見たとおり怨念みたいなものが詰まったある種のでも名作じゃないかなと思いますけどね。
当時のアトリエが今も残されています
ここで父が絵を描いておりまして…。
そのころ御舟は写実一辺倒だった画風に行き詰まりを感じていました
「自然に直面した写実のみになってきた。
けれども何かそれだけではすまない問題が常に往来している」。
「…悩みを背負っているような気がする」。
御舟は武蔵野にある禅寺平林寺の門をたたきます
座禅を組み日中は堂内の掃除に励む毎日
御舟は修行僧と同じ生活を9か月間送り心の目でものを見るという禅の教えに近づこうとしました
大正14年夏。
避暑に訪れた軽井沢で御舟はたき火とそれに群がる蛾の美しさに心奪われました。
毎日家族の者にたき火をおこさせ御舟はその前で写生を繰り返し行い炎を見つめ続けました
変幻する炎の神秘が深みのある朱で描かれています
闇と炎の境には金泥を用いて微妙な色調の変化が加えられています
我が身を焦がしながら舞う蛾の群れは妖しい輝きを放っています
御舟は弟子に「絵をつくる前に人間をつくれ。
人間の出来ていない者にいい絵は描けるはずはない」と言ったといいます。
「炎舞」は御舟が31歳の若さで到達した境地を表しています
この「炎舞」の蛾のスケッチ見た事あるんですけど相当やってるんですよね。
自分の画力に対しての自信と自分の心の中を見つめたっていう自信が合体して迷いがないですよね。
あの「京の舞妓」の絵っていうのは迷いだらけ。
しかしこれはもう全然迷いがなくてすごい自分の人生の哲学と絵を描くっていう行為が見事に合体している瞬間だと思うんですよ。
そういう奇跡的な瞬間ってやっぱりだんだんだんだん積み上げられるわけじゃなくて何年かに1回とか一生に1回か2回しかないかもしれないぐらいの奇跡的な出会いの瞬間だと思うんですよね。
まだ31歳だったんですよね。
この奇跡が起きた時は。
本当にね僕ら芸術家はみんなその奇跡を待ってるんですよ。
毎日毎日その…修行のように絵を描いたりいろいろ考えたりしてるのはこの瞬間を待ってるわけです。
多分御舟はこれは1回自分は奇跡がつかまえられたというのは自覚してるんですけどその後これがもう一回つかまえられる日を待ってたと思うんですよね。
このキャンペーンの映像は放送でもご紹介しています。
どうぞご覧下さい。
「アートシーン」でした。
ではまた次回。
2015/08/09(日) 09:45〜10:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン ▽日曜美術館40年「みつけよう、美」第三回[字]

今年、放送開始40年目を迎えた日曜美術館。それを記念して「みつけよう、美」と題したキャンペーンを展開。貴重な映像記録を活用した取り組みを紹介します。

詳細情報
番組内容
日曜美術館は1976年に放送が始まり、この4月、40年目の年を迎えました。それを記念して、「みつけよう、美」と題したキャンペーンを展開。全国100を超える美術館とコラボレーションし、さまざまな名作の魅力を、番組が記録してきた貴重な映像で紹介します。今回のアートシーンでは、3つの美術館の所蔵作にまつわる懐かしい映像をお届けします。
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵

ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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