新国立競技場:「技術提案等審査委」設置 各段階で点検
毎日新聞 2015年08月14日 21時15分
◇政府の基本方針 事業主体のJSC内に
2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設計画で、政府は14日に発表した基本方針で、事業主体となる日本スポーツ振興センター(JSC)内に「技術提案等審査委員会」を設けることを打ち出した。政府は競技場の性能、工期、コストの上限を示した新たな整備計画を今月末にも策定。来月初めに公募型プロポーザル方式で業者を募る。審査委は整備計画の審査・点検するための体制を整えることが目的だ。
審査委員会は、秋山哲一・東洋大教授(建築生産)ら建築の専門家7人で構成。17日に初会合を開く。イラク出身の建築家、ザハ・ハディド氏の案を選んだ国際公募は、デザインを重視したこともあり、専門知識を持つ審査員が限られ、コストや構造などに対する審査が不十分だった。
このため、今回は設計、構造など建築の専門家に限ることで一応の審査体制を整えた。また、基本方針は「周辺地域の環境や景観などと調和を図り、日本らしさに配慮する」とも盛り込み、旧計画の巨大なキールアーチ構造が「景観を壊す」と批判を受けたことも考慮。審査委に環境や景観の専門家も入った。
旧計画では、JSCと文部科学省の情報共有が不十分なため、総工費が大きく膨らんだ。このため、審査委員会は着実に計画を推し進めるため、技術審査から設計、契約交渉など各段階で点検する。【田原和宏】