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【東京】

「私たちの戦後70年宣言」 安保法制、慰安婦、歴史 杉並の市民ら議論重ね

宣言を発表する実行委員=杉並区で

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 安倍晋三首相の戦後七十年談話に対し、杉並区の市民たちは独自の「戦後七〇年宣言」を打ち出した。さまざまな経歴を持つ人々が議論を重ねて作った。実行委員の小島政男さん(66)は「自分たちの言葉で言えることがうれしい、との反響をもらった」と話す。 (石原真樹)

 十人前後が中心となり、五月ごろから、毎週のように文案を議論し、永田浩三武蔵大学教授がまとめた。七月末の集会で八十人から集めたアンケートを基に修正を重ね、今月七日に発表した。

 憲法改正に言及し、集団的自衛権の行使を容認する安保法制を進める安倍首相に対する反発が出発点だが、「戦後七〇年宣言」では「現政権を生み出したわたしたち自身の責任」を厳しく問うた。「安倍政権に至る前に、自分たちは何をしてきたのか。戦争責任を追及してこなかったのではないか」と考えた。

 実行委の岡田良子さん(74)は「兵士は慰安所に行かなければ殺されたわけではない。最後は自分が選んだことは明らか」と、慰安婦のくだりにこだわった。異論もあったが、「戦場で日本兵は慰安所の前に並びました。祖父や父、夫や兄弟も無縁ではありません」と記した。

 性別や世代、歴史などの違いも意識した。実行委の一人で在日韓国人の梁東準さんが「選挙権を持たない在日韓国人は主権者でも区民でもない」と指摘したことから、文中で主権者との表現を慎重に使い、宣言の主語を区民から市民に変更するなどした。小島さんは「安保反対など『この一点で集まろう』という運動が多く、議論しなくなっていた。議論すると重なるところと重ならないところがあり、考えが深まった」。

 宣言の全文は「NO WAR 杉並」のホームページなどで見られる。

 

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