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 中国外務省は14日深夜に談話へのコメントを発表し、「過去の歴史を正確に認識・対応し、正義を守ることは日本とアジアの隣国との関係改善の重要な基礎だ」と指摘。その上で「侵略の歴史に正面から向き合い、深く反省し、実際の行動でアジアの隣国と国際社会の信頼を得るよう求める」と、安倍首相の歴史認識を批判した。中国共産党関係者は「言葉は入っていても首相の誠意が感じられない」と、不信感を示した。

 ただ中国政府は、安倍首相が間接的でも「侵略」や「おわび」を明記したことで、日中関係改善を進めていくとの方針は今後も堅持していくとみられる。

 韓国でも、安倍談話は過去の歴史への反省や謝罪が間接的な表現にとどまっているとの批判が出ている。

 韓国政府関係者によると談話発表後、岸田文雄外相が尹炳世(ユンビョンセ)外相に電話をして「歴代内閣の歴史認識は今後も揺るがない」と説明。尹外相は「日本政府の誠意ある行動が何よりも重要だ」と強調したという。

 与党・セヌリ党の報道官は「反省と謝罪に言及したという点では意味ある談話だ」と一定の評価をしたうえで、「慰安婦についても間接的にしか言及していないことは物足りない」と指摘した。

 最大野党・新政治民主連合の報道官は「キーワードはすべてあったが、巧妙なやり方で加害者としての責任を避けた」と指摘。村山談話から大きく後退したと論評した。

 朴槿恵(パククネ)大統領は2013年2月の就任後、安倍首相との二国間の会談を一度もしていない。米国からも関係改善を求められるなか、首脳会談への環境を整えるには安倍談話の中身が重要で、尹外相も今後の日韓関係を左右する「試金石」と述べていた。

 ただ、外交筋は「批判をしすぎれば関係改善の機運をそぐことになる。韓国政府にとっては難しい判断になるのでは」と話す。

 オバマ米政権は安倍首相の歴史認識で日韓関係が悪化すれば、中国などを利することになり、米の外交戦略を狂わせかねないとの警戒から「安倍談話」に注目。歴代の首相談話の継承を求めてきただけに、米国家安全保障会議(NSC)のプライス報道官は14日、「第2次世界大戦中に日本がもたらした苦しみに対する痛切な反省を安倍首相が表明したことを歓迎する」との声明を発表した。