自民党:東京裁判やGHQ占領政策検証へ 懸念の声も

毎日新聞 2015年08月12日 20時32分

 自民党の稲田朋美政調会長は、安倍晋三首相の戦後70年談話の発表後に、東京裁判や連合国軍総司令部(GHQ)による占領政策などを検証するための党内機関を発足させる。「反省すべきことを反省」するための組織と位置づけているが、党内からは「歴史修正主義」との批判を浴びかねないとして懸念の声が上がっている。

 稲田氏は先月30日の記者会見で「東京裁判で認定された事実をきちんと日本人自身が検証し、反省すべきことを反省し、将来に生かしていくことが必ずしもできていない」と語り、自民党として検証していく必要性を強調した。

 東京裁判について、稲田氏は、判決の主文自体は受け入れる考えを示してきた。一方で東京裁判を巡っては、犯行当時になかった刑罰規定を適用する「事後法適用」が問題視されてきた。稲田氏や周辺議員が検証に踏み切るのは、東京裁判の立証方法の妥当性に疑問を感じているからだ。これまでも自民党内でしばしば問題提起はされてきたが、日米関係に与える影響などを考慮し、表立った動きは控えてきた経緯がある。

 党三役経験者は検証機関の設置について「首相の周辺議員が良かれと思っていても逆効果になることはよくある。戦後体制の否定は日米関係を否定することにもつながりかねない」と批判する。

 別の党幹部は「(検証機関は)相当気をつけないと国際的な誤解を招く。『東京裁判の検証』だけが独り歩きするとまずい」と語り、自民党全体が歴史修正主義に傾いていると受け取られることに警鐘を鳴らす。【中島和哉】

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