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手書きの方がいい理由と字がうまくなる方法
手書きからずいぶんと遠のいている人は多いのではないでしょうか。何かをメモする必要にかられて久しぶりに文字を書いたら、小学生が書いた文字みたいになって愕然とします。デジタル世代は、手書きは古臭いと感じるかもしれませんが、字をある程度うまく書けるようにしておいた方がいいのには理由があります。
手書きの方が学習効果が高い
もう一度書道やペン習字を習いたくなるかもしれない、認知的な理由があります。ご存知の人も多いと思いますが、手書きでノートを取るときは、耳で聞いた情報を文字に置き換え、情報を再構成しなくてはならないので、より記憶に残りやすいのです。科学的な裏付けもあります。
手で書いた子どもは、情報をより多く覚えていただけでなく、アイデアもより多く出したという実験もあります。心理学者のVirginia Bernignerさんは、キーボードの入力と手で書くことは、脳の働きのパターンが異なると述べています。彼女の研究では、手で書いた子どもはタイピングした子どもよりも、より多くの言葉やアイデアを生み出しました。また、字が上手な子どもは、作業記憶と関連がある領域の脳の神経がかなり活性化していました。文字を手で書くという身体的な動作を積極的に取り入れると、ほかのことでは使われない脳の領域を刺激するので、創造力も目覚めます。
手書きの文字にはその人が出る
意図的であってもなくても、手書きの文字は、だらしないとか、興奮しているとか、几帳面だとか、何かしらその人自身を表しています。誰かが手書きのものを読むとき、そこには書き手とペンと紙の関係性から生じる表現があります。筆圧や書くスピード、インクの濃さやノートの線をどの程度気にしているか、手書きのものは、そのような細部が積み重なったものが表れています。誰かが手で書いたものを読むというのは、本当にとても個人的なものです。
もちろん、手書きのものには、コミュニケーションにそれだけの時間や思いをこめているということを示します。同じ文字数であっても、何十秒かでサッと書けてしまうメールは、ていねいに手で書かれたものほどの意味を持ちません。
字がうまくなる方法
字がうまくなりたかったら、方法はただひとつ。とにかく練習あるのみです。手書きの練習帳のようなものを買ってきて、時間をかけて練習しましょう。「The Art of Manliness」は、以下の英語の筆記体の手書きの練習ビデオをすすめています。鉛筆の持ち方や紙の置き方など、書く以前の基本的なことをじっくりと解説しているので、日本語の文字を書くことにも応用できます。
いきなり書き始める前に、正しい鉛筆やペンの持ち方を習うことは大事です。時々かなり変わった持ち方をしている人もいます。正しい持ち方をしないと、ペン先にうまく力が入らないことがあります。カリグラフィーの専門家Laura Hooperさんは、鉛筆やペンの持ち方について、「Business Insider」でこのようにアドバイスしています。
ペンを持ってチェックしてみましょう。筆記具は親指と人差し指と中指の間で持ち、残りの薬指と小指は軽く添えます。ペン先に近い位置で持ち、力を入れて握りすぎないようにします。不要な力を入れずに、指を軽く添えるイメージです。手が疲れないよう、必要以上にペンをにぎり締めないようにしましょう。
カリグラフィーとペンマニアのDyas A. Lawsonさんは、書くときに指に頼りすぎている人が多いと言います。字を絵のように描いていると、時間がかかり過ぎて疲れてしまいます。自然に字を書くことができている人は、腕を上手に使って、ペンや紙に負荷がかからないようにしています。文章を一段落分書いて、自分がどこの筋肉を使っているのかをチェックしてみましょう。カリグラフィーのような字を書く場合は別ですが、普通に字を書く時は長い文章が書けるよう、快適な状態で書かくといいでしょう。
大学の講義でノートを取るのは速く書く練習になりますが、字がうまくなりたい場合は、一筆一筆を意識してゆっくりと書くようにしましょう。
とにかく、お手本を真似してくり返し練習することです。練習帳やテキストを4回やってみましょう。新しいスキルを身につけるときは何でも同じですが、毎日少しでも練習する時間をつくり、上達は少しずつだということを肝に銘じてください。継続した練習によって、美しい文字が書けるようになります。
Andy Orin(原文/訳:的野裕子)
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