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 戦争を知る世代が減るなか、介護の現場で受け継ごうとする営みもある。

 デイサービスセンターでボランティアをする西村由紀子さん(53)=大阪府豊中市=は、妻と死別して高齢者向けの共同住宅で暮らす都筑洋太郎さん(94)と向き合う。都筑さんは南太平洋で多くの戦友を失った元日本兵だ。

 西村さんが都筑さんと知り合ったのは10年前。「つらいことを思い出させてしまうかも」という懸念もあったが、理屈抜きで「戦争はいかん」と話す都筑さんの訴えを今夏までに聞き取り、原稿にまとめた。

 都筑さんが入っていた戦友会は解散し、慰霊祭も途絶えた。大学3年の娘(20)は都筑さんの話をしても関心を示さないが、「いつかは大切さを分かるはず」と西村さん。原稿は別のお年寄りたちの寄稿と一緒に冊子にしたいという。