 |
|
「食品と暮らしの安全」誌171号からの転載記事です。
これまでテフロンは、長時間の空だきをしなければ問題ないと考えられてきました。しかし器具によっては、2分程度で有害物質が発生する可能性もあることがわかりました。米国でも日本でも、調理中にペットの小鳥が死亡する事故が相次いでいます。
◆END◆ |
|
|
テフロン加工のフライパンで調理中にちょっと 目を離していると、予想外の高温になって 有害物質が出ることがわかりました。
■予測外の高温になる鍋 この衝撃報告を発表したのは、米国のEWG(環境ワーキンググループ、ホームページhttp://www.ewg.org)というNGOです。「テフロン」はフライパンなどの調理器具にこびりつかないようにフッ素樹脂加工をしたもので、デュポン社の商品名。フッ素樹脂加工はT‐FALなど他にもあり、「こびりつかない」「フッ素樹脂加工」などと書かれています。 これまでフッ素樹脂加工の調理器具が安全だとされていたのは、通常の使用では有毒ガスが発生する高温にはなり得ない、と考えられていたからです。しかし、今回の調査では、2〜5分の短時間で380〜390℃という予測外の高温になる調理器具があることが、新しくわかったのです。 デュポン社の研究報告には、「人に害が出るのは、テフロンが350℃以上に熱された場合」という記述があります。つまり、火にかけていて、うっかり2〜3分目を離していたら、350℃以上になり、人に有害なガスが発生している可能性のあることがわかったのです。 EWGは、さらに、200℃ほどでカナリアなどペットの鳥が死んでいることも報告しています。鳥への被害報告例は多く、アメリカの獣医の間ではよく知られているようです。 デュポン社もホームページに「鳥たちにとって安全な住まいにするために」というページを作って、控えめではあるものの、テフロン加工が鳥に被害を与える可能性について書いています。ホームページを作るくらいですから、苦情はかなり多いと推測できます。
■求められる警告表示 今回の調査では、3種類の異なるフライパンとコンロの組み合わせで、温度を測っています。温度の上がり方や毒性物質の発生は、コンロの種類や、鍋の素材や形で異なるので、すべてのフライパンが危険とはいえません。しかし、どのフライパン、コンロを使ったら有害ガスが出やすいかわからないことが問題です。 EWGは次のような表示を、フッ素樹脂加工の調理器具にすべきだと、米国の消費者製品安全委員会に求めました。 「警告:通常の加熱温度で、この鍋のコーティングは有害なガスや粒子を排出し、鳥は肺障害を起こしたり、死亡する可能性があります。また、ヒトに、のどの痛み、熱、寒気、息があがる、胸が苦しい、不快感、頭痛、咳など風邪のような症状を引き起こすことがあります」。 こんな鍋は誰も買いたくないでしょう。 そして、EWGは経済的に余裕があれば、フッ素樹脂加工の調理器具はやめて、ステンレス製、鉄製のものにぜひ買い換えるよう、アドバイスしています。(熊澤) ◆END◆
|
|
|
テフロンによる事故は、海外だけの話ではありません。 日本でも起きていたのです。 しかも鳥だけではなく、人にも被害が出たという報告も。 予熱や空だきには十分注意しましょう。
■日本でも相当数の被害か・・・ 「フッ素樹脂でコーティングしたアルミ箔を魚焼きグリルに使ったところ、インコ2羽が苦しんで死んだ」 「フッ素樹脂加工のフライパンを使って3カ月になるが、(人体に)ジンマシンが出た」 これらは1999〜2001年度に国民生活センターに寄せられた消費者苦情の一部で、まさに氷山の一角。日本でも相当数の被害が出ていると推測できます。 デュポンによると、コーティングは260℃から劣化が始まり、310〜327℃で溶け始め、350℃以上で分解ガスが発生します。まず350℃ぐらいから、人でかぜに似た症状の「ポリマーヒューム熱」が出る疑いがあります。 次に有毒ガスのTFE(四フッ化エチレン)、HFP(六フッ化プロピレン)が発生。さらに470℃を超えると、毒性が極めて強いPFIB(パーフロロイソブチレン)が出ます。このほか、毒性があるCOF2(フッ化カルボニル)やCO(一酸化炭素)も発生します。 調理器具・用品の種類や使用条件によっては、もっと低い温度でも有害物質発生の可能性があります。例えば国内のスーパーで売られているサン・アルミニウム工業(千葉市)の「フッ素樹脂コート 焼物料理用サンホイル」には、「両面焼きグリルでの使用は、300℃以上になり分解ガスが発生しますので、使用しないで下さい」と表示されています。 焼肉、炒め物、焼き菓子といった料理の場合、フライパンの温度は160〜240℃ぐらいまでしか上がりません。このため注意して使えば有毒ガスは出ないと考えられますが、怖いのは空だきや過度な予熱です。空だきや過度な予熱をすると、簡単に300℃を超えてしまいます。
