また安倍談話は「戦争の苦痛を嘗め尽くした中国人」「日本軍によって耐え難い苦痛を受けた元捕虜」を挙げて、明示的に謝罪した。「私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」とも言った。その一方、植民地の圧政の中、数多くの人間が拷問で命を落とし、数十万人が強制徴用・強制移住の苦痛を味わった韓国に対しては、一言の言及もなかった。日本の首相の談話は、その時代の国際情勢をみる日本の視点を反映してきた。今回の安倍談話は、日本が対米、対中関係には気を使いつつも、対韓関係には大して重きを置いていないということを示している。
安倍談話は、慰安婦の強制動員について「慰安婦」という単語は使わなかったが、「戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいた」と言い、さらに「何の罪もない人々に、計り知れない損害と苦痛を、我が国が与えた事実。(中略)断腸の念を禁じ得ません」と言った。それが本心なら、安倍政権は、すぐさま「名誉と尊厳を傷つけられた」元慰安婦に対して心からの謝罪をすべきだ。
韓国政府は、今回の談話発表に先駆けて「両国関係の試金石になるだろう」という立場を明らかにしてきた。下半期に韓日関係を本格的に正常化させる、という構想も立てていた。安倍首相は、こうした雰囲気を知りつつも、韓国に対しては少しも自分の考えを譲歩する気がない、ということを示した。
だからといって、談話一つを理由に日本との関係で全てを断つ、というのは賢明な選択ではない。北東アジア地域は現在、数十年ぶりの勢力転換期を迎えている。韓国は、今回の談話に現れた安倍首相とその内閣の属性を記憶しつつ、間違った歴史認識に立ち向かう国際協調をさらに強化する必要がある。