関東一オコエ、49年ぶり1イニング2三塁打!規格外身体能力にプロのスカウトうなった
◆第97回全国高校野球選手権大会第6日 ▽2回戦 関東第一12―10高岡商(11日・甲子園)
巨人の今秋ドラフト上位候補に浮上した、ナイジェリア人の父を持つ関東第一のオコエ瑠偉外野手(3年)が、野性味を全開させた。初回に一塁強襲安打を俊足で二塁打にすると、3回には49年ぶり2人目の大会タイとなる1イニング2三塁打。4打数3安打4打点に、守っては悪送球で“サク越え”。規格外の身体能力で聖地を沸かせ、チームを5年ぶりの16強入りに導いた。
真夏の甲子園が、サバンナと化した。オコエは本能をむき出しにして、黒土を駆け回った。初回先頭。痛烈な打球が一塁手を強襲すると、目を見開き、走路を膨らませた。「はじいた瞬間、いけると思った」。白球がファウルゾーンに転がると、迷わず一塁を蹴り、グングン加速して二塁に滑り込んだ。50メートル5秒96の快足で内野安打を二塁打に。観衆4万3000人の拍手と歓声は、いきなり最高潮に達した。
味方まで獲物のように追いかけた。3回先頭で右中間三塁打を放つと、打者一巡。5点リードのなお2死満塁で再び、右中間を破った。「前が詰まっていたので、(一塁走者の)阿部を確認しながら行った」。言葉とは裏腹に、リードをとった一塁走者が三塁に到達する前に、二塁を蹴った。
大会タイとなる1イニング2本目の三塁打で走者一掃。低空を飛ぶように三塁へスライディングし、「歩数が合わなかった。遠かったので、失敗ですね」と白い歯を見せた。2年春センバツではベンチ外。東東京大会6試合はすべて人工芝の神宮だった。待ちこがれた聖地を踏みしめ、「土が硬い。回を重ねるごとになじんできた」と笑みがはじけた。
ヤクルト・小川シニアディレクターは「本能を思い切り出す野獣のようだ」。ロッテ・諸積スカウトは「ストライドが長い。ヒョウみたい」。スカウト陣からは野性的な賛辞が続出した。
赤ちゃんの頃から、驚異の足を持っていた。母・早苗さん(44)は「生後7か月で歩いたんですよ」と証言。通常歩き始めるのは1歳前後。小学校では、鬼ごっこの仲間に入れてもらえないほど、足の速さは突出していた。
遠投120メートルの強肩も見せつけた。4回2死満塁の中前打で、一塁走者が三塁でオーバーランしたのを刺そうとした送球が高くそれ、ワンバウンドでスタンドイン。帽子が飛んで、右手に当たったためのサク越え悪送球に「やっちゃいました」と頭をかいた。
8点リードを追いつかれ、突き放す激戦を制し、「この夏初めての接戦で、いい経験になった」と息を弾ませた。「攻撃85点、守備43点、走塁85点。全体で75%」と自己評価まで型破り。「ここで高得点をつけると、満足する自分が出てきてしまう」。飢えたオコエが、浜風をワイルドに切り裂く。(山崎 智)
ドラフト候補