■IH調理器は1分で370℃ 特にIH調理器を使った場合、1〜2分で高温に達するケースがあります。薄いフライパンでは、1分間の予熱で370℃に上昇したという報道も。薄手の製品は温度が上がりやすいので、気を付けてください。さらに熱すると、フライパンが大きく変形することもあります。この場合、フライパンの温度は400℃を超えていることも考えられます。自動的に過熱を防ぐ安全機能が付いていますが、すぐに作動しないため、あてにできません。 注意しなければならないのは、予熱だと思っていても、実は空だきとなっているケースです。ちょっとした油断で、すぐに空だきとなってしまうのです。 強火でウインナー1本やモチ1個だけを焼く場合なども、空だきに近い状態になるため注意が必要です。安心したい人はテフロンを避け、ステンレス製やガラス製、鉄製の器具を選びましょう。(木村)◆END◆
|
|
|
●絶対に空だきをしないでください。 ●予熱時は持ち場を離れないように。 ●予熱完了のサインは、油の煙が出始める、垂らした水滴が玉になって走り出す、など。予熱完了後は速やかに調理を始めましょう。 ●調理終了後は、すぐに加熱をやめましょう。 ●強火でウインナー1本を炒めるような、空だきに近い状況を避けましょう。 ●IH調理器は短時間で温度が急上昇する場合があるため、予熱時は特に注意が必要です。◆END◆
|
|
| 〈資料〉フッ素樹脂加工から発生する物質と被害の事例図 |
|
|
フッ素樹脂加工のフライパンは、料理が焦げ付きにくく、洗うのが簡単です。それは、フッ素樹脂が化学的に安定していて、他の物質と反応しない性質を持つためです。こうした便利な性質を持つフッ素樹脂などの有機フッ素化合物は、界面活性剤、染料、医薬品、農薬、電子機器など、さまざまな用途で使われています。この中には、毒性が強いものもあり、化審法(化学物質の製造並びに審査に関する法律)で「指定化学物質」として規制されているものも少なくありません。
■有機フッ素化合物は必要最小限に もともと生物にとって、フッ素という元素を体内に取り込んで使いこなすことは難しく、あまり利用されてきませんでした。実際、自然界で有機フッ素化合物は10ほどしかありません。これに対して塩素や臭素の有機ハロゲン物質は3500種ほど存在しています。ところが、科学技術の発展により、人工的に作られた多くの有機フッ素化合物が身の回りに増えてしまいました。 防水スプレー「スコッチガード」(スリーエム)の成分であるパーフルオロオクタンスルフォネート(PFOS)は、次世代に強く影響する報告があります。その上、野生動物や人の血中からも検出されるなど、環境を広く汚染していたこともわかり、同社は生産を中止しました。今も使われてるテフロンの原料であるパーフルオロオクタン酸(PFOA)も、調査した子どもの96%から検出されていて、ヒトへの汚染が広がっています。 将来、フッ素樹脂などの有機フッ素化合物も、ダイオキシンやPCBと同じPOPs(残留性有機汚染物質)の仲間に入る可能性があり、有害性に関しては、これから研究が始まろうとしているところです。フッ素樹脂コーティング製品、フッ素を含む農薬、染料などは、予防原則の観点から避けておきましょう。
参考文献:柴田康行(2003)環境ホルモン学会(江戸東京博物館ホール)第11回講演会テキスト,p44.
有機ハロゲン化合物とは・・・・・・・・・
有機フッ素化合物は、炭素に塩素、臭素、フッ素、ヨウ素などが結合した有機ハロゲン化合物の一つです。人工の有機ハロゲン化合物の安全性には、疑問があります。便利な反面、長期にわたって有害な影響を及ぼす場合があるからです。 よく知られているのが、PCB、DDT、焼却で発生するダイオキシンといった有機塩素化合物。現在ではPOPsと呼ばれ、国際的な協力の下で廃絶する方向に進んでいます。また、有機臭素化合物である臭素系難燃剤(ポリ臭化ジフェニルエーテルなど)や臭素化ダイオキシンの毒性、環境や人体に対する汚染も明らかになりつつあります(「食品と暮らしの安全」150号)。(新居田)
◆END◆
|
|
|