ソフトバンクグループの孫正義社長は、早くから社外取締役を導入し、活用してきた。現在はファーストリテイリングの柳井正会長兼社長や日本電産の永守重信会長兼社長などが、かつては日本マクドナルドの藤田田元社長やオリックスの宮内義彦シニア・チェアマンなどがソフトバンクの社外取締役を務めた。同社の取締役会や役員会は「動物園」に例えられるほど議論が活発だ。柳井氏は「大体の案件に僕は反対ですよ」と話す。一方、日本の大企業には制度による圧力がかかりつつある。東京証券取引所は上場企業の経営規範を定めた「企業統治指針」の適用を始め、2人以上の社外取締役の選任を求めている。かつてシスコシステムズの社外取締役を務めたこともある孫社長に、取締役会のあり方や経営者育成について聞いた。
――孫さんは経営を将棋に例えて話すことがあります。
将棋の王将の役割とさ、飛車とか角とか歩とかいろいろな駒があるじゃない。僕が思うには結局、バランスなんだよね。やっぱり子供のときは飛車が格好いいとか、角はすごいとか思う。
――王は少ししか動けないとか。
王様、卑怯だと、しょぼいなと、一つしか動けんじゃん、逃げ回ってばっかりやんとか(笑)。何か、常に部下の後ろに隠れている、汚いぞとか、何でもっと男らしく行かないんだと。潔くスパンと行けないんだ、じれったいとか思ったこともあるよね。何でそれなのに王様と偉そうな名前ついているんだと。
でもね、やっぱり少しずつ大人になってきて、なるほどなと、深いなと思ったのは、結局ね、飛車とか角はね、詰め寄られやすいんだよね。もう動く方向がわかっているもんね。
勇ましいんだけど。結局、天下、国家を押さえられる男じゃないだよね。ズバッと鮮やかな動きを見せたりするんだけど、やっぱりトータルバランスとしてちょっと足りないなと。それはね、しょせん飛車、角なのよ。勇ましくていいんだけど。
■小さいながらも最初からの王様はしぶとい
――ユーザーの需要が、何か一つの特徴に収れんされる部分もありますよね。
ある種の一世を風靡するのはそれだと思う。でも、本当のナンバーワンになって勝ち続けていくためには、やっぱり最後はトータルバランスだと思うんだよね。
一時的には少なくともその何かとがった部分でバンと抜きん出て、シェア伸ばさなければいけない。でも、最後に本当の王様になろうと思ったら、やっぱりバランスよく保たなきゃいけない。
日本の大企業経営者の特徴として、営業は営業畑ばっかりでずっと来たとか、技術は技術畑だけでずっと来た人が、ある日突然ね、何人かいる役員、専務とか副社長の中から突然社長に任命されるというケースがある。
突然、王様の役割をしなきゃいけなくなる。それこそ営業についてやたら詳しいけど、残りは半人前だと。技術についてはやたら詳しいんだけど、ファイナンスがわかんないとか、そういういわゆるサラリーマン社長が多過ぎるんだよね。
小さいながらも最初から王様の役割を果たしてきた奴はしぶといのよ。創業社長が強いのは、小さいながらも知識の面も苦労して、営業も苦労して、技術も苦労してきたから。柳井さんとか、永守さんとかは、少々好景気不景気いろいろあってもしぶといじゃん。
少々あってもはい上がっていくじゃん。いよいよ今度こそだめだぞとか、もうフリース売れなくなったらだめだとか思っても、やっぱりしぶといじゃん。
それは小さいながらも最初から王様やって、資金繰りも苦労して、営業も苦労して、技術も苦労して、人事も苦労して、社員がやめていくなんていうのも体験している。
シスコシステムズ、ソフトバンク、セールスフォース・ドットコム、ボーダフォン
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