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【政治】

「基地あるから事故起きる」 翁長知事「県外」重ねて訴え

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 米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設に伴う名護市辺野古(へのこ)への新基地建設をめぐり、政府と県による集中協議の初会合として十二日、翁長雄志(おながたけし)知事と菅義偉(すがよしひで)官房長官が那覇市の県庁で会談した。翁長氏は、米軍ヘリコプターの墜落事故について「基地があるからそういうことが起きる。住んでいる人には、とても耐えられない」と述べ、事故を根絶するために米軍基地の県外移転を訴えた。県民は事故に反発しており、協議への影響は必至だ。 (後藤孝好)

 墜落事故は初会合の直前に発生した。会談の冒頭、翁長氏は「二時間ほど前に、H60というヘリコプターが墜落した。やっぱり基地のそばに住んでいると、大変なことがある」と強調。住宅に囲まれて「世界一危険」とされる普天間飛行場の早期返還を含め、基地負担の軽減を求めた。

 国土面積の0・6%の沖縄県には、在日米軍専用施設の73・8%が集中し、米軍機による事故が後を絶たない。

 米占領下の一九五九年六月、うるま市(当時は石川市)で宮森小学校に米軍ジェット戦闘機が墜落し、児童十一人を含む住民十七人が犠牲に。

 最近でも二〇〇四年八月、米海兵隊のCH53大型輸送ヘリが沖縄国際大の建物に衝突し、墜落して炎上。一三年八月には、米軍基地キャンプ・ハンセン(宜野座村など)内で、米空軍嘉手納(かでな)基地(嘉手納町など)所属のHH60救難ヘリが墜落、炎上するなど、県民は不安におびえながら暮らしている。

 翁長氏は会談で、関係市町村が十三日にもヘリ墜落事故について沖縄防衛局に抗議するとの見通しを示した上で「説明を求めても、(防衛局側は)『原因究明したい』とか『私たちも分からない』とか、しゃくし定規の、何の意味もない答えしか返ってこないだろう」と苦言。「それに時間を費やされる気持ちが分かるか」とも述べ、県民感情に寄り添わない政府の対応を批判した。

 菅氏は会談後、記者団に「事故は極めて遺憾」と強調しながら、「詳細は引き続き確認中で、現時点で確たることを申し上げることは控えたい」などと述べるにとどめた。

 

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