元軍医の佛坂さん、戦艦「大和」の最期を記す
「『雪風』からみた『大和』の最期」出版
2015年08月14日 16時55分
アジア・太平洋戦争末期、旧日本海軍の戦艦「大和」とともに沖縄に突入する海上特攻作戦に従軍した軍医長・佛坂泰治さん(95)=武雄市山内町=が、「『雪風』からみた『大和』の最期」を佐賀新聞社から出版した。出撃前の心境や激戦のさなかで応急処置や治療に当たる様子をつづったほか、当時の戦陣日記や写真などの貴重な資料をオールカラーで紹介している。
佛坂さんは「大和」を護衛する駆逐艦「雪風」に軍医長として乗艦。1945年4月6日、「一億総特攻のさきがけ」として山口県の徳山を出撃した。翌7日、鹿児島県坊の岬沖で米艦載機の猛攻を受けた。「大和」は撃沈、残った「雪風」は負傷者を救助して佐世保に引き揚げた。
佛坂さんは戦後70年がたち、かつての戦友も一人また一人と亡くなっていく中で、「九死に一生を得たが、ついに帰ることのなかった若者の声なき声を思えば」と執筆を決意。「選ばれた栄誉を担い、国家悠久の大義に生きます」と父母への決別の手紙をしたためたこと、負傷した兵士が応急手当が終わるとすぐに持ち場に駆け戻る壮絶な戦場などをありありと描いている。
「あの頃は死ぬのが当たり前だった。若い人にはもはや異次元の世界かもしれないが、70年前は確かにそうだったと知ってほしい」と佛坂さん。巻末には、戦争体験者の証言を集めた本紙連載「刻む~佐賀・戦時下の記憶」の佛坂さんのインタビューを収録した。
A5判85ページ。定価は税抜きで926円。県内の主要書店で販売中。問い合わせは佐賀新聞プランニング、電話0952(28)2152へ。