【北京=山田周平】中国・天津市の港湾部で12日に起きた大爆発事故で、国営新華社によると15日までに104人の死亡が確認された。現場ではこの日も小さな爆発が続き、消火や救援は難航している。市当局は現場に有害な化学物質が残っていることを認めたが、詳しい状況は把握できていないもようだ。有害物質が拡散した影響で避難指示が出たとの情報が流れるなど、混乱が続いている。
市当局によると、入院しているけが人は同日夕時点で722人。新華社によると、軍の化学戦部隊が爆発の中心地から50メートル離れた地点で50歳代の男性を1人救出したが、犠牲はさらに増えそうだ。
市当局は記者会見で、港湾部にシアン化ナトリウム、ニトロ化合物など有害物質が保管されていたことを認めた。新華社によると、16種類以上に達している。
しかし、爆発した倉庫を経営していた企業の関係者への聞き取りや過去の入荷データから推測したにとどまる。実際に現場にどれだけの量、どんな物質が残っているかは特定できていない。
新華社によると、現場ではこの日も7~8回の爆発音が響き、少なくとも3カ所で煙が上がった。当局は14日の会見で消火は基本的に終わったと説明していた。爆発で飛び散った化学物質を完全には制御できていない。
国家海洋局が15日、「天津港の水質に異常はない」との見解を出すなど、当局は化学物質の影響は少ないと強調している。しかし、市当局は1日に2回開く会見で「はっきりしない」「自分の責任範囲ではない」などの答えを繰り返し、市民の不信感は募っている。
同日午前には、風向きの変化で有害物質が流れてくる恐れがあるとして、現場近くの小学校にいた被災者がバス3台で避難した。新華社が伝えた。
一方、複数のインターネットメディアは同日午前、有毒な化学物質を別の薬剤で処理するため、爆発地点から2~3キロ以内にいる人すべてを対象に避難指示が出たと伝えた。しかし、市当局が会見でこの報道を否定するなど、情報は入り乱れている。
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