伊藤宏樹
2015年8月15日09時44分
戦時中に沖縄とフィリピンで亡くなった肉親の遺骨を38年前から探し続ける佐賀の男性が、自身の半生をつづった著書「ものいわぬ人々に」を出版した。母子家庭で育った苦労や、遺骨収集の厳しい現実などが書かれている。ともに収集に取り組んだ戦争体験者が全員亡くなり、後世に伝えなければという思いが執筆へと駆り立てた。
佐賀県みやき町の塩川正隆さん(71)。父親を沖縄で、叔父をフィリピンで亡くした。久留米大の職員だった1977年2月に父が戦死した沖縄を訪ね、以来150回以上遺骨探しを続けてきた。95年からは叔父が亡くなったフィリピンにも足を運ぶ。遺骨や遺留品を遺族に渡す活動をしているNPO法人「戦没者追悼と平和の会」の理事長でもある。
塩川さんは44年8月、福岡県八幡市(今の北九州市八幡東区)で生まれた。八幡製鉄所に勤務する父の政満さんは、塩川さんが生まれた1週間後に召集され、沖縄へ。無線部隊に所属した。
残り:826文字/本文:1228文字
おすすめコンテンツ
PR比べてお得!