もしウォール街がグーグルの金遣いの荒さを心配していたのであれば、同社が「アルファベット」という名のハイテク投資持ち株会社に変身すると発表した後に株価が急伸したことは、奇妙な反応だったことになる。
この組織再編により、同社のラリー・ペイジ最高経営責任者(CEO)がしばらく前から口にしていたこと、すなわち自動運転車やドローン、バイオテクノロジーといったハイテク分野の巨大成長市場に真正面から取り組むという方針は正式なものとなった。グーグルのコングロマリット(複合企業)化――検索やその他のインターネット事業をあまたある事業部門の一つに位置づけること――は、長期的な体制作りだ。
もし投資家が疑問を感じていたのであれば、今回の発表は明快なメッセージになった。つまり、ペイジ氏が21世紀を特徴付けるコングロマリットをつくろうとしているなか、グーグルのインターネット事業で生み出される現金はハイテクの世界で最も野心的な取り組みを支援するのに使うのだ、と。
■グーグルの財務史における転換点
そのように書くと、グーグルはこれまで以上に積極的な投資戦略を取るつもりであるかのように思われるかもしれない。これはグーグルが有り余る現金を壮大な計画につぎ込んでいくにつれ、まさに株式市場の投資家が警戒するようになったことだ。ところが、昨年前半からアンダーパフォームし続けていたグーグル株は、持ち株会社設立が発表された日の時間外取引で5%を超える急騰を演じた。
また、ウォール街の熱気には「コップには半分も水が入っている」という楽観的な側面があった。グーグルがアルファベットに衣替えすることは、表面的には正反対の効果をもたらすリスクもあるかもしれないが、ペイジ氏と共同創業者のセルゲイ・ブリン氏がついに、株主が懸念していた問題の一部にようやく取り組む準備ができたしるしだと見なされているのだ。過去にウォール街を遠ざけたことで知られる企業にとって、この変化は同社の財務史における転換点になるかもしれない。
株主らは以前から、グーグルのさまざまな事業の業績が十分に開示されていないことを懸念していた。そのため、グーグルがスマートフォン中心の世界に事業の軸足を移すなかで中核のインターネット事業の業績はどうなっているのか、自動運転車や配達用のドローン、「スマートホーム」のサーモスタットなどの新事業に資金がどれぐらい投じられているのかといったことを、ウォール街は本当の意味では把握してこなかった。
もしウォール街がグーグルの金遣いの荒さを心配していたのであれば、同社が「アルファベット」という名のハイテク投資持ち株会社に変身すると発表した後に株価が急伸したことは、奇妙な反応だったことになる。
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