かつて私は田舎に飽き飽きしており、東京に対し神格的な憧れを持っていた。
高くそびえるビル群。先進的なテクノロジー。溢れかえる人。それを支える交通網。駅のターミナル。空港。
ただ実際に東京に住み着いてみると、東京の凄さは単に人が集まるが故のものであって、先天的凄さはあまり見受けられなかった。
そして未来を感じさせる所以は鉄道技術や建築技術によるもので、未来を日々体感できるようなことはまず私にはない。
東京が誇れるのは文化も僅かにあるであろうが、あまりに混沌としすぎていて、それらは洗練さを失いつつある。
人と人が交わることに意味があって、それに揉まれてこそ文化が生まれるんだろうが、洗練さを今の私は追求しているのか。
正直人と関わるのも極力避けたい。
しかし今はインターネットを使えばちょちょいのちょいとなんでもできる。
もう街なんてぶっちゃけいらなくなってくる。
結局私が思い描いていたような、AKIRAのような未来像と現実的な未来は随分とかけ離れていくのだ。
ただそれでも人はわたしのように東京に集まるのだろう。
我を失って恍惚を求める、虫の走光性のように。