袴田事件:弁護側鑑定検証へ…再審請求の抗告審
毎日新聞 2015年08月13日 21時04分
死刑確定後の再審開始決定により釈放された袴田巌(いわお)元被告(79)の第2次再審請求の即時抗告審で、東京高裁(大島隆明裁判長)は13日、検察、弁護側と3者協議を開き、決定の決め手となった弁護側DNA型鑑定の手法が再現できるか検証する実験を、検察側が提案した条件を軸に実施する方針を示した。弁護団が明らかにした。
検証実験を求める検察側と弁護側の間で実施条件を巡って意見の隔たりがあり、協議が続いていた。弁護団はこの日の記者会見で「(検察側が示した条件の)科学的問題点を提起してきたが、それを解決せず鑑定になだれ込むのは問題だ」と反発。次回協議までに受け入れるか回答する。
再審請求審で弁護側は、異物が混じった可能性がある試料から血液中のDNA型を抽出できるとされる「選択的抽出方法」で、犯人の着衣とされた「5点の衣類」の鑑定を実施。静岡地裁はこれを決め手に昨年3月、再審開始を決定した。
検察側は即時抗告審で「弁護側の鑑定手法は独自の方法で信頼できない」と主張してきた。
検察側が、唾液に古い血液を混ぜた試料から血液中のDNA型が検出できるか確かめる条件を提案したのに対し、弁護側は新しい血液を使うなどの対案を示していた。【山下俊輔、井上知大】