私の一番好きなアニメーション「火垂るの墓」―中国人学生

配信日時:2015年8月14日(金) 22時53分
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毎年、終戦記念日が近づくとテレビで放送されるアニメ「火垂るの墓」。長春理工大学の劉美麟さんはこのアニメを見て、日本の戦争と平和に対する認識を改めたという。写真は蛍。
毎年、終戦記念日が近づくとテレビで放送されるアニメ「火垂るの墓」。長春理工大学の劉美麟さんはこのアニメを見て、日本の戦争と平和に対する認識を改めたという。

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「昭和20年9月21日、僕は死んだ」。こんな痛ましい切り出しでアニメは始まりました。敗戦後2カ月のことでした。ボロボロの服を着た少年はふらふらと歩き、「節子」とつぶやきながら、とうとう倒れてしまいました。草むらの中できらきらした蛍の明かりが兄弟の顔を照らしました。二人は幸せそうに笑いながら、行ってしまいました。物語はそこから始まりました。

この「火垂るの墓」というアニメーションを初めて見たのは、大学に入ったばかりの時でした。それから、10回もこのアニメを見ましたが、見るたびに感動して、つい泣いてしまいます。特に節子が死んだ蛍とお母さんのためにお墓を作っていた光景には、何度も泣かされます。「お墓を作ってるの。お母ちゃんはもう死んで、お墓の中にいてる」と幼い節子は真剣に言いながら、蛍の死体をお墓の中に入れました。節子は小さいのに、もう「死」と「墓」の意味が分かっていました。節子はお兄ちゃんに「兄ちゃん、どうぞ。おいしいよ。食べてみて。どうして食べないの」と言いながら、石ころをお兄ちゃんに渡しました。「兄ちゃん、おおきに」これが節子の最後の言葉でした。

「火垂るの墓」は戦争が日本人にもたらした痛みを映し出しています。このアニメーションは戦争の恐ろしさを直接的に表していません。戦争が人々にもたらす苦痛を間接的に表しています。これは、幼い兄弟だけの悲劇ではなく、日本人みんなの悲しみです。戦争のため、親子が散り散りになり、たくさんの子どもが孤児になりました。男は家族から離れ、戦場に向かいました。

このアニメーションを見る前は、私はずっと日本は戦争が好きな国だと思っていました。学校で先生の話を聞いたり、写真を見てそうだと思っていました。でも、「火垂るの墓」を見てから、戦争で苦しむのは一方の国の人だけではないと分かりました。戦争というのは敵も味方も苦しくて悲しい思いをします。自分たちだけ戦争の被害を受けているのではありません。

「日本国憲法」には、「戦争の放棄」が書かれています。「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇や行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と。日本の人々は中国の人々と同じように戦争が嫌いです。「火垂るの墓」を見た私たちは、戦争の残酷さを理解しました。だからこそ、私たちはもっと今の平和を大切にしなければなりません。前の人の失敗は後の人の戒めとなります。もう決して戦争を起こさないために、若者の力が必要です。「火垂るの墓」を見て、戦争を再び起こしてはいけないと強く思いました。(編集/北田)

※本文は、第六回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「メイドインジャパンと中国人の生活」(段躍中編、日本僑報社、2010年)より、劉美麟さん(長春理工大学)の作品「私の一番好きなアニメーション『火垂るの墓』」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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