専業でないとはいえ、日々このブログで万単位のひとに読まれる文章を書いている。
それもあり文章術、文章力など書かれているとそれなりに目をとおす。
しかし多くはどこかでみた焼きまわしや実用性の欠けた小手先テクニック、漠然とした概念、とほほな精神論。
昨日、この本をみかけた。
特に期待せずなんとなく電子書籍で購入したのだけれど、思わぬ拾いものだった。
ブログなどでそれなりの量の文章を書くなら一読しておくとまちがいなく役立つ。
かなり実用性が高い内容。
基礎から応用まで。
読みこんで使いこなせれば、それなりに読める文章が書ける。
文章に関する本は、他に読まなくても基礎ならこれだけで充分。
この本以上の文章力は、本に書かれた技術では学べない文学や表現、個性の領域。
文章本で迷ったときは、これにしておけばまずまちがいない。
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ニュースサイト ナタリーを運営する株式会社ナターシャ取締役 唐木元氏が著者。
神田敏晶と区別がついていなかった(帽子繋がり)のは内緒……。
3つのレイヤー
教室と銘打っているだけあって文章全体の骨格、構成方法にはじまり、推敲、文末の語の使いかたや重複についても書かれている。
大枠からディテールまで、文章に関する大から小まで網羅しているところがとてもいい。
どれもすぐに使えるものばかり。
いまあなたが目で追っているこの文字列、目に見えている言葉そのものが一番表層のレイヤー。ここでは「言葉づかい」と呼ぶことにしましょう。
言葉づかいの下には、どんな文章でも表層の論理が仕込まれています。言いたいこと伝えたいこと、こうだからゆえにこうなのだ、という「ロジック」(論理)のレイヤーです。
さらにその下には、この世界の事柄ひとつひとつ、ここでは「事実」と呼ぶレイヤーが横たわっています。出来事や日にち、人の名前、ものの名前、行為、場所などなど。この層から取ってきた事実を組み合わせて、ロジックは形作られています。
「事実」「ロジック」「言葉づかい」の3つのレイヤーは、取り返しのつかない順序で積み重なっています。
19P 03.文章は目に見えている部分だけではない
これが文章の基礎構造。
多くの文章はこのどこかが破損、抜けていたりする。
たりない「事実」を表層の「言葉づかい」でおぎなう。
ゆがんだ「ロジック」を「言葉づかい」でごまかす。
だからヘンテコな記事ができあがる。
まずこの3つのレイヤーをキチンと積みあげる。
そこからはじめないから残念な仕上がりの砂上の楼閣ができあがる。
文章力の教室
基礎に沿って文章を積み上げていく。
テーマや骨格の決め方、切り口など。
構造シートと呼ぶ形式に、文章の要素を書き出すことで枝葉の重要性を明確にし整理する。
さらには読点を打つポイントや接続詞のテクニック、読ませるためのなど、まさに「教室」と呼ぶにふさわしい内容。
文章力の教科書と言いかえてもよさそう。
ナタリーで新人ライター向けに教えていた唐木氏の経験則が生かされてる。
ウェブでニュース媒体をやっているからこそウェブ適性がある。
ただひとつ残念な点をあげるとすれば、これを電子書籍で買ってしまったこと。
固定レイアウトは、Kindle端末で読むのに向いてない。
是非とも紙の本で買うのをおすすめしたい。
ブックファーストで買いなおして、netgeek愛読者代表 田端信太郎の御尊顔も拝むとしますかね……。
そんな田端信太郎さんと唐木元の耄碌コンビによるトークイベント「書ける人がメディアを伸ばす!」は、ブックファースト新宿店様で8/21開催です。来ると功徳が積める!
http://t.co/wCKBoYzq3m
— 唐木元 (@rootsy) 2015, 8月 13
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