中国の習近平政権は、経済成長が鈍化した焦りからか「3日連続の人民元切り下げ」という、異例の措置に踏み切った。米国では「中国を為替操作国と認定すべきだ」などと批判する声も強いが、ショックを隠せないのが朴槿恵(パク・クネ)大統領率いる韓国だ。中国は最大の貿易相手国だけに、自国経済に深刻なダメージをもたらしかねないのだ。
「(是正は)基本的に終わった」
中国人民銀行の張暁慧総裁補佐は13日の記者会見で、市場で本来あるべき為替レートと基準値の乖離(かいり)について、こう語り、当面は大幅な引き下げをしない考えを示唆した。
習政権は、人民元をドルやユーロと並ぶ国際通貨に育てようとしてきたが、想定以上に中国経済が減速し、株価や不動産価格が下落した。国政の重要事項を討議する「北戴河会議」で、元最高幹部ら「長老」らは、習氏に一段の景気対策を迫ったとみられる。
中国による強引な元安誘導を受けて、韓国が悲鳴を上げている。
スマートフォンなどIT関連製品で韓国企業と競合する中国企業が、元安により価格競争力を強めることへの警戒だけではない。韓国を訪問する中国人観光客が元安を受けて財布の口を締めかねないとの懸念もある。