「これを見ると、江戸幕府が『竹島(現在の鬱陵島)と松島(現在の独島〈日本名:竹島〉)は朝鮮領なので出入りを禁ずる』と命令した部分がある。日本も『独島は韓国領』と分かっていたという、明白な証拠」
10日午後3時、ソウル市汝矣島の国会議員会館2階ロビーにて。褐色のハンチングを目深にかぶった老紳士が、壁に展示された木版を手で示し、日本語で説明を始めた。その人物が示した木版は、1837年に日本で作られた「竹島・松島異国渡海禁止令に関する高札」という資料だ。「I LOVE DOKDO」とプリントされたTシャツを着た日本人が、韓国の国会で「独島は韓国領」という説明を続けていると、議員会館を訪れた人が1人、2人と集まってきた。
説明を行った人物は日本人の歴史学者、久保井規夫さん(73)。久保井さんは、日本で歴史教師をしていた45年前から「独島の真実」を求めて日本各地の図書館や博物館を回った。そうやって集めた資料のうち、およそ90点を韓国へ持ち込み、10日に韓国国会で「史料展示会」を開いた。国会東北アジア歴史歪曲(わいきょく)対策特別委と独島財団が、光復(日本の植民地支配からの解放)70年に合わせて久保井さんを招待した。
今回展示された資料は、欧州と日本の古地図類だ。久保井さんは「研究を通して確認した欧州の地図のうち90%は、独島と鬱陵島を朝鮮と同じ色の領土で表示している。19世紀以前の西欧でも『独島は朝鮮領』と認識していた」と語った。久保井さんは、こうした西欧の地図と共に、自らが収集した日本の近現代地図も年代順に配列した。19世紀以前は「独島は朝鮮領」ということを否定しなかった日本が、1904年の日露戦争で勝利した後、本格的に領土歪曲を開始したことを示すためだという。
久保井さんは、史料に対する日本政府のウソを暴露するたびに声を強めた。久保井さんは「『重訂万国全図』(1855)という地図には、東海が『日本海』と表示されているが、この地図の原版にあたる『新訂万国全図』(1810)には、東海が『朝鮮海』と表示されている。日本政府が、意図的に表現を修正したことを示している」と語った。久保井さんは、日本の外務省が「独島は日本領」と主張する根拠の一つ、「改正日本輿地路程全図」(1846)についても「公式な官印がない亜流の作品」と断言した。
久保井さんは、日本の市民団体「『竹島の日』を考え直す会」に参加している。 久保井さんは「日本国民が正しい歴史認識を持つことが、両国の未来に役立つ」と語った。