北朝鮮が地雷埋設を否認、韓国軍発表の4日後

 京畿道坡州市の非武装地帯(DMZ)で北朝鮮が仕掛けたとみられる地雷が爆発し、韓国軍兵士2人が重傷を負った事件について、北朝鮮は14日、問題の木箱地雷(木製の箱型の対人地雷)を北朝鮮が仕掛けたという韓国軍の発表を全面的に否定した。

 北朝鮮の朝鮮中央放送と平壌放送が報じたところによると、国防委員会はこの日、政策局談話を通じ「軍事境界線の南側400メートルの地点にある傀儡(かいらい)憲兵の見張り所前に、(北朝鮮が)自己防衛のため3発の地雷を埋めたというのは話にもならない」と述べた。国防委は「わが軍隊に何らかの軍事上の目的があれば、強大な火力手段を使ったはずであり、3発の地雷など使うはずがない。証明できる映像を出すべきだ」と主張した。北朝鮮はまた、この日午後に西海(黄海)地区の軍の通信線を通じ「前線西部地区司令部」名義の通知文を韓国軍の合同参謀本部に送り「DMZでの地雷爆発事件は北朝鮮とは関係がない」として、北朝鮮向け宣伝放送の再開など、韓国側の報復措置は軍事的挑発行為だと非難した。通知文は「われわれと対峙(たいじ)する勇気があるのなら、戦場に出て軍事的に決着を付けようではないか」と脅した上、韓国側の今後の動きを鋭く注視していく」と通告した。

 北朝鮮はさらに、この日夜に「朝鮮人民軍戦線連合部隊」名義の公開談話を通じ「朴槿恵(パク・クンヘ)一味が心理戦に突入したことは、われわれに対する宣戦布告だ。傀儡ども(韓国)は卑怯(ひきょう)なビラ数枚のために国中が火の海になりかねないということを思い知るべきだ」と主張した。

 これに対し合同参謀本部はこの日午後、北朝鮮軍総参謀部に通知文を送り、北朝鮮が責任を回避して居直った態度を見せることについて厳重に警告し「われわれの相応の措置に対し無謀な挑発を再び行った場合は、容赦のない厳しい措置を講じる」との意向を伝えた。

 北朝鮮国防委員会政策局のこの日の談話は、哨戒艦「天安」爆沈事件のときと同じく、韓国軍が確保した決定的な証拠に対し具体的に反論する内容を盛り込んでおり、韓国に対する心理戦に主眼を置いたと考えられる。統一研究院の鄭永泰(チョン・ヨンテ)研究員は「北朝鮮が地雷を埋めたことを証明できる映像を出すよう求めたという点を注意深く見るべきだ。これにより、韓国で『自作自演』という声が出てくるよう仕向け、『南南対立(韓国国内での対立)』をあおろうという意図だ」と指摘した。

 韓国軍当局はとりわけ、北朝鮮が韓国側の発表から4日後に見解を表明し、談話のレベルも予想より高くないという点に注目しているという。北朝鮮が今回の談話で、これまでデリケートな反応を示してきた、韓国の拡声器による北朝鮮向け宣伝放送が軍事境界線沿いの全域に拡大しているにもかかわらず、これを照準射撃の対象にするといった表現をしなかった。北朝鮮の見解の表明が予想より遅れたことは、北朝鮮の最前線の部隊が金正恩(キム・ジョンウン)第1書記への忠誠心を示す挑発を行ったため、軍内部の見解を整理するため時間がかかったのではないかとの見方が出ている。

 与党セヌリ党の金栄宇(キム・ヨンウ)首席スポークスマンはこの日「北朝鮮は地雷が爆発した当時の韓国軍兵士たちの動きについて『脚本に沿って演技する俳優』という暴言まで吐いた。今回の地雷による挑発は、北朝鮮軍の反人道性の極致といえる」と主張した。また野党・新政治民主連合のキム・ソンス・スポークスマンも、書面での記者発表で「北朝鮮は自分たちの犯行でないのなら直ちに否認すべきであって、今になって証拠を出せなどと主張するのは、国際社会の批判を回避しようとする、あまりにも無責任な態度だ」とコメントした。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者 , チョン・ヒョンソク記者
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