日本にも当てはまるかも!アメリカ人が海外に行かない3つの理由
TRiPORTライターのレティです。
日本人とアメリカ人には、ある大きな共通点があります。何だと思いますか?
答えは「海外に行かない」ことです。
過去にもTRiPORTで取り上げたように、日本人若者の旅離れの問題が以前から続いています。日本人のパスポート保有率が24%という低さ(※1)や、年に出国する人の割合は2013年にわずか14%(※2)など、それらの数字が如実にその事実を語っています。
意外なことに、アメリカの現状も日本とはあまり変わりません。2014年のアメリカ人のパスポート保有率は36%。同年、イギリス人やオーストラリア人は、70%以上もパスポートを持っていたという数字が出ています。
一体なぜアメリカ人は海外に行かないのでしょう? アメリカで有名なトラベルブロガーNomadic Mattがその問題について考察しました。ひょっとして彼が語るアメリカ事情が日本にも当てはまるのでは?
(※1)参照:外務省がまとめた2014年(1-12月)の「旅券統計」
(※2)参照:『日本経済新聞』
Photo credit: Eri Iwasa「弾丸NY」
「なんでもここにある」心理
Nomadic Mattによると、アメリカ人が母国から出ない理由として「国の大きさ」が挙げられます。つまり、大陸ほど大きなアメリカでは、たくさんの景色や自然環境が楽しめるということです。きれいな海で泳ぎ、砂浜でくつろぎたいならば、タイではなくフロリダ州に行けばいい。自然の力を感じさせるような砂漠を冒険したければ、アリゾナ州に行けばいいので、アフリカまで飛ぶ必要なんてない。アラスカでもオーロラが見れて、アイスランドで旅をする意味がない。このように考え、わざわざ海外旅行に行く必要を感じないアメリカ人が多いのだと、Nomadic Mattは述べています。日本はアメリカほど大きな国ではありませんが、似たような話をしばしば耳にします。日本人もアメリカ人と同じように、母国にはなんでもあり、外に出る必要性を感じないという人が多いのではないでしょうか?
きれいな海は沖縄。
寒さが好きなら北海道。
海外の料理だって、東京ならどこの国の料理もあって、わざわざ海外に行く必要なんてない!
このようにアメリカ人も日本人も「ここになんでもある」という心理が働いて、なかなか海外に出る気持ちが湧かないのだと思います。そもそも、なぜその心理が働くのでしょう? Nomadic Mattによると、それは「恐怖」と関係しているものだそうです。
Photo credit: Alex Topporcz「Valley of Fire, Nevada」
「外」は危険!
アメリカ人が海外に行く必要性を感じないのは、海外が怖いからだと、Nomadic Mattは述べています。特に9/11以後、アメリカでは「海外=危険」という考え方がどんどん根付いてしまったとか。「海外は汚い」
「海外は貧しい」
「海外は危ない」
10年間以上メディアや政治家からこのような言葉を聞かされてきたアメリカ人は、それらを事実として受け入れてしまい、アメリカほど安全な国はないと思い込んでいる人も多いようです。では、日本はどうでしょう? 2015年に英誌エコノミストがまとめた世界50都市の安全度ランキングで、東京が世界一安全な都市に選ばれており、大阪は3位となりました。
しかし、日本が安全だからといって、海外が危険とは限りません。東京・大阪と一緒に、シンガポール、メルボルン、アムステルダム、ニューヨークなどもランキングの上位に入っています。しかも住みやすさではトロントが1位、モントリオールが2位とカナダが上位を占め、東京は16位となっています。
「日本は安全な国である」ということは否定できない事実ですが、一方で「外国」が危険ということも神話にすぎないのではと思います。さて、アメリカ人も日本人も「安全性の神話」を信じ込んでいる理由は一体どこにあるのでしょうか? それは「無知」だと、Nomadic Mattは述べています。
無知な人が多い国
Nomadic Mattの言葉を借りると、「アメリカ人が無知だ! アホという意味ではなく、単純にアメリカ国境の向こうに何が起きているか知らないという意味で無知だ」
アメリカ学校では地球についてあまり教わらないことが多いそうです。それが問題の根になっていると彼は考えます。外国語をあまり勉強しない、交換留学プログラムに参加しない、世界の国々の事情について話さない...。そのため、アメリカ人は「外国」が遠いと思い込んでいる人が多く、なかなか海外旅行への第一歩を踏み出せないとか。しかし、Nomadic Mattが指摘しているように、アメリカ人が感じているのは「地理的な距離」ではなく、「文化的な距離」なのかもしれません。
Photo credit: Lugranato (Own work) [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
では、日本はどうでしょう? アメリカ人と同じく、海外や留学に興味を示さない若者が多いようです。2012年までは「なぜ海外に行かないのか?」という問いに対して、多くの日本人学生が日本の便利さや治安の良さを理由として、「海外に興味がない」と答えていたそうです。しかし、2014年にBritish Councilが行われた調査によると、海外留学の参加減少の原因として「語学スキルの不安」と「金銭的な心配」を挙げた学生が多いとか。つまり、語学習得や奨学金制度など教育改善によって、海外に興味をもつ若者の数も増えるのではないか思われます。
2008年にNomadic Mattの記事が公開されたときたくさんの批難を浴びたようです。海外旅行に行かないからといって、無知だとか、メディアリテラシーが低いだとか、誰も言われたくないからでしょう。しかし、誠実に彼の言葉を受け入れてみると、自分の思い込みや偏見に気付き、思考の方向を変えることができるのかもしれません。あなたも「日本人が海外に行かない理由」について考えてみませんか?
ライター:Letizia Guarini
Photo by: Alex Topporcz「Valley of Fire, Nevada」
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*Alex Topporcz「Valley of Fire, Nevada」
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